今、「こけし」がブームが加速していることをご存知でしょうか。
こけし好きの女子のことを通称「こけ女」ともいい、第三次ブームと言われるほどの人気なんです。
伝統工芸品としてのこけしだけでなく、人気キャラクターとコラボしたこけしが発売されたり、こけしのイラストが入った雑貨もいろいろ出てきています。
今回は、そんな密かなブームの「こけし」と全国こけし祭りについてご紹介します。
1.こけしの歴史
こけしは江戸時代の後期、東北地方で作られ始めました。
東北の木地職人が、端材でおもちゃを作ったのが起源とされています。
その後東北の温泉地で土産物として販売されるようになり、現在では東北だけにとどまらず、全国で土産物として目にするようになりました。
当初は子ども用のおもちゃとして、着物を着せたりおんぶして遊んだり、現在の人形のように遊んでいました。
大正時代からは大人が鑑賞する工芸品として集める人が増加しています。
2.名前の由来
こけしという名称の由来には諸説ありますが、「木で作った芥子人形」から来ているという説が有力です。
最初は当て字での漢字表記が一般的で、「木芥子・木牌子・木形子・木削子」などと書かれていました。
昭和14年に開かれた全国こけし大会で、今日のようにひらがな表記に統一することになりました。
3.こけしの系統
一見同じに見えるこけしでも、よく見てみると髪型・模様・表情などさまざまあることがわかります。
こけしは産地によって10の系統に分かれており、ここではその系統を簡単にご紹介します。
- 土湯系
(土湯温泉・飯坂温泉・岳温泉/福島) - 弥治郎系
(白石市弥治郎/宮城) - 遠刈田系
(遠刈田温泉/宮城) - 鳴子系
(鳴子温泉/宮城) - 作並系
(仙台市・作並温泉・山形市・米沢市・寒河江市・天童市/宮城・山形) - 蔵王高湯系
(蔵王温泉/山形) - 肘折系
(肘折温泉/山形) - 木地山系
(木地山/秋田) - 南部系
(盛岡・花巻温泉/岩手) - 津軽系・温湯系
(温湯温泉・大鰐温泉/青森)
頭部に蛇の目、前髪の上に赤い模様、胴は線で模様
ベレー帽のような模様、胴に襟や袖の模様
頭部と頬に赤い飾り模様、胴は菊や梅の模様
首を回すとキュッキュと音がする、胴が中央にいくほど細くなっていく
頭部に輪型の飾り、胴に菊模様
黒いおかっぱ頭、胴にさまざまな植物の模様
頭部は赤い放射模様か黒髪、胴は菊、石竹模様
大きい前髪と鬘、胴は前垂れ模様か菊
おしゃぶりが原型で、独特な形、頭がぐらぐら動く
胴にシンプルなろくろ模様、帯、ねぶた模様
4.鳴子温泉
こけしの十系統をご紹介しましたが、一番有名なのはやはり鳴子こけしではないでしょうか。
鳴子温泉・土湯温泉・遠刈田温泉が三大こけし発祥の地と言われ、こけしの最も古い生産地です。
そんな鳴子温泉には、こけしの販売はもちろんのこと、こけしの資料館や体験施設もあります。
名称 | 日本こけし館 |
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住所 | 宮城県大崎市鳴子温泉字尿前74-2 |
備考 | こけし展示・ろくろ実演・絵付け体験・こけし販売 |
名称 | 岩下こけし資料館 |
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住所 | 大崎市鳴子温泉字古戸前80 |
備考 | こけしに関する資料の展示・企画展・こけし販売 |
名称 | 松田工房 |
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住所 | 大崎市鳴子温泉上鳴子126-10 |
備考 | 絵付け体験・ろくろ体験・こけし販売 |
名称 | こけしの菅原屋 |
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住所 | 大崎市鳴子温泉上鳴子135 |
備考 | 絵付け体験・ろくろ体験・こけし販売 |
5.全国こけし祭り
鳴子温泉では毎年、全国こけし祭りが開催されています。
60回以上を数えるこのお祭りでは、鳴子系に限らず全国のこけしの名工が集まり、実演販売をおこなっています。
2019年は8月31日(土)〜9月1日(日)に開催されました。
他にも、こけし供養祭・奉納式・絵付け体験・コンクール・パレードなどイベント盛りだくさんの内容です。
上記の動画でも見ることが出来ますが、ハリボテこけしが温泉街を練り歩くパレードはなんともいえないシュールさを醸しだしており、要チェックです。
中に入りたい!という人は、事前に全国こけし祭りHPなどで募集情報がアップされますので、応募してみてくださいね!
5-1.各イベントの内容
- こけし供養祭
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人形には魂が宿っていると言うように、こけしにも持ち主や製作者の思いが込められています。
全国から寄せられたこけしをしっかり供養しすると同時に、こけし業界の発展も祈る行事となっています。 - こけし奉納式
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「全国こけし祭り」の成功を願うと同時に、こけしに対する感謝や願い、こけし業界の発展を祈る儀式です。
各地のこけし工人が心を込めて作ったこけしを神社に奉納します。 - こけしコンクール
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全国のこけし工人が作った300点のこけしの中から、文部科学大臣賞など31の賞が授与されます。
受賞作品は祭りの期間中、鳴子小学校体育館で展示されています。 - こけしの実演展示即売
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祭りに招待された伝統こけし工人が、目の前で絵付けを披露、販売も行なわれています。
朝から行列が出来る程の大盛況ぶり。こけしファンの熱気に驚かされます。 - こけし座談会(こけしフォーラム)
- こけし工人、こけし愛好家、タレントやクリエイターが集うトークイベントです。
- フェスティバルパレード
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全国こけし祭りフェスティバルパレードでは、御神輿や鳴子踊りの披露、「張りぼてこけし」も一緒に祭りを盛り上げます。
この「張りぼてこけし」は全部で16体。中に入る人と誘導する人の2人1組で、毎年一般募集が行なわれています。
18歳以上であれば誰でも応募出来、定員に達した時点で締め切られるため、早い者勝ちです。
応募はメール、もしくはFAXのみとなっています。
5-2鳴子温泉への交通情報・アクセス
全国こけし祭りの会場、鳴子温泉街への主なアクセスをまとめました。
鉄道
東北新幹線「仙台」駅から「古川」駅まで約15分。
そこから陸羽根東線快速で「鳴子温泉」駅まで約40分で到着です。
車
東北自動車道「古川IC」から国道47号線で約27kmの道のりを進んで到着です。
高速バス
仙台駅から鳴子温泉までは高速バスが運行しています。
料金も1,300円とリーズナブルなのでありがたいですね。
詳細は宮城交通HPをご確認下さい。
こけしの町と言われる鳴子温泉には、こけしの販売や絵付け体験を行なう店も多く、「日本こけし館」では、こけしの歴史やこけし作りの工程、ロクロ実演コーナーなどが見られるようになっています。
お祭りを楽しむついでに温泉も入っちゃう!なんて贅沢な過ごし方も良いですよね。
ぜひ全国こけし祭りの日程を狙って鳴子温泉観光に出掛けてみてはいかがでしょうか。
6.こけしブーム
第三次こけしブームの現在、女性をターゲットにしたかわいいこけし関連商品がたくさん販売されています。
こけしの顔を猫にしたものや、キティちゃん・ミッフィーちゃんなどさまざまな人気キャラクターとのコラボ。
こけし柄の手ぬぐい・ポーチ・ストラップ・ヘアピン・バッグ・こけし型の印鑑ケースなど、雑貨屋さんでもたくさんのこけしグッズを見つけることができます。
こけしは初めてという人は、こうした雑貨からこけしを取り入れてみるのもオススメです。
7.まとめ
日本の伝統工芸としてこけしはよく知られていますが、たくさんの種類があることはあまり知られていないのではないでしょうか。
系統の好みも人それぞれなはずです。
ぜひ、あなた好みを見つけて、まずは一つ、お気に入りのこけしや雑貨を生活空間にプラスしてみてくださいね。