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蛯谷工芸・蛯谷亮太さん|近江一閑張職人インタビュー|伝統を繋ぐ人々

蛯谷工芸、蛯谷亮太さん

【伝統を繋ぐ人々】近江一閑張/蛯谷亮太さん

【プロフィール】
蛯谷亮太
1991年10月6日生まれ

パティシエやバイク整備士を経て家業の一閑張作りを継ぐ。
中学時代には手伝いなどをしていたが、23歳でこの道に入って1から仕事をし、難しさを改めて痛感。
しかし持ち前の器用さで習得に3年かかるところを1年半で覚える。
自分なりの作品も制作、猫ブームを受け「猫ちぐら」を一閑張で作成。
また7月には地域おこし協力隊の藤田剛史さんと協力しネットショップを開設。

Q1. 工芸品について教えてください。


近江一閑張は、一般的な一閑張のように素材に竹や木ではなく紙紐を用いて形作るのが特徴で、その上から和紙を張り重ね柿渋を塗って仕上げます。
網目に沿ってしっかりと張り込まれた和紙と、使い込むごとに独特の艶がでる柿渋の風合いで美しく仕上がっております。

Q2. 職人になろうと思ったきっかけとこれまでの歩みを教えてください。

家業で物心ついた頃から祖父や父の仕事を見てきたため、物作りや手を動かすことは小さいころから好きでした。
ですが家業を継ぐという気は全く無く、3年前までは趣味の延長でパティシエやバイクの整備士をしていました。
しかし経営悪化により廃業の可能性が大きくなり、伝統を絶やしたくないと思い継ぐ事を決意しました。

Q3. 一人前になるにはどういったことが必要だと思いますか。

まだまだ私も試行錯誤をしている段階ですが、自分で考え実践し続ける事がとても大事だと思っています。

Q4. お仕事の流れを教えてください。

商品を作るのに1ヵ月ほどかかります。
1点ずつ完成させていくわけではありせんので、10個ほどの商品を同時進行で作業していきます。
それぞれの商品ごとの長さに材料の紙紐をカットし、編みあげていきます。

編みあがったものにまず下張りの紙を張っていきます。内側外側とも1面ずつ張っては乾かしを繰り返します。
全面張れると完全に乾燥させた後に色の和紙で上張りをしていきます。
この作業も下張りと同様に各面乾燥させながら張っていきます。

上張りが終わると最低でも丸一日は乾燥させ、柿渋を塗っていきます。
塗っては乾かしてを3回繰り返し、完全に乾燥させ完成となります。

Q5. 仕事でつらい点、良かったと思う点を教えてください。

良くも悪くも自由です。
手を抜けばどこまででも抜けて、こだわればどこまでもこだわれます。

一朝一夕で身につく技術ではないところは、難しい所であり面白い所でもあります。
自分の好きな物を1から作れるところは本当に魅力的だと思います。

Q6. 情報発信で行っていることはありますか。

SNSを積極的に使っています。

特にインスタグラムではただ伝統を表に出すのではなく、若い世代にも受け入れられるような表現を意識しています。
今までは百貨店の販売がメインで年配の方がメインのターゲットでしたが、SNSを使うことで幅広い年齢層の方にアプローチできると考えています。


蛯谷工芸のHP

Q7. 今後の展望を教えてください。

日本の技術力は世界でも認められている物なので、伝統を守りながらもその技術を活かして今の時代に合った商品や技術の使い方を考え直すべきだと思っております。
また職人の高齢化も進んでいるので若い人が憧れるような働き方が出来るように努力する必要もあると考えています。

Q8. 最後に、職人を目指す人へメッセージをお願いします。

自分の腕で勝負できる職人という道はとても魅力があると思います。
先行き不安な時代だからこそ伝統という大きな下地がある世界でしっかりと歩んでいってほしいです。