童謡は、小さな子どもから高齢者までが口ずさめる優しいメロディ。
身近にある四季折々の風景を表した歌が多いのも童謡の特徴です。
この国の季節の移り変わりや時代背景、そして作者の思いなど、様々なエピソードを持つ童謡もあります。
ここではそんな童謡の世界を見ていきたいと思います。
1.季節別に見る日本の童謡・唱歌
日本の童謡や唱歌は、季節別に分けてみただけでも、たくさんの歌があることが分かります。
その代表的なものを挙げてみました。
- 春のうた
- 「春よ来い」「春の小川」「どこかで春が」「ちょうちょう」「さくらさくら」「どこかで春が」「うれしいひなまつり」「てるてる坊主」「こいのぼり」「かたつむり」「花」「春風」
- 夏のうた
- 「茶摘み」「海」「夏の思い出」「われは海の子「たなばたさま」「ほたるこい」「かもめの水兵さん」「花火」「ふじの山」「夏は来ぬ」「あめふり」「あめふりくまのこ」
- 秋のうた
- 「ちいさい秋みつけた」「まっかな秋」「七つのこ」「夕焼け小焼け」「もみじ」「里の秋」「まつぼっくり」「虫のこえ」「どんぐりころころ」「秋の子」「村祭」「月」
- 冬のうた
- 「たき火」「雪(ゆきやこんこ)」「おおさむこさむ」「ジングルベル」「北風小僧の寒太郎「豆まき」「冬の歌」「雪とこども」「雪のこぼうず」「雪のおどり」「お正月」「凧の歌」
- 子どもの遊び歌である
- 囚人のことを表す歌である
- 遊女の悲しみを表した歌である
曲名を見ただけで口ずさめるものが多いですよね。
子どもの頃、良く歌ったことが思い出されます。
季節に関するものを歌った童謡は、その歌にある景色が見えてくるような気がします。
2.童謡に込められた思い
童謡には作詞家の秘められた思いや、その時代の背景が強く影響しているものが多くなっています。その中でも有名なのが「ぞうさん」「シャボン玉」「海」です。
ぞうさん ぞうさん
お鼻が長いのね
そうよ 母さんも長いのよ
ぞうさん ぞうさん
だあれが好きなの?
あのね 母さんが好きなのよ
第二次世界大戦で動物園の動物達が次々と殺処分されるという悲しい現実を乗り越え、戦後初めてインドからゾウが贈られて来たことに平和を実感し作られた歌と言われています。
シャボン玉 飛んだ
屋根まで 飛んだ
屋根まで 飛んで
こわれて 消えた
シャボン玉 消えた
飛ばずに 消えた
生まれて すぐに
こわれて 消えた
風 風 吹くな
シャボン玉 飛ばそ
長女が生後7日目に亡くなったことを悔やむ作者(野口雨情)が、その後シャボン玉を飛ばして遊ぶ少女達を見て、「我が子も生きていれば、この子達と一緒に遊んでいただろうに」と思いながら書いた詩と言われています。
海は広いな 大きいな
月がのぼるし 日が沈む
海は大波 青い波
ゆれてどこまで続くやら
海にお舟を浮かばして
行ってみたいな よその国
兵隊を志願する男の子向けとして戦時中に作られた歌とも言われ、「行ってみたいな よその国」のよその国とは敵国を表しています。
歌詞の意味は諸説あるため、ここに書いたものが必ずしも正しいという訳ではありませんが、時代の背景や作者の気持ちに思いを馳せると、少し切なく感じてしまいます。
3.諸説あり!「かごめかごめ」の意味
諸説あることで有名な童謡といえば「かごめかごめ」。
その一部を御紹介します。
かごめ かごめ
かごの中の鳥は
いつ いつ 出やる
夜明けの晩に
鶴と亀がすべった
後ろの正面だあれ
かごの中の鳥=オニと解釈し、「囲め、囲め、オニはいつになったら次の人と交代して出て来られるの?」という意味の歌。
語呂やリズムを合わせるために曖昧な言葉遣いになっている部分もある。
かご=牢屋と解釈し、かごの中の鳥は囚人。
鶴と亀が滑った=死刑や脱獄など不吉なこと
後ろの正面だあれ=誰かが来る・・・それは脱獄を手助けしてくれる仲間か、死刑執行の迎えにくる役人か・・・
かごの中の鳥=自由のない遊女、夜明けの晩に=一晩中男の相手をさせられ、いついつ出やる=いつここから出られるのか、後ろの正面だあれ=もう次の男の顔が見える
という遊女の悲しい気持ちを表した歌。
4.聴く人・歌う人を和ませる童謡
このように童謡には知られざる意味が隠されていることもあります。
大人にとっては、懐かしいものも多いのではないでしょうか。
童謡の解釈は諸説あるため、調べてみると意外な面白さが見えてきます。
誰もが一度は耳にし、歌ったこともある童謡。
これらの歌は赤ちゃんにも聞かせたい優しいメロディで、聴く人・歌う人の心を和ませてくれます。
目に見える形としては残らないものの、これからも伝え続けていきたい日本の大切な伝統文化のひとつと言えるでしょう。