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柴田窯・宮里絵美さん|京焼・清水焼職人インタビュー|伝統を繋ぐ人々

【伝統を繋ぐ人々】京焼・清水焼/宮里絵美さん

【伝統を繋ぐ人々】京焼・清水焼/宮里絵美さんの写真

【プロフィール】
2001年 京都市工業試験場 修了
2002年 京都府立陶工高等技術専門校 成形科 修了
2003年 京都府立陶工高等技術専門校 研究科 修了
2003年 陶楽陶苑にて轆轤業に従事
2012年 京都花園にて独立開窯
2014年 京都西山に工房を移す
2015年 京都府知事認可 京焼・清水焼「京もの認定工芸士」認定

Q1. 工芸品について教えてください。

京焼・清水焼…京都で作られる陶器を総称してよびます。

京焼・清水焼は多種多様で他の産地のように一見して「○○焼!」とわかるような特徴がありません。
作家・窯元が伝統を守りながらもそれぞれ自由な作風で創作し、個性が強いのが特徴です。

京焼・清水焼/宮里絵美さんの作品1

Q2. 職人になろうと思ったきっかけとこれまでの歩みを教えてください。

小さい頃から物作りが好きで「物作りをしながら生活をしたい」とぼんやり思っていました。

高校受験の時、銅駝美術工芸高校の陶芸科を第一希望で受けましたが、第二希望の染織科に行くことになり3年間染織を学びました。

その後京都精華大学のテキスタイルデザインコースにすすみましたが、やっぱり陶芸がやりたい!と思い大学を中退して、京都市工業試験場で1年、京都府立陶工高等技術専門校で2年間勉強し、修了後、京都山科の窯元で9年間ロクロ職人としておいてもらいました。

2012年に独立開窯しました。

Q3. 職人として一人前になるにはどういったことが必要ですか。

「一人前だ!」ということはよくわかりませんが、窯元での職人時代は毎日朝から晩までロクロ挽きをしており同じものを100個以上挽く仕事も多かったです。

その数挽き仕事をするなかで、どこをどうすれば綺麗に挽けるか、早く挽けるかなどを常に考えているので1年目でも9年目でも「今よりうまくなりたい」という気持ちはあまり変わらないかもしれません。

最初のうちは与えてもらえる仕事の工程の幅が少ないので、その工程の中だけでの改良点しか気づくことができませんが、次の工程の作業をさせてもらうことにより、前の工程での改良点により多く気づくことができます。

窯元での職人仕事は基本的に分業制だったので、ひたすらロクロ作業をしていましたが、与えられた仕事をとにかくはやく終わらせ、次の工程を自分にやらせてもらえないでしょうか?と親方にお願いしてやらせてもらったりしていました。

そのようにしていくと与えてもらえる仕事の幅も増え、一つ一つの工程の大切さに気付くことがより多くなったので、技術の向上につながったと思います。

【伝統を繋ぐ人々】京焼・清水焼/宮里絵美さん2

Q4. お仕事の流れを教えてください。

独立してからは、じっと座って仕事をする時間がとても少なくなりました。
材料の仕入れから作品の納品、展示会の搬入搬出など何かと用事が多いのでスマートな計画をたてて動かなくてはなりません。

作品づくりにおいては、問屋さんから注文をいただくこともあり、数もののロクロ挽きがほとんどです。
合間に展示会などの作品を作ったりしています。

個人のお客様から「こんな形でこれぐらいの寸法の物を」と直接注文をいただくことも多いので、見本を作ったりする中で自分の作品の幅を広げることができ、とてもありがたく思います。

Q5. 仕事でつらい点、良かったと思う点を教えてください。

つらい点は長時間の座り仕事や同じ姿勢での作業になってくるので、足腰を痛めやすいです。
ロクロ作業では一定方向の回転の力が常に指先にかかっているので、右手に比べて左手の指が(自分の場合)ねじれてしまいました。
手首の腱鞘炎と指のねじれからくる痛みは職業病だとあきらめております。

よかったと思う点は、もともと物作りがしたくてやっているので、仕事がとても楽しいことだと思います。

Q6. 情報発信で行っていることはありますか。

情報発信としては、お声掛けしていただいたイベントや企画などで関わった方たちと繋がることで少しずつ広がっていくと思うので、なるべく参加することを心がけております。

京焼・清水焼/宮里絵美さん

Q7. 今後の展望を教えてください。

京都府が、未来の伝統産業を担う若手職人から広く作品を募集し、その中でも特に技術に優れ、意欲あるものに対し、若手職人「京もの認定工芸士」の称号を授与しています。

その「京もの認定工芸士」に2015年に認定していただきました。
職人として働く経歴が選定条件なので、長い年月の経験を積んで培った技術を持った方ばかりです。

この「京もの認定工芸士」というものがもっとたくさんの人々に知ってもらえるように、私もその一員として技術を磨き、多くの人の目に届くような作品づくりをしていかなくてはならないと思っております。

Q8. 最後に、職人を目指す人へメッセージをお願いします。

「職人をめざす!」というような人はそんなに多くないように思うので、目指している人は、職人に向いている人のような気がします。

職人仕事はとても地味で淡々と物作りしているように思われがちですが、毎日の同じ作業のなかに少しの変化を発見し、とても嬉しかったり、落ち込んだりを繰り返す日々です。
それが楽しくもありしんどい部分でもあると思います。

【伝統を繋ぐ人々】京焼・清水焼/宮里絵美さんの作品3