着物の染めと織り。着物(和服)に使用する生地について

女性の着物写真
日本の民族衣装といえば、着物。
豊かな自然とはっきりとした四季が着物を美しく発展させてきました。

しかし、洋服の登場により日本の着物(和服)は急速に出番が減ってしまいます。
ところが近年、着物を使った観光客誘致やイベント開催など、再び脚光を浴びてきました。

着物に興味を持ち始めると、様々な素材、染め方や織り方で生地が作られており、まず圧倒されてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこで入門篇として、日本の着物の染めと織りについて基本的な事柄をまとめてみました。

【目次】
1.糸について
 1-1.糸の原料
 1-2.糸の作り方
2.織る
 2-1.織り方の種類
3.
染め
 3-1.染料の種類
4.まとめ

1.糸について

1-1.糸の原料

着物の生地を作るのに、まず最初に必要なのは”糸”です。
その糸の元になる原料としては、動物繊維と植物繊維の2種類があります。

【動物繊維】
羊などの動物の毛を原料とする繊維。
蚕(かいこ)の繭(まゆ)を原料とする絹糸も、動物繊維の分類に入ります。
【植物繊維】
植物を原料とする繊維。
着物には、茎の繊維を使用する麻やワタから作られる木綿が主に使用されます。

1-2.糸の作り方

原料によって作り方は様々ですが、基本的な流れは同じです。
原料から繊維を取り出して、それを一本の長い糸にしていくのです。

(1)絹糸


蚕の繭から作る絹糸は、その中でも主に2種類に分けることが出来ます。

【生糸(きいと)】
蚕が作り出した繭を煮ることで糸をほぐいて、蚕の長い糸をそのまま取り出していきます。
【真綿紬糸(まわたつむぎいと)】
繭を一度ふわふわの綿状にして、それをほぐしながら紡(つむ)いで作る糸。
生糸に比べ均一性はなく太い糸だが、保湿性が高く暖かい。

(2)植物繊維の糸


木綿に限っては上記の真綿のように紡いで作りますが、それ以外の麻などは、最初に葉や茎をほぐしたり裂いたりして繊維状にします。
それを結んだり拠ったりして長い糸を作っていくのです。
このことを“績む(うむ)”といいます。

では、せいぜい大きくて数メートルの植物の繊維を手作業で結んで糸にするには、どれほどの手間がかかるのでしょうか。
例えば、沖縄に芭蕉布というものがあります。

芭蕉布の原料の糸は、イトバショウという植物の繊維を使っています。
イトバショウの高さは全長でも2メートルです。
着物1枚分の生地を作るためには、大体35~40キロメートル分の長さの糸が必要ですから、2万回近く結ぶ作業をしなければなりません。
その工程を経てようやく織りの作業へ入っていくことが出来るのです。

☆用語解説

【紡ぐ(つむぐ)】
綿などから繊維を引っ張り出しながら、それを拠(よ)ったりして細長い糸にしていくこと。
【績む(うむ)】
繊維をしめらせながら拠って繋いで長くすること。
【拠る(よる)】
繊維をねじること。こうすることで糸が丈夫になる。

2.織る

糸が出来上がると、次はそれを織る作業に入ります。
織るとは、糸を縦と横に組み合わせて生地にすることで、織り機を使って作業します。
この作業が“機織(はたおり)”というものです。
一般的に手織りに使う織り機は、地機(じばた)と高機(たかばた)の2つがあります。

【地機】
地機
古来から使われており、床に座って作業する。
コンパクトで小さな部屋でも作業が出来る。
【高機】
高機
地機を改良したもの。イスに座って作業することで、足でも操作できる。
複雑な織りに対応している。

2-1.織り方の種類

着尺を一着作るのに必要な生地の長さは幅約37センチ、長さ約12メートル50センチ程です。
その長さを一枚の生地(通称:一反)として織っていくのですが、基本的な糸の織り方として、下記の「三原組織」と呼ばれるものがあります。

(1)平織
平織の組織図
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を1本ずつ交互に組み合わせる。丈夫で破れにくいのが特徴。
(2)綾織(別名:斜文織)
綾織の組織図
織り目が斜めに並ぶ。
(3)朱子織(別名:繻子織)
朱子織りの組織図
しなやかで光沢がある。

この3原組織に、経糸が緯糸の間で絡み合って隙間をつくる、通気性の良いもじり織(別名:からみ織)を加えて四原組織という場合もあります。

3.染め

織りが終わると、次は染めです。
着物の染めは大きく2つに分類され、下記の「先染め」と「後染め」があります。

【先染め】
織る前の、糸の状態で先に染めて、それを織り上げて完成となります。(絣、紬、上布、縮など)
【後染め】
織ったあとの生地に手描きで文様を描いたり、型染めで絵柄をつけて完成となります。(型染め、友禅など)

ちなみに、どちらも「染め」と「織り」の工程は行うのですが、上記のように先染めと後染めで着物の種類が分類されることから、先染めの着物のことを「織りの着物」。後染めの着物のことを「染めの着物」と呼んだりもします。

3-1.染料の種類

染料は、天然染料化学染料の2つに分けられます。
そして天然染料の中でも下記の3種類に分類する事が出来ます。

  • 植物系
  • 藍、紅花など

  • 動物系
  • ムラサキ貝など

  • 鉱物系
  • 泥など

関連記事:生きた染料、日本の藍染めの魅力と伝統

☆用語解説
【絣】
先染めの技法。
着物に使う糸の、模様にしたい部分に他の糸を結びつけ、染料につける。
すると他の糸を結んでいた箇所だけ染料に染まらずに、それを織ることで模様を出すことが出来る。(久留米絣など)
【紬】
真綿を紡いだ糸で織られる着物(大島紬など)
【上布】
苧麻(ちょま)を手作業で績んでから平織りにした薄手の麻織物。(越後上布など)
【縮】
生地の表面に波状のしわ(通称:しぼ)がある着物。緯糸に強い拠りをかけて織ることでそのような状態になる。(小千谷縮など)
【型染め】
型紙に模様を彫って、それを生地に当て、上から染料を付けることで模様をつける後染めの技法。(江戸小紋など)
【友禅】
筆や刷毛を使用して鮮やかな色彩で絵柄を描く後染めの技法。(京友禅など)

4.まとめ

今回は基本的な事柄だけをまとめてみました。
糸や染め、織りはそれぞれ奥が深く、調べていくと非常に面白いものです。
ぜひ自分で気に入った着物を着て、着物生活を楽しみましょう!


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