今年の主の神は出雲の神、大国主の子供です。
こと(言葉)を知らせ、神意を伝えるはたらきから「託宣(たくせん)の神」と呼ばれ、後に漁業・商売繁盛の神としても信仰を集めます。
今回は七福神の恵比寿様と結びつけられて語られることも多い今年の主の神についてご紹介します。
名前の意味
事代主とは「事を知る主」の意味があるとされており、言葉(神意)を代わって告げる神という性格が名前に表れています。
古くは宮廷守護・託宣の神としても位置付けられました。
八重事代主神という別名もあります。
物語の中の事代主神
国譲りでの役割
天つ神(高天原)からの使者が出雲にやって来て「国を譲れ」と迫ったとき、大国主神は子の意見を求めます。
事代主神はそのとき舟で釣りをしていましたが、すぐに受け入れると答え、抵抗せずに国譲りを円満に進める役回りを果たします。
兄弟神の建御名方神(たけみなかた)は反対して敗れ、諏訪へ向かったという対照的な展開が語られます。
「天の逆手(あめのさかて)」と「青柴垣(あおふしがき)」
国譲りを受け入れた印として船を踏み傾け、特別な柏手(かしわで)=天の逆手を打ち、舟を「青柴垣」に変えて身を隠したという有名な場面があります。
これは服従と引退を示す儀礼的所作とも解釈され、後世の神事にも受け継がれています。
どんなご利益?
- 託宣:物事の成り行きや判断に道筋を示す
- 漁業安全・豊漁:釣りの場面が象徴的で、漁労神としての信仰が広がった
- 商売繁盛:恵比寿と結び付けて信仰され、鯛を抱えた福神のイメージにも通じます。
(恵比寿=事代主とする伝承は地域により異なります)
ゆかりの神社と行事
-
美保神社(島根県松江市・美保関)
主祭神は事代主神(=えびす様)と三穂津姫命(みほつひめ)。
えびす信仰のお社の総本宮的存在とも紹介されます。
青柴垣神事:毎年4月7日。国譲り神話での所作を背景にする神事。
諸手船神事:毎年12月3日。天つ神の使者が諸手船で来たことにちなむ神事。
まとめ
事代主神は釣り好きが高じて七福神の恵比寿様として考えられている場所もあるのは面白いですね。
力で争うことはせず、言葉で道を切り開いた事代主神が祀られている神社へ得是非行ってみてはいかがでしょうか?