周敦頤の「愛蓮説」は古文真宝に収録されている有名な漢詩です。
高校の漢文の授業でも習いますよね。
今回は漢詩の中でも特に有名な周敦頤の「愛蓮の説(愛蓮説)」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説と合わせてご紹介したいと思います。
周敦頤「愛蓮の説(愛蓮説)」の原文
周敦頤「愛蓮の説(愛蓮説)」の書き下し文
水陸草木の花、愛すべき者甚だ蕃し。
晋の陶淵明は独り菊を愛す。
李唐より来、世人甚だ牡丹を愛す。
予は独り蓮の淤泥より出でて染まらず、清漣に濯れて妖ならず、中は通じ外は直く、蔓あらず枝あらず、香遠くして益清く、亭亭として清く植ち、遠観すべくして褻翫すべからざるを愛す。
予謂へらく、菊は華の隠逸なる者なり、牡丹は華の富貴なる者なり、蓮は華の君子なる者なりと。
蓮を之れ愛するは、予に同じき者何人ぞ。
牡丹を之れ愛するは、宜なるかな衆きこと。
周敦頤「愛蓮の説(愛蓮説)」の現代語訳
水の中や陸の上で育つ草木の花で、愛でるべきものは大変たくさんある。
晋の陶淵明は、ただ一人菊の花を愛した。
(その後)李性の唐王朝以来今に至るまで、世の中の人々は牡丹の花をひどく愛している。
(しかし)私は、(泥の中に生えながらも)水底の泥に染まらず、水面の清らかなさざ波に洗われることで人にこびるようなあでやかさがなく、茎の中には穴が通っていて外側はまっすぐ伸びており、(煩わしい)蔓や枝もなく、香りが遠くまで漂いますます清々しく、(泥の中に)すっくと清らかに立って、遠くから眺める事はできても手に取って弄ぶことのできない蓮の花を、一人愛するのである。
私が思うに、菊は花の中の隠者であり、牡丹は花の中の富貴(=地位や財産を有する)なる者であり、蓮は花の中の君子である。
ああ、菊の花を愛する人の事は、陶淵明以後聞くことがほとんどない。
蓮の花を愛する人で、私と同じ(くらい蓮を愛する)人は、いったいどのような人であろうか。
(富貴を喜ぶ今の世の中で)牡丹を愛でる人が多いのは、もっともであることよなあ。
周敦頤「愛蓮の説(愛蓮説)」の単語
可(レ)愛者
愛でるべきもの。
甚蕃
大変たくさんある。
自
時間や起点を表す前置詞。
予
一人称代名詞。私。
隠逸
俗世間を避けて隠れ住むこと。また、その人。隠者。
富貴
財力と地位。
君子
学や徳のある立派な人物。
陶
陶淵明のこと。
周敦頤「愛蓮の説(愛蓮説)」のテスト問題
○問題:「世人甚愛牡丹」とあるが、なぜか。
答え:世の中の人々にとって、あでやかな牡丹の花には誰もが求める富貴なイメージがあったから。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は高校古典の教科書にも出てくる、漢詩の中でも特に有名な周敦頤の「愛蓮の説(愛蓮説)」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説、テスト問題と答えと合わせてご紹介しました。
ご参考になれば幸いです。