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小岩井紬工房・小岩井カリナさん|上田紬職人インタビュー|伝統を繋ぐ人々

上田紬職人小岩井カリナさんの画像

【伝統を繋ぐ人々】信州上田紬職人/小岩井カリナさん

【プロフィール】
小岩井カリナ
長野県上田市出身

かつては蚕種製造業を営み、現在は染め・整経・機織りの全工程を行う上田紬の織元に生まれる。 
高校を卒業後大学では中国語を学び、北京外国語大学へ留学。
大学卒業後、劇団前進座付属養成所で演劇に関する様々なことを学ぶ。
一年後劇団前進座へ入座。在籍中は東京国立劇場、京都南座や全国地方巡演、また訪中公園などへも参加。
2004年退座後、アイルランドへ短期留学。
ヨーロッパを旅する中で日本の伝統文化の素晴らしさを感じ、実家の手織り上田紬の道へ入る。
「見て楽しく、着て楽しい」着物づくりを心がけ、全国伝統的工芸品展、シルク博物館展、日本民芸館展、など多数入選。
2016年12月、信州紬の伝統工芸士に認定される。

Q1. 工芸品について教えてください。

上田紬は江戸時代より、大島紬・結城紬に並ぶ日本三大紬の一つとして広く知られています。
表地につき裏地を三枚取り替えるほど丈夫なことから「三裏縞」と呼ばれ、人々に愛用されてきました。

伝統的な柄には縞や格子が知られていますが、最近ではグラデーションのもの、色目の明るいものなども作られ、カジュアルに着られる紬としても人気があります。

小岩井さんの上田紬ストール

ツムギストール
Q2. 職人になろうと思ったきっかけとこれまでの歩みを教えてください。

生家は江戸時代から養蚕業に携わり、織物業に転向した工房でしたが、もともと家業への興味はありませんでした。
大学を卒業したあとは劇団に入り演劇を仕事にしていましたが、6年が経過して新たな道を探したいとヨーロッパに旅に出ました。

そこでそれぞれの土地の伝統や暮らし、人々に触れる中で、家業の伝統を繋ぎたいという思いが生まれ、2004年に工房に入り、一から勉強を始めました。

今は伝統工芸に携わっている事に誇りを持ち、未来へ残していきたいと考えています。

Q3. 職人として一人前になるにはどういったことが必要ですか。

積み重ね。不断の努力。前向きさと謙虚さ。だと思います。

小岩井さんの上田紬がま口財布ばっぐ

がま口財布ばっぐ
Q4. お仕事の流れを教えてください。

工房では糸から染色、経糸を作る整経、緯糸を織り込む機織りを行い、糸から一反の着物になるまでを行っています。

お客様の見学の受け入れや花瓶敷きの体験織りなども行っており、日によって工房での仕事はそれぞれです。
団体のお客様や学校の生徒さん、ご自分の着物を織りに来られる方、などたくさんのお客様が訪れ、工房でも着物イベントの開催、地域のイベントへの参加と積極的に上田紬に触れていただく機会を作っています。

小岩井さんの上田紬小物

Q5. 職人の仕事でつらい点、良かったと思う点を教えてください。

信州の美しくも厳しい自然の中で仕事をするのは大変でもありますが、四季折々の美しさを感じながら仕事が出来ることに喜びを感じています。

時間をかけて根気よく作り上げた一反の着物を、お客様が笑顔で手に取ってくださった時は嬉しい瞬間であり、自分の作った小物を大切にお使い頂いているのを目にする時はこの上ない喜びです。

お客様の生活の中のほんの一コマでも、豊かさにつながる製品づくりができること、職人にとってこれほど嬉しいことはありません。

Q6. 情報発信で行っていることはありますか。

今はSNSをうまく活用していかなければいけない時代。
伝統に携わる仕事をしていても相手にしているのは現代の時代の流れに生きる人達です。

以前は新聞や雑誌を見て、というお客様が多く工房を訪れてくださいましたが、最近はホームページを見て、ネットで検索して、という方が訪れてくださるのも特徴です。
ホームページやFacebookからの日々の発信を心がけています。

小岩井紬工房HPの画像

Q7. 今後の展望を教えてください。

現在上田紬を手織りで行っている工房は市内で当工房一件のみとなっています。
この技術を後世に伝えていくために上田紬を継承するためのシステム作りが必要です。

また、伝統を守るということだけでなくこの時代において大きく発展させること、伝統は過去から現在に続いてきた古いものという概念ばかりでなく、現代から未来へとつなげていく発展的なもの、最先端技術であるということを念頭にものづくりを続けていくことが大切です。

Q8. 最後に、職人を目指す人へメッセージをお願いします。

私自身が沢山の回り道をして今の職人の道にたどり着きました。

寄り道やわき道へそれたことが今の自分のものづくりにおいて、たくさんの引き出しになっています。
何をするにも遅いということはなく、自分がどれだけそこに集中できるか、楽しめるかということではないか、と思います。

上田紬工房、職人の写真