1.棚田とは
棚田は、山田や千枚田とも呼ばれ、傾斜が20分の1、つまり、20m進むと1m高くなるくらいの傾きの斜面にある田んぼです。
全国に約22万ヘクタールあり、水田のうち約8%を占めています。
新潟県や岡山県のほか、特に西南部に多く見られます。
古い歴史をもつ棚田ですが、近年減反政策や、過疎化、高齢化による耕作放棄が大きな問題となっています。
2.棚田の特徴と種類
棚田の特徴
棚田は、急傾斜地に立地しているため、小区画の水田が多く、農道が整備されていないため、手作業・農作業時間が多くなりがちです。
しかし、過去の地すべり地など豊かな土壌にあり、山間地域は昼夜の温度差が大きいため、味の良いお米が収穫できます。
雨や雪どけの水をたくわえた春先の風景がとても美しいのも特徴です。
棚田の種類
一口に棚田と言っても、たくさんの種類があります。
- 石積みの棚田
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土手の部分に石を積んだ棚田です。面積が広くなるよう、田んぼとほぼ直角に積み上げられています。 - 土は(どは)の棚田
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石ではなく、土で土手が固められた棚田です。 - 千枚田
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機械がない時代に人間の手で山一面に拓いた棚田です。 - 谷地田、沢田
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沢がある谷間に何枚か拓いた棚田です。
この他、地形にそった細長い形のものや、海面近くまで及ぶ臨海型の棚田もあります。
3.美しい棚田の風景
美しい棚田は日本の原風景とも言われ、私たちの郷愁を誘います。
農林水産省は1999年、棚田の保全のために「日本の棚田百選」を認定しました。
その中からいくつかご紹介します。
長野県北安曇郡白馬村 青鬼の棚田
白馬村の北東端に位置する青鬼(あおに)集落。標高約760mの山腹に位置し、重要伝統的建造物保存地区に選定されています。
北アルプスの山並みと棚田、伝統的な建築物がしっとりと落ち着いた風景を織りなします。
石川県輪島市 白米千枚田(しらよねせんまいだ)
輪島市白米町にある日本海に面した棚田です。
約3.8ヘクタールに1004枚の棚田が海岸まで続き、国指定文化財名勝にも指定されています。
秋冬に行われるイルミネーションイベント「あぜのきらめき」では2万個以上のLEDを設置し、幻想的な雰囲気を楽しむことができます。
新潟県十日町市峠 星峠の棚田
全国から多くのカメラマンが訪れる人気の棚田。
特に春先と秋に田んぼに水が入る「水鏡」は絶景です。
しかし、集落戸数が減りつつあり、今後いかに保全していくのが課題となっています。
棚田の美しい風景は見応えがありますが、観光地ではなく、農家の方が実際にお米を作る大切な土地です。
立ち入り禁止区域に入らない、ゴミの持ち帰りなどマナーを守って見学してください。
4.大切な棚田を守るために
もともと棚田は山腹の不便な土地にあり、農業の大規模化、過疎化、高齢化が進むにつれて、集落より遠い区域や、未整備のところから耕作放棄が見られるようになりました。
こうした動きにともない、伝統的な農村風景が失われつつあることを反省し、1990年代前半から保全への動きが見え始めました。
公的には耕作農家に助成金を支給するようになり、民間では棚田のオーナー制度が設けられるようになりました。
オーナー制度では、希望者が会費を払い、指導を受けながら農業体験をし、収穫後は決められた量のお米を受け取ることができます。
各棚田によって会費や作業量が異なりますが、3万円程度でオーナーになれる棚田が数多くあります。
[棚田百貨店]
5.棚田は日本の原風景
四季折々、そして朝、昼、夜と時間帯によっても異なる風景を見せてくれる棚田。
厳しい自然に耐えて、祖先の人々が苦労しながら切り拓いてくれたもので、人間の素晴らしい英知とたくましさをしみじみと感じます。
この風景を未来にも伝えることができるように、日本の米文化、棚田の風景を大切にしていきたいものです。