舞姫のあらすじ・解説|森鴎外「舞姫」のテスト問題と答え

冬に咲く花クリスマスローズ
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舞姫は森鴎外の初期の代表作とされており、高雅な文体と浪漫的な内容が特徴とされる作品です。
自身が医学などを学ぶため、ドイツに留学した際の経験をもとに書かれた物です。

主人公自身が、手記を綴るという形をとり過去の自分を回想していきます。
高校の現代文の教材としても扱われていますね。

今回はそんな森鴎外の「舞姫」について詳しく解説していきます。

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1.舞姫のあらすじ

舞姫のあらすじを簡潔に解説していきます。
なお、森鴎外「舞姫」の全文は青空文庫でも読むことができます。

【舞姫の主な登場人物】

[太田豊太郎(おおたとよたろう)]
幼い頃から厳しい教育を受け、19歳で学士を取得し、某省に勤務するエリート官僚。
25歳でベルリンへ留学した際に、劇団の女優エリスと出会う。

[エリス]
下級階層に育ったヴィクトリア座の女優。
亡くなった父親の葬儀代が出せずにクロステル街の寺院の前で泣いているところを豊太郎に助けられる。

[相沢謙吉(あいざわけんきち)]
豊太郎の友人。
東京で大臣の天方伯の秘書官として働く。

[天方伯(あまがたはく)]
大臣。

ドイツからの帰国の途についた太田豊太郎は、悔恨の念に苦しめられていた。
船がサイゴンに寄港し、他の船客がホテルに宿泊する中、一人船内の中等室に自分が苦しむこととなった経緯を文章に綴ろうとしている。

豊太郎は幼い頃から厳しい教育を受け、学力優秀で19歳で学士を取得し、ある省に勤務し始めた。故郷の母と暮らしていたが、洋行を命じられベルリンへ発つ。

ベルリンに来てから、勉学に真面目に取り組んでいた豊太郎だったが、三年程が経つと次第に穏やかではない気持ちを抱くようになった。
美観に心を動かすまいと、外界からの刺激や他の留学生との付き合いを避けていたこともあり、豊太郎を悪く思う人々に貶(おとし)められる事態となり、孤独を深めていった。

そんなある日、豊太郎はクロステル街の寺院の前で16、17歳の少女エリスが泣いているのを見かけた。
豊太郎が泣いている理由を聞くと、父が亡くなったのだが貧しくて葬儀代が出せないのだと答える。
豊太郎は彼女を母親と住んでいる家まで送り、自分の時計を渡し急場を凌ぐよう伝える。

貧困のために十分な教育を受けられなかったエリスは、15歳の頃、舞の先生に応募し修行を積み、ヴィクトリア座の女優となった。
ヴィクトリア座の2番目の地位を占めていたが、少ない給料で厳しい稽古に耐えなければならない状況であった。
エリスが豊太郎に本を借りるようになり、二人は師弟のような関係で頻繁に会うようになった。

豊太郎とエリスの関係を見て、豊太郎が舞姫とみだらな関係を続けていると官長に報告した者がいた。
豊太郎が、政治よりも歴史や文学に夢中になっていたことをよく思っていなかった官長は、その報告もあり彼の職務を解いてしまう。
エリスはこれを聞き、自分の母親が豊太郎との関係を好ましく思わなくなるのを恐れ、母親には免職の話は内緒にしてほしいと頼む。
このことをきっかけに豊太郎とエリスは恋人としての関係を結ぶこととなった。

豊太郎は、友人であり大臣・天方伯の秘書官を務める相沢謙吉の紹介で、新聞社の仕事に就く。
ドイツの政治・文芸を日本の新聞社へ報道する通信員という仕事だ。
また、エリスが母親を説得してくれ、豊太郎はエリスの家に母親と3人で暮らすこととなった。
二人は僅かな収入を合わせて慎ましいが楽しい生活を送り始めた。
そして、エリスは豊太郎との子を授かるのであった。

ある日、豊太郎のもとへ相沢謙吉から、「天方伯が会いたがっている」との知らせが届く。
豊太郎はベルリンのホテルで天方伯と相沢に面会する。
表向きはドイツ語を翻訳する仕事の依頼であったが、相沢の本心は豊太郎とエリスを別れさせ、天方伯の秘書官として就職させることであった。

豊太郎は友人に対して「いやだ」と言えない性格で、非常に悩んだがエリスと別れることを相沢に約束してしまう。

その後、天方伯のロシア出張に同行した豊太郎は、通訳として大活躍し気に入られる。
相沢との会話により、自分を日本に帰る一員に加えようとする動きがあることを知った豊太郎は困ってしまう。
また、ロシアにいる間エリスからは毎日のように手紙が送られてきた。その手紙の中で彼女は距離を嘆き、自分を捨てないでほしいと切実に願うのであった。

翌年の元旦、豊太郎はドイツに戻りエリスと再会する。
エリスは涙を流して彼の帰りを喜んだ。
豊太郎との子が生まれてくることを楽しみにしながら下着を作っていたエリスは、どうか子どもを私生児にしないでほしいと豊太郎に懇願する。

後日、豊太郎は天方伯に夕食に招待される。
そこで一緒に帰国しないかと勧められる。
大臣の言葉に従わなければ、ヨーロッパの地に葬られるであろうと考えた豊太郎は、帰国に同意してしまう。

豊太郎は、エリスとお腹の子を見捨て、帰国に同意してしまった自分は罪人なのだと苦悩しやっとのことで家に帰った。
その青ざめた顔を見たエリスは驚き、事情を聞く。
豊太郎は答えようとしても声を出すことができず、その場に倒れ込んでしまう。

数週間後ようやく目を覚ました豊太郎は、エリスの異変に気づく。
目が血走り、頬がこけ、まるで別人のようになってしまっていた。
豊太郎が意識を失っているうちに、相沢がやって来てエリスに豊太郎が帰国することを告げたのだった。
その話を聞いたエリスは発狂して倒れ、目を覚ました後も物を投げたり、泣き叫んだりと精神の働きがほとんどなくなってしまった。
生きる屍のようになったエリスを豊太郎は何度も涙を流しながら抱きしめた。

豊太郎は大臣と相沢と帰国する際に、エリスの母に生活費を与え、生まれてくる子どものことを頼んだ。

自分の帰国のために動いてくれた相沢に対して、彼のような良い友人はいないだろうという思いと共に、少しばかり恨めしく思うのであった。

2.ここが舞姫のポイント!

森鴎外の「舞姫」を理解するために重要なポイントを整理していきましょう。

豊太郎のエリスに対する気持ちの推移を読み取る

出会った時

寺の前で少女エリスが泣くのを見て憐憫の情が湧く。
エリスの美しい清らかさに惹かれる。

交際が始まった頃

豊太郎に感謝して住まいをエリスが訪れるようになる。
師弟関係のような交際が始まる。

交際が深まった時

免官に母の死が重なった豊太郎は、いじらしいエリスへの愛情が強くなり、
離れられなくなる。

同居に入った頃

エリスは豊太郎を自分の家に住まわせる。貧しい生活ではあったが、
豊太郎は楽しいと感じる。

エリスの妊娠がわかった頃

今後に不安を抱く豊太郎は一層不安になる。
一方で大臣に会うための準備をするエリスの気遣いに感心する。
相沢に説得された後も、エリスを捨てがたい存在と感じる。

ロシアに出向いた頃

毎日届くエリスからの手紙により存在を忘れることはなかったが、
改めてエリスか出世かの岐路に立つ自分の立場を理解する。

ドイツに戻った時

生まれてくる子どものことで喜びに溢れるエリスを見ながらも、
帰国の勧めを受けたことで、エリスに対する罪の意識に苛まされる。

エリスが発狂した時

全てを知り精神に破綻をきたしたエリスへの愛と悲しみで涙が溢れる。

エリスはどのような女性として描かれているか

美しい容姿

▷着目する文
「髪の色は薄きこがね色」、「青く清らかにて物問ひたげに愁ひを含める目」、「半ば露を宿せる長き睫毛」、「愛らしき頬」、「乳のごとき色の顔」、「手足のか細くたをやか」、「美しき、いぢらしき姿」など


舞姫

▷着目する文
「一輪の名花を咲かせてけり」、「ビクトリア座に出でて、今は場中第二の地位を占めたり」


人柄

▷着目する文
①豊太郎がロシアにいる間にエリスから届いた手紙からエリスの一途な気持ちが読み取れる。

一途に人を愛する人


②「おとなしき性質」、「かはゆき独り子を出だしやる母もかくは心を用ゐじ」

誠実で大人しい人
 (可愛い独り子を送り出す母親もこのように気を遣わないだろう)


③「我が恥なき人とならんを」、「人の憂ひにつけ込みて、身勝手なる言ひきかせんとは」

誇りある人
(私が立派でない人になろうとするのを) (人の弱みにつけ込んで、身勝手な要求をしてくるとは)

エリスは、美しい舞姫であり、一途に人を愛し誠意をもって尽くす、誇りある女性である。

豊太郎は自分の生き方についてどのように考えていたか

留学前

幼い頃から父の遺言を守り、母の教えに従い、人から褒められる嬉しさから真面目に勉学に努め、学士の称を受け、官職に就き、官長の自分への評価を喜びとして勤勉に務めていた。洋行の命を受け、今こそ我が名を成し我が家を興そうという希望に溢れた。受動的であり、器械的人間であったとしている。

留学中

初期の頃は留学前と変わらぬ働きぶりであったが、三年経つうちに大学の自由ば気風に影響されて自我に目覚め、自分のこれまでの人生観に懐疑的になる。
今まで学んできた政治より歴史や文学に興味が湧き、エリスと出会い愛も深まっていく。
しかし、エリスの懐妊がわかった頃から将来への漠然とした不安が募り、相沢の説得もあり故郷への思いと出世を求める心が強くなるが、エリスへの思いを断ち切れず葛藤する。
以前は、何も考えずに自分の出世の為に邁進していたが、大切な人への愛との相克に苦しむようになる。

帰国の途上

エリスとの愛を貫き通すことができず、エリスの人生を破綻させてしまったという罪の意識に苦悩する。
愛という自我が、社会の常識・規約に打ち勝つことができなかったことを相沢を象徴させて恨んでいく。

豊太郎と相沢の関係

「ああ、相沢謙吉がごとき良友は世にまた得難かるべし。されど我が脳裏に一点の彼を憎む心今日までも残れりけり。」とあるが、豊太郎と相沢の関係はどのようなものだろうか。

豊太郎から見て、相沢に対する思いは二つある。
①良友は世にまた得難かるべし
②一点の彼を憎む心

①の思いの背景

相沢は免職になった豊太郎に、新聞社の仕事に就かせたり、大臣を紹介したり、豊太郎の将来への基盤づくりに尽力してくれた。

②の思いの背景

豊太郎を信じ切っていたエリスに真実を知らせ、結果としてエリスと豊太郎の愛に終止符を打った張本人である。

3.舞姫でよくテストに出る問題

問題①次の漢字の読みを答えましょう。
①雄飛
②瑣瑣
③紛紛
④破竹
⑤猜疑
⑥讒誣
⑦憐憫
⑧閲す
⑨穿つ
⑩恍惚

答え:
①ゆうひ
②ささ
③ふんぷん
④はちく
⑤さいぎ
⑥ざんぶ
⑦れんびん
⑧けみ(す)
⑨うが(つ)
⑩こうこつ


問題②「別に故あり。」とあるが、その「故」とは何か。

答え:
人の知らない悩みを抱いているということ。


問題③「昨日までの我ならぬ我」とは、どういうものか。

答え:
幼少時から年長者の言うことを守り、人に褒められる事に喜びを感じ、官長の意に沿って生きることを良しとしてきた自主性に欠ける今までの自分。


問題④「夢にも知らぬ境地」とは、どういうものか。

答え:
新聞を読み、報告を書くことによって、広い視野に立って物事全般を見ることができるようになった境地。


問題⑤「余は心のうちに一種の寒さを覚えき。」とあるが、それはなぜか。

答え:
自分の不幸な状況を嘆きながら、その因を成しているエリスとの関係をどうするのか決定できない優柔不断な己を自覚し、それが常に付きまとう不安と一体になって自分を苦しめるから。


問題⑥「世が彼に隠したる顚末」とはどういうことか。

答え:
エリスが豊太郎の子を懐妊していたこと。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。
エリスとの出会いから別れを経て、大きく動く豊太郎の心情を読み取ることが大切です。
森鴎外の「舞姫」は雅文体(平安時代の仮名文に擬した文体)を用いた作品であるため、読み取りが難しく感じるかもしれませんが、特徴的な熟語や文言などの意味を調べながら、読みを深めていきましょう。

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