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伝統工芸品阿波和紙 |国内外にファンが増えている阿波和紙の魅力とは

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日本国内のみならず海外のアーティストにも人気がある阿波和紙。
阿波和紙は徳島県ので作られている伝統工芸品です。

今回は阿波和紙の魅力についてご紹介していきます。

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阿波和紙の始まり

現在、阿波和紙が主に作られている場所は徳島県の吉野川市、那賀郡那賀町、三好市です。

阿波和紙の始まりは大変古く、始まりは約1300年前といわれています。
忌部族(いんべぞく)という古代より宮廷祭祀・祭具製作・宮殿造営を掌った名門氏族が650年ころに阿波の国に住み着き、麻や楮(こうぞ)を植えて布や紙の生産を盛んにしました。

昔の通信手段は文通で、和歌や俳句を書いたり本を読んだりする文化で紙は必要不可欠なものでした。
そのため、紙を上納する国が40か国を超えこの中に徳島県も含まれていました。

後に産業で使われる重要な木である、【楮】【漆】【桑】【茶】を産業の4木として保護奨励されます。
この奨励制作がきっかけでますます製紙業は盛んになり、阿波手漉き和紙は全国的に有名になりました。

阿波和紙の原料

阿波和紙は主に楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)の木から作られています。
それぞれの木の皮の内側にある繊維を中心に使われています。

楮(こうぞ)

クワ科の木。
日本の野山や川原に自生していますが、原料として使われるのは農家の方々が栽培しているものを使用することがほとんどです。
繊維が太く、長く強いので障子紙や表具用紙、美術紙として最も多く使用されています。

三椏(みつまた)

ジンチョウゲ科の木。
中国南部からヒマラヤ付近が原産地といわれ、枝先が必ず3つに分かれるという特徴があります。
苗を植えてから3年ごとに収穫が可能で、繊維は柔軟で細く光沢があり、紙にすると表面が滑らかで上品な印象になります。

雁皮(がんぴ)

ジンチョウゲ科。
栽培が難しく、山林に自生している自然種を利用します。
人が手入れをしていないため、良質ではない繊維やチリが多く楮や三椏に比べると処理に時間がかかります。
しかし、処理に時間がかかる分雁皮を使って作られた紙は光沢があり、丈夫で虫の害にも強い和紙を作ることができます。

この3種類は古くから伝わる日本の和紙に使われる三大原料です。

阿波和紙の染め技法

阿波和紙には様々な染め技法があります。
伝統的なものから現代的な技法までさまざまな技術があり、天然の染料や手作業による染色が特徴でどの染め技法も美しく、きれいな模様ができます。

揉み染め

手で揉み、染色する技法です。
この技法は阿波和紙以外の産地でも使われる技術ですが、揉み染めで染められた阿波和紙は色数が多く、色の組み合わせが美しいのが特徴です。

主に楮で作られた和紙を使って、職人さんの手で一枚ずつ手作業で染色されます。

板締め染め(いたじめぞめ)

木の板で挟んで圧力をかけながら染色する技法です。
和紙を折りたたんで板で挟み、圧力をかけると圧力がかかった部分が染まらずに模様ができ、幾何学的な模様やランダムなパターンを作り出すことができます。

伝統的な技法ながら、モダンなデザインにも適しているため、ファッションやインテリアに使われることもあります。

型染め(かたぞめ)

あらかじめ切り抜かれた型紙を使って和紙に模様をつける技法です。
型紙を和紙の上に置き、染料を刷り込むことで型紙の形に模様が浮かび上がります。

手作業による繊細な模様づけが可能で、伝統的な日本の文様や現代的なデザインが表現できます。

藍染め(あいぞめ)

和紙を折りたたんで染める技法や、模様をつけるために部分的に染料を施す技法があります。
阿波地方は日本有数の藍の産地であり、天然の藍を使用して染められた藍染め和紙は、深みのある美しい青色が特徴で、抗菌性や防虫効果も期待され、インテリアやアート作品などに広く利用されています。

引き染め(ひきぞめ)

和紙を平らに広げた状態で、刷毛や筆を使って均一に染料を引き伸ばす技法です。
均一な色合いを出すことができるため、シンプルな美しさが際立つ和紙が出来上がります。

この技法ではカラフルなものから、グラデーションを使ったものまで様々な美しい色合いの和紙を作ることができます。

絞り染め(しぼりぞめ)

和紙を部分的に縛ったり、くくったりして染める技法です。
縛った部分が染まらずに白く残るため、独特の模様ができます。

手作業で行われるため偶然性のある、ユニークな模様が生まれるのが魅力で、しわや折り目ができることで立体感のあるデザインの和紙ができます。

墨染め(すみぞめ)

墨を用いて和紙を染める技法です。
墨の濃淡やにじみを利用して、繊細な模様や陰影を表現します。

阿波和紙は、墨との相性が良く、墨染めによって独特の深みと質感が引き出されます。
書道作品や絵画の表現にもよく使われる染め方です。

草木染め(くさきぞめ)

天然の植物から抽出した染料を用いて和紙を染める技法です。
藍や茜、山桃、柿渋など、地域に自生する植物が染料として使用されます。

自然な色合いと、植物由来の優しい風合いが特徴で、和紙の持つ温かみをさらに引き出します。

漉き込み染め(すきこみぞめ)

和紙を漉く際に染料や装飾を加える技法です。
和紙の層に色を染み込ませるため、模様や色彩が紙全体に溶け込みます。

伝統的な技法でありながら様々なアレンジが可能で、現代アートやデザインにも取り入れられています。

友禅染め(ゆうぜんぞめ)

主に着物の染色技法として有名ですが、阿波和紙にも応用されています。
模様部分に糊を置き、染めたい部分だけを染料で染め上げる技法です。

鮮やかで細かい模様を和紙に表現できるため、特別な装飾和紙として人気があります。

刷り染め(すりぞめ)

スポンジや刷毛を使って、和紙に染料を擦り込んでいく技法です。
手作業で染料を摺り込むため、色の濃淡やグラデーションが生まれ、立体感や深みのあるデザインの和紙が作れます。

雪花染め(せっかぞめ)

和紙を細かく折って染めていきます。
折り方で模様の大きさが変わり、お花のような模様になったり雪の結晶の結晶のような模様になります。

色の組み合わせによってその種類は無限に広がり、その模様の可愛らしさから女性に大変人気があります。

阿波和紙の衰退

明治維新後は消費生活の変化に伴って紙の需要は激増しました。
しかし、大正時代に入ると大量生産が可能な機械製紙に対抗できなくなり、需要が激減。

ついには市場から締め出され、明治時代には222戸あった製紙戸数が大正10年には159戸に減り、昭和3年には40戸、現在では専業としているのは1戸になってしまいました。
この1戸では昔ながらの技法を継承し、阿波手漉和紙の伝統を守り続け昭和45年には徳島県無形文化財に指定されました。

そして、阿波和紙は昭和51年に経済産業大臣が指定する伝統工芸品に指定されたのです。

阿波和紙の作られ方

貴重な伝統工芸品である阿波和紙。
そんな阿波和紙を作るには手間と時間がかかります。
どのように作られていくのでしょうか?

※阿波和紙は特に楮をよく使用して作られているため、楮を使った作り方で説明します。

原料の栽培と収穫

収穫した楮の枝は、水に浸けて柔らかくし、皮を剥きます。
剥かれた皮は「黒皮」と呼ばれ、この皮から和紙の原料となる「白皮」が作られます。

皮剥ぎ(かわはぎ)

楮の枝から皮を剥き取った後、その外側の黒い部分を取り除きます。
これを「皮剥ぎ」といい、白い内側の部分のみが「白皮」として使用されます。

この工程は手作業で行われ、非常に繊細な作業です。
白皮の品質が紙の品質を左右するため、ここでの精度が非常に重要になります。

晒し(さらし)

皮剥ぎで得た白皮はそのままでは不純物が含まれているため、さらなる処理が必要です。
白皮を川や清流に晒し、日光と水で漂白します。

この工程によって、白皮はさらに白く美しくなり紙の美しさや強度が増します。

煮熟(しゃじゅく)

晒された白皮は、次にアルカリ性の灰汁などで煮込みます。
これを「煮熟」といい繊維を柔らかくし、より細かくするための工程です。

煮込むことで、不要な成分が取り除かれ、繊維が解けやすくなります。
この工程も紙の質に大きく影響するため、時間や温度の調整が非常に重要になります。

打解(だかい)

煮熟された楮は水で洗い流し、さらに繊維をほぐすために叩かれます。
これを「打解」と呼び、木槌や機械を使って繊維を細かくしていきます。

この過程で繊維の長さや太さが均一になるよう調整され、滑らかな和紙のベースが出来上がります。

チリ取り(ちりとり)

叩かれてほぐされた繊維の中には、まだ不純物やゴミが含まれていることがあります。これらを手作業で取り除くのが「チリ取り」の工程です。
手で繊維を広げながら、不純物を細かく取り除くことで、紙の透明感や滑らかさが確保されます。

撹拌(かくはん)と粘剤の加え

次に、ほぐされた繊維を水に漬け桶の中でよく撹拌します。
この時、楮の繊維が水に均一に混ざり合うようにします。

そして、「トロロアオイ」という植物の根から抽出された粘剤を加えます。
これが紙の繊維同士をつなぎ、均一に広がる役割を果たします。

トロロアオイは阿波和紙の特徴的な素材であり、和紙の滑らかさや強度を高めます。

漉き(すき)

ここからが和紙作りの最も重要な工程です。
和紙の繊維を含んだ水を「簀(す)」と呼ばれる竹製の網に流し込んで紙を漉きます。

この簀を何度も揺らしながら水を切り、繊維を均一に広げていきます。
漉き方によって、紙の厚さや質感が変わるため、職人の技が最も問われる部分です。

この工程は「流し漉き」と呼ばれ、手漉きならではの風合いが生まれます。

圧搾(あっさく)

漉き上がった紙はまだ水分を多く含んでいるため、何枚も重ねて「圧搾機」で水分を絞ります。

この工程で、紙がしっかりと固まり、さらに乾燥がしやすくなります。

乾燥(かんそう)

圧搾後の紙を乾燥させます。
伝統的な方法では板や鉄の板に紙を貼り付け、日光や風で自然に乾燥させる「天日干し」が行われます。

乾燥の過程で紙が引き締まり、滑らかな質感が生まれます。
乾燥方法によって紙の仕上がりが変わるため、この工程も職人の腕の見せ所です。

仕上げ

乾燥した紙は不純物や欠陥がないかを確認します。
必要に応じて紙の端を整えたり、加工が施されることもあります。

仕上げの工程で紙の表面を滑らかにし、美しい和紙が完成します。

まとめ

長い歴史の中で進化してきた阿波和紙は現在では壁紙などにも使用されています。
ホテルやレストランなどでも使用され、アートパネルはアメリカのクレイグ・アンセロウィッツ氏のデザインと監修のシリーズが有名です。

もしかすると私たちのあまり意識していないところで阿波和紙は使われているかもしれないので、注意して見てみてくださいね。
きっとどこかに阿波和紙が使われているかもしれません。

工芸
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