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仏師・坂上俊陽さんインタビュー|伝統を繋ぐ人々

仏師坂上俊陽さんの画像

仏師坂上俊陽さんの画像

坂上俊陽(さかがみ としはる) 1984年5月12日生まれ
[経歴]
出身地: 千葉県市原市
・姉崎東中学卒業
・志学館高校卒
・新潟県伝統工芸村上木彫堆朱の修業をする
・富山県伝統工芸井波彫刻の修業をする
・五年間仏師に師事し技術を学ぶ
・現在は工房を石川県金沢市に移転
[最近、寺院に納めた仏像]
・千葉県 香取市西蔵院 金剛歌菩薩を納める
・山口県 医王山福楽寺 般若菩薩 水波般若仏母を納める
・千葉県 萱田山観音院長福寺 地蔵菩薩を納める
・山口県 医王山福楽寺 水波般若仏母を納める
・三重県 津市西称寺 高僧像を納める
・東京都 光円寺 地蔵菩薩像を納める
・石川県 金沢市 東山 愛染明王像
・山形県 玉昌寺 釈迦如来像を納める
・北海道 札幌市 不動明王像を納める
・千葉県 市原市 弘教寺に名号本尊を納める
お寺様、個人様合わせて年間20以上の仏様を全国に納めています
[展示会、活動]
・東京都六本木 Super Deluxeで展示会
・講談社 漫画 『ブッシメン』でモデル仏師になる
・石川県金沢市 国の有形文化財で2年連続で仏像展 
・石川県金沢市 講演 『修理を通して先人の思いを観る』
・北海道札幌市 講演 『思いを形にするということ』
・『AirAsia Grand Prix of Japan』世界最高峰のオートバイレース トロフィー製作 
  TWIN RING MOTEGI2年連続
・KDDIウェブコミュニケーションズJimdo 記念トロフィー製作 
・フランス・パリ オペラ界隈 Espace Cinkoで仏像展 
・オーストラリア・シドニーで実演指導
現在はフランス・パリ、オーストラリア・シドニーでの活動や展示会も行っています。
坂上工房ではアシスタント2名・弟子1名と共に工房で仕事をしています。次の世代の為にも技術や思いの継承をしていきたいと思います。

Q1. 工芸品について教えてください。

木造仏像です。
工芸品と言って良いのかは分からない所ですが、1000年以上前から先代の仏師が技術や思いを継承しているお仕事です。

Q2. 職人になろうと思ったきっかけとこれまでの歩みを教えてください。

高校卒業後、自分にとって生涯をかけて取り組める仕事とは何だろうと考えた結果、私の場合は昔から好きだったものづくりでした。
木彫刻の徒弟制度のある町を知り、そこで尊敬できる師匠に出会ったのですが、その方が仏師でした。

元々は仏師になりたいわけではなかったのですが、弟子入りしていく中でこの仕事の素晴らしさに惹かれていきました。
自分が一生懸命手がけた仏像が、寺院に入り多くの方の祈りの対象となることに大きな喜びと責任を感じました。

この仕事は私にとって、生涯をかけるだけの価値のある仕事だと思っています。

仏師/坂上俊陽さんの作品

Q3. 職人として一人前になるにはどういったことが必要ですか。

私は13年の経験ですが、未だ一人前と言える所ではないと思います。
この世界では30年以上の経験を持つ方でもまだまだと言っていますので恐れ多いです。

仏像の場合は依頼主がいます。
どの様な思いでご依頼頂いたのか伺った上でどうしたら喜んでくれるか、笑顔になれるか、そこから始めていきます。
ですからその様な思いも大事になります。

ものづくりは、とても考えることが要求されます。
1教えてもらって1を吸収するだけではなく、そこから考えて2・3・4・5と伸ばしていく事が大事になっていきます。

先人が繋いでくれた技術と思いを次に繋げていく事が大事だと思います。

Q4. お仕事の流れを教えてください。

【1日の流れ】 
朝6時   掃除 
朝7時〜夕方5時   仕事
夕方5時〜6時   情報発信

【1ヶ月の流れ】
仏像を1ヶ月かけて1体仕上げます。

【1年の流れ】
1年に1度、海外での展示会を企画しています。

仏師/坂上俊陽さんの作品3

Q5. 職人の仕事でつらい点、良かったと思う点を教えてください。

現在はアシスタントが居ますが、独立した時は一人で仕事をしますので、誰とも話さない日もありました。
工房にこもりっきりになる事が多いので人と話す機会は少ないです。

ただ、ホームページやSNSやブログ等で今の時代は交流が出来るので、自分の作業工程を公開するとダイレクトに反応が返ってくるのでとても励みになります。
お客様も見ていますので、その度に感想を伝えてくれますので頑張って良かったなと思います。

Q6. 情報発信で行っていることはありますか。

手仕事の良さを主に発信しています。
昔と違って現在は物が多く生産され、比較的に安く手に入る時代です。仏像も機械で作られた大量生産の安価な仏像が多くあります。

その中で仏師の高価な仏像は何が違うのか。どうして高価になるのか。また手仕事の価値を知ってもらう事が本当に大事だと思います。独立した頃は、手仕事では作れない程安い値段の機械で作られた仏像と比較されて苦しんだ時代がありました。

ですから、手仕事の価値や思い、仏像が出来上がるまでにどの様な思いやストーリーがあるのか、その様なことを理解してもらう事に力を入れていました。

次の世代に繋げていく仏像は何百年も祈りの対象となります。そうした事も踏まえて次の世代の仏師が修理が出来る様に作られていたり、体内に巻物が入っていたりする事もあります。巻物の中には家族の名前が書いてあり、いつまでも仏様に守られます様にと言う意味で入れる方も少なくないです。

お客様、それぞれに思いやストーリーがあり何の為にどの様にして作られたのか、そんな思いを像として形にしている事を伝えていきました。

その甲斐もあり、現在は全国から注文が来ます。また海外からの問い合わせや注文電話も増えています。

仏師/坂上俊陽さんのHP

Q7. 今後の展望を教えてください。

上でも述べている通り、現在は安価なものが多く手に入ります。高価な物になり易い手仕事の価値が理解されにくい時代だと感じています。

そんな中でも、沢山の方が応援して下さり、こうして生きていける自分がいます。
現在私の仕事は、熱心なアシスタントさん2名、海外から学びに来るお弟子さん1名と、とても人に恵まれています。

私が今まで応援してもらった様に次の世代に技術を伝えたい。と同時に手仕事がしやすい道を作っていきたいと言う思いが強くあります。
微力ながらもフランス・パリでの展示会やオーストラリア・シドニー等での海外活動にも力を入れています。

海外では日本の手仕事を評価してくれる所が多いので、国内でも再発見してもらえたら次の世代にも手仕事がしやすくなるのではないかと考えています。

生涯をかけて、ものづくりを通して人づくりや道づくりをしていけたらと思っています。

仏師/坂上俊陽さんの作品2

Q8. 最後に、職人を目指す人へメッセージをお願いします。

沢山、勉強する事があります。
好きなものづくり以外の事も沢山勉強する事があります。好きな事の為には苦手な事も勉強する事も多いです。

多くのことを勉強して挑戦する。失敗することは沢山あります。失敗した理由を考えて上手くいくまで何度も挑戦し続けるのが大事だと思います。

機械化が進んで難しい分野ですが一生をかけても足りない程、やり甲斐のある仕事です。
また、多くの時を経て追求して来た技術や思いがあります。
その思いを次の世代に繋ぐ架け橋となってもらえたら嬉しいです。

坂上俊陽さんの写真