通称「TASK」、京都府南丹市の「京都伝統工芸大学校」(以下、TASK)は日本の伝統工芸を学ぶ専修学校です。
専修学校とは、大学や専門学校よりも職業に直結した技術を身に付けられる教育機関。
TASKでは、さらに放送大学のカリキュラムを利用するなどして大学卒業の「学士」も取得可能(※)です。
つまり伝統工芸の技術と学士を同時に得られるのがTASKです。
TASKで学べること、特色
概要
TASKは国から「伝統工芸の後継者を育て、『産・官・学』が一体になって新しい潮流を生み出す」という要請を受け、1993年に「京都伝統工芸専門校」として開校しました。
その後、専修学校の認可を受けて2003年「京都伝統工芸専門学校」に名称を変更。
さらに学べるコースや外部との連携を広げ、2007年「〈専〉京都伝統工芸大学校」へと変革を遂げました。
これまで「師匠と弟子」のような徒弟制度で身に付けるしかなかった伝統工芸を、広く、プロから学べる点がTASKの特色です。
学生は10代から60代まで幅広く在籍し、その半数は大学既卒者または社会人経験者です。
もっとも多いのは関西出身の学生で約45%を占めますが、そのほかの地域からも学生が多く集まっています。
コースと専攻
以下、2つのコースと11の専攻があります。
コースと目的
- 工芸コース(2・3・4年制)
- 工芸クリエイターコース(4年制)
_京都だからこそ学べる匠の技を継承。モノづくりのプロを目指す。
_最高峰の工芸技術およびデザインを習得。作家やクリエイターを目指す。
専攻
- 陶芸専攻
- 木彫刻専攻
- 仏像彫刻専攻
- 木工芸専攻
- 漆工芸専攻
- 蒔絵専攻
- 金属工芸専攻
- 竹工芸専攻
- 石彫刻専攻
- 和紙工芸専攻
- 京手描友禅専攻
以上11の専攻のほか、希望すれば学内で大学卒業資格のためのカリキュラムを受講可能。
そのために特別な費用はかかりません。
また、京都大学の生協や図書館を自由に利用することができます。
自由で柔軟、高度な授業内容
とにかく実習
「授業の約8割は実習」という、実践的なカリキュラムがTASK最大の特長です。
どんどん実習することで卒業後に即戦力としての活躍を期待できます。
実習中心のカリキュラムは初心者にとってもメリットが。理論だけでなく実際に手を動かしながら学ぶため、習得がスムーズです。
未経験者はデッサンや道具の使い方からスタート。効率的、体系的に学ぶことができます。
「その道のプロ」一流講師陣がサポート
講師陣には「現代の名工」、「伝統工芸士」、「京の名工」の認定を受けた匠が勢ぞろい。
先生でもあり、師匠でもある。そんなアツい授業が繰り広げられます。
いままでは一子相伝、門外不出だった名工の技に触れることができる、開かれた授業です。
国際交流、交換留学も盛ん
TASKは国際交流にも力をいれており、フランス、イタリア、ブータンとの関係を深めています。
中でもフランスの「エコール・ブール国立工芸学校」とは技術交流をおこない、合同展を開催。
短期交換留学で工房見学やホームステイの体験も可能です。イタリアでは研修旅行のほか、見本市に学生の作品を出展。
活動の場に海外を考えている人には嬉しい制度です。
卒業後の進路
数ある美術や芸術系学校において、TASKは高い就職率を誇ります。
2014年度は就職率97%(進学、独立をのぞく)。
就職先は陶芸の窯元や木工などの工房、仏壇や仏具の製造所、インテリアやアクセサリー関連など多岐にわたります。
高い専門性と技術を生かし、卒業生が各方面で活躍している表れでしょう。
支援学校技術指導員、福祉施設技術指導員、学校教員も選択肢の1つです。
アーティスト、作家として独立する人も。より技術と知識を高めるため、進学も選ばれています。
一例として、蒔絵専攻から「国立京都工芸大学 大学院」へ、木彫刻・仏像彫刻・金属工芸の各専攻から「国立鳴門教育大学 大学院」への進学実績もあります。
「徒弟制度」の枠を超え、伝統工芸の世界へ広く門戸をあけたTASK。
興味がある人は、まずオープンキャンパスへ行ってみましょう。
地方にお住まいなら、各地で開催している進路説明会へ。
入学後も学生寮が充実しているので安心ですよ。