西陣織とは、京都府で主に生産される織物で、国の伝統的工芸品にも指定されています。
織物の産地として最大級である西陣で織られる先染めの紋織物は、海外でも高い評価を受けています。
今回はそんな西陣織の歴史と魅力をご紹介したいと思います。
西陣織の歴史
西陣織の起源は古く、平安時代頃まで遡ることが出来ます。
西陣織と言われるようになったのは、室町時代の応仁の乱が終わった後に、西軍の本陣(西陣)が構えていた付近に戦禍を逃れて離れていた職人達が再度集まり、織物業を再開したのが由来です。
その後も歴史は続き、1976年には経済産業省指定伝統的工芸品にも選ばれました。
西陣織の特徴
西陣織は先染めの紋織物で、多くの品種を少量ずつ生産するのが特徴です。
そして西陣織には下記の12の品種があります。
- 1.「綴(つづれ)」
- 平織を応用した織り方で、経糸が見えないように密度の大きい緯糸で絵画のような模様を織り出します。
- 2.「経錦(たてにしき)」
- 経糸で地模様を表す織物です。
- 3.「緯錦(ぬきにしき)」
- 通常地を三枚綾として、緯糸を表裏を別搦糸で抑えたもので、錦地の代表ともいわれています。
- 4.「緞子(どんす)」
- 織物の三原組織のうちの一つで、5枚襦子の表裏の組織をそれぞれ地、あるいは紋に用いたものです。
- 5.「朱珍(しゅちん)」
- 通常は5枚、または8枚の襦子組織で構成される品種です。
- 6.「紹巴(しょうは)」
- 強撚糸を用いて杉綾状や山形状の地紋をもつ品種です。
- 7.「風通(ふうつう)」
- 織物の断面が多層になっている織物です。
- 8.「捩り織(もじりおり)」
- 紗、羅、絽などがあり、緯糸と緯糸との間に隙間を作る品種です。
- 9.「本しぼ織(ほんしぼおり)」
- 御召緯の糸を用いて、布面にシボを出す品種です。
- 10.「ビロード」
- 滑らかな手触りと、独特の光沢が特徴の品種です。
- 11.「絣織(かすりおり)」
- 経糸と緯糸を部分防染しながら染め分け、織りながら模様を出す平織物です。
- 12.「紬(つむぎ)」
- 紬糸を使用した先染めの平織物です。
産地情報
名称 | 西陣織工業組合 |
---|---|
住所 | 〒602-8216 京都府京都市上京区竪門前町414 西陣織会館内 |
人気の小物類
西陣織といえば帯が有名ですが、いきなり帯を買うのはハードルが高いですよね。
最近では西陣織の生地を使った雑貨・小物類も人気となっています。
例えばバック類は女性にも人気ですし、
このような、西陣織に特殊なガラスコーティングを施したお皿などユニークな製品も続々と誕生しています。
まずは普段の生活に身近な製品から取り入れていくのも、西陣織を楽しむオススメの方法です。
工芸品のオンラインショップ➾BECOS
西陣織の工房見学
WABUNKA(和文化)では、西陣織の工房見学体験を提供しています。
1788年創業の西陣織製造メーカー服部織物の通常非公開の工房を見学し、職人が西陣織物を制作する様子を間近でみることが出来る体験です。
ご興味のある方は下記リンクより詳細をご確認頂けます。
→【WABUNKA(和文化)】西陣織の製法
経済産業省指定伝統的工芸品に指定されている要件は下記の通りです。
経済産業省指定伝統的工芸品
技術・技法
1. 綴にあっては、次の技術又は技法により製織されたつづれ織物とすること。
1-1. 先染めの平織りとすること。
1-2. よこ糸(模様部分を除く。)は、「手投杼」を用いて筬に対し斜めに打ち込み、筬打ちをすること。
1-3. 模様の有るものにあっては、模様部分のよこ糸は、「小杼」を用いて筬に対し斜めに打ち込みをした後、爪先又は「筋立」を用いて筬に対し平行に掻き寄せること。
2. 錦にあっては、次のいずれかによること。
2-1. 経錦にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(イ) 「ジャカード機」を用いる先染めの平織り又は綾織りとすること。
(ロ) たて糸は、3色以上とし、3本以上の男巻から引き出し一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。
(ハ) よこ糸は、「かげぬき」と「地よこ糸」とを交互に打ち込むこと。この場合において、よこ糸の密度は、1センチメートル間40本以上とすること。
(ニ) 紋は、たて糸で表わすこと。
2-2. 緯錦にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(イ) 「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの綾織り又は平織りの変化織りとすること。
(ロ) 製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、6枚以上の「伏せ綜絖」又は「引箔装置」を用いること。
(ハ) 紋は、よこ糸で表わすこと。この場合において、八丁以上の杼を用いて製織するものは、「縫取り紋」をすること。
3. 緞子にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
3-1. 「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの朱子織りとすること。
3-2. 製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、10枚以上の「伏せ綜絖」又は「引箔装置」を用いること。
3-3. 紋は、「地上げ紋」及び「縫取り紋」とすること。
4. 朱珍にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
4-1. 「ジャカード機」を用いる先染めの朱子織りとすること。
4-2. 製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、6枚以上の「伏せ綜絖」、又は「引箔装置」を用いること。
4-3. 紋は、よこ糸で表すこと。この場合において、「八丁以上の杼」を用いて製織するものは、「縫取り紋」をすること。
5. 紹巴にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
5-1. 「ジャカード機」を用いる先染めの綾織り、朱子織り又は平織りの変化織りとすること。
5-2. 製織には、「手投杼」、「引杼」又は「両松葉杼」を用いること。
5-3. 紋は、「地上げ紋」とすること。
6. 風通にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
6-1. 「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの二重織りとすること。
6-2. 製織は、織物の表裏が転換するように2色以上のたて糸及び2色以上のよこ糸を用いて経緯二重織りをすること。
6-3. 「縫取り紋」をすること。
6-4. たて糸の密度は1センチメートル間120本以上とし、よこ糸の密度は1センチメートル間40本以上とすること。
7. 綟り織にあっては、次の技術又は技法により製織された搦み織物とすること。
7-1. 「ジャカード機」を用いる搦み織りとすること。
7-2. 製織には、「手投杼」若しくは「引杼」、「紋振い」又は「変り筬」を用いること。
8. ビロードにあっては、次の技術又は技法により製織されたパイル織物とすること。
8-1. 先染め又は先練りのたてパイル織りとすること。
8-2. パイルは、「パイル用針金」を手作業により筬に対し平行にさし入れて形成すること。
9. 本しぼ織にあっては、次の技術又は技法により製織されたしぼ出し織物とすること。
9-1. 先染め又は先練りの平織り又は二重織りとすること。
9-2. お召糸に使用する糸は、下よりをした後、米のりその他の植物性糊料を手作業によりもみ込むこと。
9-3. お召糸のねん糸には、八丁式ねん糸機を用いること。
9-4. しぼ出しは、「湯もみ」によること。
9-5. たて糸の密度は、1センチメートル間100本以上とすること。
10. 絣織にあっては、次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
10-1. 先染めの平織り又は朱子織りとすること。
10-2. かすり糸は、たて糸又はたて糸及びよこ糸に使用すること。
10-3. たてがすりにあっては、男巻から送り出されるかすり糸のかすり模様を手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
10-4. たてよこがすりにあっては、たて糸のかすりとよこ糸のかすりとを手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
10-5. かすり糸の染色法は、「手くくり」、「手摺り込み」又は「板締め」によること。
11. 紬にあっては、次の技術又は技法により製織された無地織物、紋織物又はしま織物若しくはこれに類する織物とすること。
11-1. 先染めの平織りとすること。
11-2. よこ糸の打ち込みには、「手投杼」又は「引杼」を用いること。
11-3. たて糸に使用する糸は生糸又は真綿のつむぎ糸とし、よこ糸に使用する糸は玉糸又は真綿のつむぎ糸とすること。
原材料
1. 使用する糸は、生糸、玉糸、真綿のつむぎ糸若しくはこれらと同等の材質を有する絹糸、綿糸、麻糸又は金糸若しくは銀糸とすること。
2. 使用する箔は、金箔、銀箔若しくはうるし箔又はこれらと同等の効用を有するものとすること。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は西陣織の歴史や特徴、魅力についてご紹介しました。
ご参考になれば幸いです。