熊本県山鹿市の伝統工芸品である「山鹿灯籠」は、金銀の和紙で作られた美しい灯籠のことで、毎年夏に行われr「山鹿灯籠まつり」で女性たちが頭に載せて踊る姿は、幻想的で多くの観光客を魅了します。
今回は、そんな山鹿灯籠の魅力や歴史について解説していきます。
山鹿灯籠とは
山鹿灯籠は、和紙と糊だけで作られた接着剤や釘を一切使わない工芸品で
金色や銀色に輝く灯籠は非常に軽く、頭に載せても落ちないようバランスよく作られています。
山鹿灯籠の歴史
山鹿灯籠の起源は約600年前の室町時代まで遡ります。
一説によると、大雨で迷った大将・菊池武時を山鹿の人々が松明で導いたことが始まりとされます。
その後、山鹿温泉の繁栄とともに、灯籠作りは武家文化から町人文化へと広がり、現在のような芸術的な工芸品へ発展しました。
山鹿灯籠の魅力
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職人の技術力
和紙と糊だけで作られるため非常に繊細で、形が崩れないように作らなければならないため、高度な技術が必要です。 -
デザインの美しさ
神社や城、宝船など多彩なモチーフがあり、細部まで非常に繊細に描かれています。 -
祭りでの幻想的な光景
毎年8月に行われる「山鹿灯籠まつり」では、女性が灯籠を頭にのせて踊る「千人灯籠踊り」が見どころです。
山鹿灯籠まつりとは
山鹿灯籠まつりは、毎年8月15日・16日に行われる熊本県を代表する夏祭りの1つです。
山鹿灯籠を頭にのせた女性たちが優雅に踊る千人灯籠踊りは圧巻で、夜になると金色の灯籠が一斉に灯り、幻想的な雰囲気に包まれます。
山鹿灯籠の作り方
山鹿灯籠は「山鹿灯籠師」と呼ばれる職人が一つずつ手作業で制作します。
製作工程は大きく分けて以下のように作られていきます。
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設計図を作る
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和紙の裁断
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骨組みの組み立て
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面貼り(外側の張り付け)
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金銀箔貼り
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仕上げ・装飾
1.設計図を作る
まず、灯籠の形(神社、城、宝船など)を正確に描いた設計図を用意します。
ミリ単位の精密さが求められるため、製図は大工仕事に匹敵する職人技です。
2.和紙の裁断
次に、山鹿和紙を丁寧に裁断します。
和紙の厚さや質感によって仕上がりが変わるため、部位ごとに紙を使い分けるのもポイント。
3.骨組みの組み立て
細長く切った和紙を糊で貼り合わせ、骨組みを作ります。
木や竹を使わず和紙だけで立体を作るため、湿度や乾燥の管理が重要。
少しでも乾きすぎると歪んでしまうため、職人は気候や気温を見極めながら作業します。
4.面貼り(外側の張り付け)
骨組みが完成したら、外側に和紙を貼って形を整えます。
糊の濃さを変えて貼りムラが出ないようにするのがプロの技。
5.金銀箔貼り
灯籠全体を覆うように金箔や銀箔を貼ります。
この工程で、灯籠特有の輝きが生まれます。
箔は非常に薄いため、呼吸で飛んでしまわないよう慎重に扱われます。
6.仕上げ・装飾
最後に細部の模様や飾りを加えて完成。
1つの灯籠を作るのに数週間から1か月以上かかることもあります。
山鹿灯籠民芸館に行ってみよう
山鹿市には山鹿灯籠民芸館があり、製作工程の見学や体験ができます。
また、お土産用の小型灯籠も販売されており、自宅に飾るインテリアとしても人気があります。
- 所在地 熊本県山鹿市山鹿1606-2
- 電話番号 0968-43-1152
- 営業時間 午前9:00〜午後6:00(受付は午後5:30まで)
- 休館日 年末年始:12月29日~1月1日
- 入館料 一般:300円、小・中学生:150円
まとめ
和紙と糊だけで作られる非常に軽い山鹿灯籠。
設計から仕上げまで全て人の手作業で行われる、非常に特別な伝統工芸品であることがわかりますね。
祭りと共に受け継がれてきた熊本の文化遺産を是非、山鹿灯籠まつりの時期に合わせて、幻想的な光景を見に行ってみてくださいね!