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二葉桐工房・田中英二さん|桐箪笥職人インタビュー|伝統を繋ぐ人々

二葉桐箪笥工房の職人、田中英二さんの写真

二葉桐箪笥工房の職人、田中英二さんの写真

【プロフィール】
二葉桐工房
田中英二

1964年 東京都墨田区生まれ
1988年 桐たんす伝統工芸士「田沢謙介」氏に師事
1990年 桐たんす仕上げ職人「高木新一」氏に師事
1996年 墨田区区長より「すみだマイスター」認定を受ける
1997年 イタリアにて古い家具の修復文化を学ぶ
1998年 第五回すみだマイスター創作大賞で作品「桐の中の切り子」で大賞受賞
1998年 銀座松屋にて「グループ生き粋の仕事展」出品
1998年 「桐屋田中」製造部部長就任
1999年 「伝統工芸職人による作品展」において最優秀賞受賞 受賞作品「桐のカウチ」
1999年 建築家の方とのジョイントでイタリアミラノにて個展開催。 東京銀座で行われたレセプション会場にて約200名の前で制作実演を行う
2006年 「桐屋田中」専務取締役就任
2007年 所ジョージさんの「劇的ビフォー・アフター」で桐たんすの修理・修復を行う
2008年 「すみだ作る創るの会」会長就任
2008年 「大江戸すみだ職人展」実行委員会副会長就任 職人13人とデザイナー高橋正実さんとのコラボで「大黒柱」制作
2009年 表参道ヒルズ「ギャラリーコーワ」にてすみだ作る創るの会作品展開催
2010年 桐たんす老舗メーカー「桐屋田中」退社・株式会社二葉桐工房設立
2011年 墨田区伝統工芸保存会入会
2011年 UIA2011東京大会の一環として行われた東京チェアシティー展」に「RAKUZA」を出展
2012年 「大江戸すみだ職人展」実行委員会会長就任
2012年 東京スカイツリー5F「すみだまち処」の展示台、大型テレビのフレームを桐で制作
2012年 桐超軽量椅子「RAKUZA」がすみだモダン認定製品に選出

Q1. 桐箪笥の特徴としてどういうものがありますか。

桐箪笥に主に収納するのは、着物です。
お客様が口を揃えて言ってくださるのは、とにかく中の着物が痛まないということ。
桐は虫がつきにくいのと、中の湿度が一定に保たれるというのが大きな特徴ですね。

桐箪笥修理後1

Q2. 職人になろうと思ったきっかけを教えてください。

元々は家業が桐箪笥屋でした。
母方、父方とも桐箪笥屋の家系だったので、そう考えると今この仕事をしているのも宿命なのかなとも思います。

2年ほど一般企業に務めていましたが、やはりものづくりもいいかなと思って、家業を継ぐような形で桐箪笥屋になりました。
まずは修行ということで、桐箪笥の産地として有名な新潟の加茂へ行き、伝統工芸士の下で1年修行をしました。
基礎はそこで学びましたね。

Q3. 仕事でつらい点、良かったと思う点を教えてください。

当たり前でしょうけど、修行時代は大変ですよね。
私は新潟に修行に行ったのですが、朝、刃物を研ぐ為のバケツの水が凍っているんです。
それをトンカチで叩き割ってから研ぐのですが、それはつらかったですね。

良かったのは、やはり自分の仕事でお客様が喜んでくれたときですね。
修理でも母の形見の箪笥であったり、前に使っていた人の気持ちもありますからね。
泣いて喜んでくれる方もいたり。ただ物を直すのでなく、継承に役立てているかなとは思います。
今はとっても楽しい仕事ですね。

Q4. 修行時代を乗り越えるには何が必要ですか。

以前は弟子もいたのですが、真剣に、気持ちを持ってこの仕事を始めても、実際に作業してみて大変さがわかるというのもありますからね。
職人の仕事は大変、つらいもそうですが、同じことの繰り返しというのがあるんですよ。

特に一人前じゃないうちはこれをずっと削ってろとか、単純作業、繰り返しの作業が多いので、その段階で挫折してしまう人もいますね。
いきなり箪笥をつくれるわけじゃないので大事な作業なんですが、そこを「こういうことがしたいんじゃなかった」みたいに思ってしまう人は結構いました。

そういうのを見ていて一番思うのは、「我慢」です。
やっぱり自分で苦労して身につけた技術というのは、やっぱり違うんですよね。

桐箪笥のRAKUZA

伝統技術を用いて作った椅子「RAKUZA」

Q5. お仕事の流れを教えてください。

木工は板と板をくっつける為に一日置いたりするので、複数の仕事を同時並行で進めています。
あとは実演で外に出たりもしますね。
スカイツリーの中だったり、江戸東京博物館だったり。

学校向けのワークショップなども行っていました。

Q6. 情報発信で行っていることはありますか。

HP、ブログを主にやっています。
サイトを見て問い合わせを頂いたり、この写真のような箪笥が良いと言ってくださるお客様もいますね。


二葉桐工房のホームページ

Q7. 今後の展望を教えてください。

箪笥の修理というのは様々な依頼があって、中には突拍子もない依頼なんかもあるんですよね。
そういう依頼でもなるべく対応していきたいです。

また、”着物を入れる桐箪笥”としては需要が減少していますので、箪笥以外の、生活の道具として使えるような、そういうものも作っていきたいと思っていますね。

Q8. 職人を目指す人へ何かアドバイスはありますか。

最近は寿司職人も”3ヶ月でマスター出来る学校”などもあって、10年も修行するのは無駄だという人も居ますが、やっぱり10年で身につけたものと3ヶ月で得たものというのは、絶対に違うと思います。

今私は修理の仕事もしていますが、これも今までの職人としての基礎的な蓄積があるから出来るわけであって、いきなり修理やれと言ったって、形は出来ても本当の意味では出来ないんじゃないかと思うんです。
やっぱり桐箪笥職人としての基礎はやはり道具をきちっとして、新しい箪笥を組み上げるのが基礎的なことだと思います。
木工というのは真っ直ぐ切る、平らに削るという繰り返しで、その基礎が身に付いていれば、修理のような応用も出来るんですよね。

基礎と経験ですね。
それにはやっぱり我慢するしかないのかなぁと思いますね。