春の訪れを告げる梅の花~食用や薬としても大活躍する梅のエピソード

梅

桜ほど艶やかではないものの、その奥ゆかしさや香りに魅せられる人も多い梅の花。

春告草という別名を持ち、春の訪れを一番早く感じさせてくれる花でもあります。
食用として、また薬としても用いられてきた梅。

そんな梅の世界をちょっとのぞいてみませんか。

【目次】
1.道真を慕って~桜は枯れ、梅と松は空を飛ぶ
2.最初は果物→それから薬へ
3.梅干しの効能・効果
4.愛された梅の花
5.春を見付けて

1.道真を慕って~桜は枯れ、梅と松は空を飛ぶ

「東風吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」

これは藤原道真が大宰府に左遷される時に、大事にしていた梅の木に詠んだとされる歌です。

道真はこの梅の木と共に桜や松も大切にしていて、道真が大宰府に行くことを知った桜は悲しみのあまり枯れ果て、梅と松は道真の元を目指して空を飛んだという伝説があります。

しかし松は途中で力尽き、根を下ろしたのが現在は「飛松丘」と呼ばれる場所。神戸市の須磨区にあります。(飛松伝説)
もう一方の梅は無事に道真の元に辿り着き、大宰府で根を下ろしました。(飛梅伝説)

この飛梅は樹齢1000年と言われ、太宰府天満宮の御神木となっています。

2.最初は果物→それから薬へ

梅は中国から伝来した物とされていますが、万葉集に梅を詠んだ歌があることから奈良時代もしくはそれ以前には日本に入って来ていたと推測されます。

その奈良時代には梅はびわや梨などと一緒に、果物(当時はお茶と一緒に頂くお菓子のような存在)として食されていましたが、平安時代になると「薬」として扱われることが中心になりました。

当時の村上天皇の病気が梅干しと昆布のお茶で回復したという記録もあり、実際に日本最古の医学書にも梅干しの効用が記されているそうです。

戦国時代には氷砂糖の粉末、米粉、梅干しを練った梅干丸を携帯するのが兵士達の常識で、生水を飲んだ時の殺菌用、動悸・息切れを起こした時の症状緩和に役立ったとされています。

また明治時代には伝染病に罹った人が梅肉エキスで改善したという報告もあり、梅干しの効果・効能が広く知られることになりました。

3.梅干しの効能・効果

梅干し
庶民に梅干しが浸透し出したのは江戸時代。

一般家庭の食卓にも上るようになりました。

保存食としても用いられることから藩主が家臣に梅の木の栽培を奨励したり、紀州の梅干しが江戸に続々と送られたのもこの時期だそうです。

ちなみに薬としての梅干しの効能はと言えば…

・便血には梅干しを黒焼き、粉末にして用いる
・水虫に梅干し、里芋、銅のやすりくずを合わせてつける(以上、和方一万方に記載)
・腸炎には青梅を擦り、搾り汁を天日に干して練り薬にする(諸国古伝秘法に記載)
・出血には梅干しの黒焼き
・棘には梅干しの果肉(以上、経験千万に記載)
・烏梅が熱を下げ、下痢や口の渇き、痰を止める(古方薬議に記載)

といったものが記録として残されています。

最後に出てきた烏梅(うばい)。
これは熟していない梅を薫製にした物で、風邪薬や胃腸薬として用いられていました。

現在でも漢方薬として利用されているそうです。

4.愛された梅の花

梅の別名は、春告草・木の花・好文木・風待草・匂草・初名草・香散見草といろいろあります。

花見と言えば桜ですが、元々は梅の花を鑑賞することが花見の始まりだったそうです。
日本最古の和歌集である万葉集の中でも桜より梅の歌の方が多く、それだけ梅を好む人が多かったと言えるでしょう。

桜よりは地味な感じがする梅ですが、その香りの良さや一番早く春の訪れを告げる花として人気があります。

そういえば幕末に大活躍した高杉晋作も梅を愛した人のひとり。
偽名に「谷梅之助」という名前を用いたり、息子に「梅之進」と命名したほど。

晋作が眠る東行庵には梅の木が約200本も植えられているそうです。
そんな晋作の盟友だった坂本龍馬の偽名も「才谷梅太郎」。

壮絶な戦いを繰り広げた幕末の志士達。
傷付き疲れ切った志士達の心を、梅の花が時々癒してくれていたのかも知れません。

5.春を見付けて

梅の花言葉は「忠実」「気品」
梅の姿そのままを表すような花言葉です。

「梅は香りに桜は花」
これは「優れていること」を表すことわざ。

「梅干しと友達は古いほど良い」
うんうんと頷きたくもなりますが、「女房と畳みは新しい方が良い」という言葉をつい思い出してしまいました。

奥ゆかしさを感じる梅の花。
桜ばかりではなく、梅の花見も風情があっておススメです。

普段はただ急いで通るだけの道。

時計やスマホに目を落としてしまいがちな時間。
でもちょっと目線を上げて、周りを見渡してみましょう。

いつも通るその道から、電車やバス・車の中から、ひっそりと咲く梅の花を見付けることが出来るかも知れません。

春告草という素敵な別名を持つ花を、一番の春を見付けてみて下さい。

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