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東京手描友禅作家・桑原牧子さんインタビュー|伝統を繋ぐ人々

桑原

【伝統を繋ぐ人々】東京手描友禅/桑原牧子さん

【プロフィール】
染め工房 造舎《ツクルヤ》 桑原牧子(クワバラマキコ)
1974年 佐渡島生まれ
1997年 東京学芸大学教育学部書道専攻卒業
出版社にて教科書などの編集に携わった後、
2002年 東京手描友禅の修業へ。
2009年 独立。
2010年 千葉県佐倉市にて自宅と工房をかまえ活動中
現在 東京都工芸染色協同組合所属(東京手描友禅)
表参道WAnocoto講師他、千葉、都内でのWS開催

Q1. 工芸品について教えてください。

東京手描友禅は、京都、加賀と並んで三大友禅と呼ばれている中の一つです。
粋とまとめられる江戸の文化に沿った色や柄付けが特徴です。

また名前のごとく、ひとつひとつを手で描く作業である為、ほぼ1点ものを制作しています。
構想・図案・下絵・糸目糊置き・友禅の色挿し・地染め・仕上げなどの工程がほぼ作者の一貫作業となっていることも大きな特徴です。

【伝統を繋ぐ人々】東京手描友禅/桑原牧子さんの作品画像1

Q2. 職人になろうと思ったきっかけとこれまでの歩みを教えてください。

着物を着ることが好きになってそのものに興味を持ち始め、それを作りたいと思ったことから、弟子入りできるところを探し求めて、さまざまな展示会や教室などに見学に行きました。

このご時世、なかなか受け入れてくれるところはありませんでしたが、まったく違うところでのご縁を繋いでいただき、手描き友禅の工房に弟子入り、7年後に独立し現在千葉に工房をかまえています。

独立後に出産と引っ越しで一時は活動が困難な時もありましたが、作り続けることを忘れないようにし、グループでの展示や、百貨店などでの催事、地域でのWSなどからはじめて認知して頂くようにしました。

Q3. 職人として一人前になるにはどういったことが必要ですか。

手描き友禅は分業として成り立つ程工程が多いので、それぞれの技術を習得するのに時間がかかります。

とにかくたくさんの作業をして、知識と技術をしみこませること。
根底となる基礎の技術も、それを応用する瞬発力も大切にすること。
そして、作り続けたいという根気と気持ちを維持することが大事だと思います。

【伝統を繋ぐ人々】東京手描友禅/桑原牧子さんの作品2

Q4. お仕事の流れを教えてください。

決まっているのは月に1回の出張WSくらいで、なかなかこれ、とお伝えするのが難しいくらい、日々違うことをしています(笑)
スケジュールを1ヶ月くらいのタームで考えて、展示会期などに合わせて逆算し、制作をしています。

通常は子どもがまだ小学生なので、学校に送り出した7:30から18:00の学童へのお迎えまでが作業の時間になります。
作業としては、なるべく自然光のきれいな午前中に、色作りや色挿しなどの作業をするように心がけています。

また、自分にとっては時間のやりくりが一番難しく、生地を乾かしたり、図案の構想を練ったりという、実際表に出て来ない時間が結構大事でもあるので、そこを調整しながら作業を段取りしています。

Q5. 仕事でつらい点、良かったと思う点を教えてください。

現代のスピード感で生きている日常では、足の長い作業のことをなかなか理解してもらい難いなとは感じます。

すべてが先行投資で作品が売れなければ収入はないので、生活を維持しつつ、仕事で自分を認めてもらえるように努力することが大変ですが、だからこそ、求めていただけた時の歓びはひとしおです。

自分がきっかけで着物を着るようになったと言っていただけると本当に嬉しいです。

【伝統を繋ぐ人々】東京手描友禅/桑原牧子さんの作品4

Q6. 情報発信で行っていることはありますか。

着物を知らない方にでも興味を持っていただけるように発信すること。
「着る物」としての側面を忘れないよう、作る面、着る面のいずれもから発信すること。

東京手描友禅/桑原牧子さんのホームページ

Q7. 今後の展望を教えてください。

人生、これを続けて来てよかったなと思えるよう努力をしていきたいですし、娘の世代にもきちんとした着物文化が受け継がれるように技術的に精進していきたいです。

Q8. 最後に、職人を目指す人へメッセージをお願いします。

すべては自分の行動と経験だと思います。
もし本当にやりたいと思ったら、まずは体験してみることをおススメします。
生活は決して楽ではありませんが、作ることの魅力はそれをも超えるくらい集中できて楽しいです。

【伝統を繋ぐ人々】東京手描友禅/桑原牧子さんの作品5