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障子は日本の建築文化の象徴~心身を健康に保つ障子の秘密とは?

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障子
日本の建築文化の象徴とも言える障子。

襖と共に和室を引き立て、重厚感や荘厳な雰囲気を醸し出ている障子もあります。

見た目の美しさだけではなく、様々な角度から考えて作られて来た障子。
現在は障子のない家も増えてきていますが、絶えることなく受け継がれてきた障子に関する豆知識を御紹介致しましょう。

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1.谷崎潤一郎の障子

「もし日本座敷を一つの墨絵に喩えるなら、障子は墨色の最も淡い部分であり、床の間は最も濃い部分である。私は、数寄を凝らした日本座敷の床の間を見る毎に、いかに日本人が陰翳の秘密を理解し、光と陰との使い分けに巧妙であるかに感嘆する。」
(谷崎潤一郎「陰翳礼讃 日本座敷」より)

昔の和室は近年造られるものと違い、暗いイメージであったことが伝わってくる谷崎潤一郎の陰翳礼讃の日本座敷。

この後に続く文面からは、障子は外の光を弱々しいものに変え、その部屋は明るさを取り込まない暗い空間であることと同時に、独特の重厚感にも圧倒される和室への思いが記されています。

和室を墨絵に喩えるという時点で、既にその重々しさが伝わってきますよね。
当時の和室は外国人の目から見ても、暗く殺風景な部屋という印象が強かったそうです。

2.障子の働き

しかし昔の和室の暗いイメージは、現代では殆ど払拭されつつあると言っていいでしょう。

特に障子は採光を考え、且つ直射日光は適度に遮ってくれるという優れものとされています。
障子のある部屋は、温かみを感じる優しい明るさがあります。

健康面でも障子はその力を発揮。

障子に使われている紙には吸湿性があるため、湿気の多い日本の住宅に非常に適しています。

また通気性にも優れていることから、適度に換気を促し室内の空気をきれいに保ってくれます。
更にホコリや塵、ニコチンなども吸い取ってくれるのです。障子の貼り替えが定期的に必要な理由は、この機能性を維持するためなのです。

最近では洋室にも合うようなデザインの障子も作られており、その選択肢も広がっています。

3.障子の紙にも注目

障子に使われる和紙には軽くて強いという特性のほかに、光に対する反射率や採光性などの機能にも独特な作用を発揮します。

障子紙には、

  • 手漉き楮(こうぞ)障子紙
  • 混抄障子紙
  • レーヨン障子紙
  • パルプ障子紙
  • プラスチック障子紙

など様々な種類があります。

障子紙を選ぶポイントは、

  • 変色、変質しやすい物は避けて耐久性の高い紙を選ぶ
  • 目にやさしい採光機能がある
  • 適度な通気性と厚み
  • 貼り替えしやすい紙質

などが大切。
実際に光に当ててみたり、触ってみることをおススメします。

4.知っておきたい障子の種類

障子自体にもいろいろな種類があります。

  • 横繁障子 … 横の組子の数が多い障子(関東風)
  • 縦繁障子 … 縦の組子の数が多い障子(関西風)
  • 荒組障子 … 組子の間隔・数が大きめの障子
  • 腰付障子 … 汚れたり破れたりしやすい下の部分が襖や板で出来ている障子
  • 雪見障子 … 障子の下部にガラスがはめ込まれており、その内側に上下に移動する小さめの障子が入れてある

以上が代表的な障子のタイプ。
このほかにも吹寄障子、桝組障子、猫間障子などいろいろあります。

好みだけでなく機能性も考えて選ぶことが出来るのが嬉しいですよね。

5.障子は心身を健康にする

障子には、メンタル面に及ぼす効果も大きいとされています。
障子を通して差し込む光の柔らかい温かみが、ストレスを軽減し疲れを取り除く効果があると言われています。

実際に病室に障子を取り入れる医療機関も増えていて、術後や闘病中の患者さんにとって落ち着ける環境作りに役立っています。
このように障子には優れた機能が満載で、日本の建築文化の象徴と言われる所以が良く分かります。

普段の生活ではあまり注目されない障子ですが、実は私達日本人の健康や生活を支えてきてくれました。
この障子をこれからの世代にも絶やすことなく伝え続けていきたいものです。

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