江戸時代、当時世界で一番人口の多かった都市をご存知でしょうか。
それは、”江戸”。
人口の多い江戸の街で、みんなが快適に過ごすには、様々なマナーや工夫が必要でした。
そこで生まれたのが、江戸しぐさです。
今回は、「江戸しぐさ」について詳しく見ていきましょう。
1.江戸しぐさの歴史
江戸しぐさとは、江戸の町民たちの日常生活のマナーです。もともとは商売繁盛のための技であり、口伝で受け継がれてきたため、資料としては残っていません。
しかし、江戸しぐさの中には現代人も自然に行っているマナーがたくさんあります。
2.江戸しぐさの例
では、江戸しぐさとはどんなものがあるのか、実際に見ていきましょう。中にはあなたが既に行っているものもあるかもしれません。
思いやりを持った日常生活を送るための参考にしてみてください。
- 傘かしげ
- 雨の日に道ですれ違う際、お互いに傘を外側に傾け、相手が濡れないようにすること。
- 肩引き
- 道で人とすれ違うとき、外側の肩を引き寄せて身体を斜めにしてすれ違うこと。
- もったい大事
- 「もったいない」の精神で、物を大切に、再利用しながら最後まで使うこと。
- 時泥棒
- アポイントなく相手を訪ねていったり、約束の時間に遅れるなど相手の時間を奪うのは重い罪である。
- 七三の道
- 道の真ん中を歩かず、端三割を歩いて、残り七割は他の人のために空けておくこと。
- こぶし腰浮かせ
- 船などで後から人が来たときに、こぶしひとつ分腰を浮かせて席を詰めること。
- 逆らいしぐさ
- 「しかし」「でも」など逆説の単語を使わないこと。
- 喫煙しぐさ
- 禁煙の場所でなくても、非喫煙者がいる場所では喫煙をしないこと。
- うかつあやまり
- こちらに非がなくても、「こちらがうかつでした」と謝ることでその場の雰囲気を良く保つこと。
- 束の間のつき合い
- 初対面で船などでたまたま同席しただけの相手にも、挨拶をして会話を楽しむこと。
- 念入れしぐさ
- 戸締まりや火の元など、念には念を入れて確認・行動すること。
- おはようにはおはよう
- 挨拶をされたら挨拶を返すということ。
- お心肥やし
- 他人だけでなく、自分の心も常に豊かでいるよう心がけること。
- 陽に生きる
- 太陽に向かって前向きに、プラス思考で生きるということです。
- 横切りしぐさ
- 人の前を通るときに、手刀を振って通ること。
3.まとめ
江戸しぐさは、みんなが気持ちよく暮らすための知恵です。
いつも時間に追われ、せかせか過ごしている現代だからこそ、江戸時代のマナーに学びたいものですよね。
心に余裕を持ち、思いやりの精神を忘れずに過ごせば、あなた自身の心もきっと前より豊かなものになりますよ。