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まり木綿/伊藤木綿さん・村口実梨さんインタビュー|伝統を繋ぐ人々

まり木綿

【プロフィール】
2011年3月大学卒業後、同年5月に有松に店舗オープン。伊藤木綿、村口実梨二人で活動しています。今までにない自由な色使いと発想で、可愛くて綺麗な、パッと心が晴れるような有松鳴海絞りを目指して制作をしています。

Q1. 工芸品について教えてください。

約400年続く名古屋の伝統工芸、有松鳴海絞り。
東海道を行き交う商人へお土産品として製造販売を始めたのが産業として栄え、今もなお有松鳴海の旧東海道に伝統として根付いています。私たちはこの有松鳴海絞りの技法「板締め絞り」で染色しています。

まり木綿の手ぬぐい

板締め絞りの技法で染められた手ぬぐい

Q2. 職人になろうと思ったきっかけとこれまでの歩みを教えてください。

名古屋芸術大学テキスタイルコース在学時に、課外授業の中で有松に訪れ有松鳴海絞りに出会いました。

最初は伝統の藍一色で染めたのですが、色を使ってカラフルに染めてみたら面白いのではと興味の赴くままに試作を繰り返しているうちに、授業の特別講師として来ていただいていた京都和装ブランドSOU・SOUの社長若林氏に「うちで商品化してみないか」と声をかけていただきSOU ・SOUの商品を手がけることになりました。

そして様々なご縁に恵まれ卒業後、二人で有松に店舗を構えることができました。
今は有松の染色工場「久野染工場」にて一部場所借りをして商品を染色しています。

Q3. 職人として一人前になるにはどういったことが必要ですか。

私たちは店舗を構えて6年目になりますが、まだまだ職人として一人前とは言えません。絞りの職人さんは高齢の方だと90代の方もいらっしゃいます。

日々染める中でより良い染色方を考え、技術を守ると同時に開拓していく努力が必要だなと感じます。

Q4. お仕事の流れを教えてください。

朝、お店に二人で集まりミーティングを行い、お店番の人は1日を通して店頭にいます。
工場で染色作業の人は1日作業、これを交代で仕事しています。

時々百貨店やイベントに出店しており交代で店頭に立ちます。母校では講師として授業もしています。

Q5. 職人の仕事でつらい点、良かったと思う点を教えてください。

染色場では常に換気をするので冷暖房がなく、夏はサウナのような環境の中ボイラーを稼動しているので蒸し風呂のようです。
冬も底冷えする中染色しなければならないところがこたえます。

ですがやはり新作を作っている時の「どんな柄、色になるだろう」というワクワクや、想定外の絞りの表情に驚かされたりもします。
また自ら染色し接客できるため直接お客様の声を聞くことができるので商品企画に活かせますし、応援のメッセージを頂けるととても嬉しいです。

Q6. 情報発信で行っていることはありますか。

日々の染色の様子を綴った「染め日和」やイベント出店、趣味のことなどを記事にし、毎日欠かさずブログを更新しています。

またホームページでコンセプトを伝えたり、SNS発信もしています。ブログで新作を見て来店されるお客様や、ありがたいことに更新が遅くなると心配してくださるお客様もいらっしゃるので日課になっています。

ss

Q7. 今後の展望を教えてください。

今まで綿や絹製品が中心だった絞りですが、素材や染色方法を研究し新商品企画をしていきたいです。
ウール素材やナイロン、ポリエステル等素材によって変わる絞りの表情を楽しみに日々染色しています。
最近になって少し若い世代の興味が産地へ向いてきたように感じられますが、まだまだ若い力が足りないので絞りを仕事にしたいと思う方が増えるといいなと思っています。

Q8. 最後に、職人を目指す人へメッセージをお願いします。

自分たちで考えて動くことが多く責任があり、とてもやりがいのある仕事です。
周りのものづくりをしている人も独自の世界観、考えを持っている方が多いので自分にないものを得ることができます。

町並み保存地区にも指定され、風情あふれる街有松でものづくりを学んでみませんか。

まり木綿の足袋

人気商品の一つ、地下足袋