誰もが一度はあこがれるきらきらとした宝石のついたジュエリー。
特に女性はネックレスやピアス、指輪などジュエリーが好きな方も多いですよね。
そんなジュエリーの加工技術において山梨県の甲府市に職人さんが集まり、加工している工場が多数あるのをご存じでしょうか。
そんな加工技術の発展を語る上で欠かせないのが特殊工芸品【甲州水晶貴石細工】です。
今回はこの甲州水晶貴石細工についてご紹介します。
甲州水晶貴石細工とは?
甲州水晶貴石細工とは自然が生んだ天然の貴石に彫刻を施し、職人さんの手によってしっかりと研磨することによって芸術作品を仕上げる伝統工法のことです。
甲府市は、水晶の産地であり昔から水晶細工で様々な工芸品が作られてきました。
水晶は素材が天然のものになるためその大きさや形が限定され、その硬度はガラスに比べて倍以上も硬いため、加工は大変困難で形を加工するのに大変時間が必要になります。
また、石の種類によってその組織が異なるため、粘り強い石もあればもろい石もあり、加工には細心の注意と根気強さ緊張感が必要です。
そのため、加工の最終仕上げに進むまでは決して気が抜けない技術になり、熟練の職人の技が必要になります。
甲州水晶貴石細工の歴史
甲府で水晶が発見されたのは約1100年前景勝地「御岳昇仙峡」の奥地金峰山周辺から発見され採掘されたことから始まります。
その当時、水晶は原石のまま置物として珍重されていましたが、江戸時代のに入り京都から【玉造り】の職人さんを迎えたことで、鉄板の上に金剛砂をまいて水晶を磨く方法が伝わり、玉の手磨き方法を習得したことが水晶加工の始まりとされています。
1850年頃には水晶以外に翡翠を使った数珠や帯留め、根付などの注文を受けていたことがわかっています。
手磨きで行われていた磨きも明治時代に入ると足踏みの回転式の機械に改良され、さらに時代が進んだ大正時代には電気の力を使った電力加工により加工技術も飛躍的に進歩しました。
昭和52年には通商産業大臣指定(伝統工芸品)産業と認定されています。
詳しい技術と技法
水晶の硬度は前述したようにガラスの倍以上あります。
また、甲州水晶貴石細工は水晶とありますが、水晶以外に瑪瑙(メノウ)や翡翠、虎目石なども含まれます。
その加工技術や技法について詳しく解説していきます。
石取り
原石の形や縞目、傷の有無を確認し、それを踏まえて何を作るか決めます。
原石切断
石取りである程度形が決まったらその石を切断します。
原石絵付け
切断した石に形となる元の絵を書きます。
切り込み
元絵から外れている部分を切り落としていきます。
カキ込み
元絵にそって石を成形します
荒摺加工
直径0.5mmの研磨剤(炭化ケイ素)を使って加工します。
中摺加工
直径0.05mmの研磨剤(炭化ケイ素)を使って加工します。
仕上摺り加工
直径0.005mmの研磨剤(炭化ケイ素)を使って加工します。
磨き加工
研磨剤(酸化クローム)を使って仕上げを行います。
まとめ
宝石の産出は海外がほとんどになるので、加工も一緒に海外で行われることが多く日本は宝石の加工技術が少ない印象が大きいです。
しかし、日本の宝石を加工する技術も海外に劣らず美しく、大変細かいデザインになっています。
そんな甲州水晶貴石細工を山梨を訪れた際には是非見てみてくださいね!