建御名方神は現在の長野県を中心に厚く信仰されている神様で、日本の神話にも登場しています。
その名を知らずとも、諏訪大社の神様と聞けば何となくピンとくる方もいるかもしれません。
今回はそんな建御名方神について紹介していきます。
建御名方神とは

建御名方神は、日本神話に登場する国譲りの物語で名を馳せた神様です。
父は出雲の大国主命で天照大神に国を譲るとき、建御名方神はその決定に反対し、天照大神の使者・建御雷神に挑みました。
しかし、その戦いに敗れ、逃げるようにして信濃の地へと向かいます。
その地で建御名方神は
「もう二度と天つ神に逆らいません」
と誓いを立て、それ以来諏訪の地に鎮まる神となったと伝えられています。
この逸話から、建御名方神は勇気と力の象徴であると同時に、敗北を経て地に根ざした「守護と和の神」として崇められるようになりました。
ご利益と神徳
建御名方神は【風・水・狩猟・農業・武勇】を司る神様として知られています。
そのため、古くから農業・漁業の神としても信仰され、風雨の恵みをもたらす自然の力を象徴する存在とされています。
また、武神としての側面も強く、戦国時代には多くの武将が諏訪大社へ戦勝祈願を行いました。
現代でも【勝負運・仕事運・開運・家内安全】を願う人々から篤く信仰されています。
建御名方神を祀る主な神社

建御名方神の信仰の中心は、長野県の諏訪大社です。
日本最古の神社の一つとも言われ、上社本宮・上社前宮(茅野市)、下社秋宮・下社春宮(諏訪市・下諏訪町)の四社からなる「四社まいり」が有名です。
諏訪大社の御神体は山そのものとされ、神殿に鏡や剣がないことも特徴。自然崇拝という昔ながらの手法を色濃く残しています。
また、全国には諏訪神社の分社が約25,000社もあり、建御名方神の信仰がいかに広く根付いているかがわかります。
神話が伝える“負けても守る”強さ
建御名方神の物語で特に印象的なのは敗れてもなお、その地を守り続けた
という姿です。
負けを恐れず立ち向かい、敗北を経ても新たな使命を見つけて人々を守るその姿は、現代を生きる私たちにも通じる生き方の教えのようにも感じられます。
風と水、そして大地の恵みを司る建御名方神は、自然と共に生きる日本人の信仰の原点を今に伝える神様なのです。
まとめ
困難に立ち向かう姿や、戦いに敗れてもなお守るという優しさは、非常に人間らしい部分でもありその強さが垣間見える部分です。
ご旅行などで諏訪神社を訪れた時にはその神気に触れて、その存在をしっかりと感じてみてくださいね。
