とぼけた表情にユーモラスな造形、日本各地で昔から作られてきた張り子は、元祖ゆるキャラとも言えるのではないでしょうか。
今回は、インテリアに取り入れたいレトロかわいい各地の張り子をご紹介します。
1.張り子の代表・ダルマの産地
日本を代表する張り子として、ダルマがあります。
禅宗の開祖である達磨大師が座禅をした姿を模したものであり、願掛けにも使われます。
日本に点在する様々なだるま産地の中で、代表的なものをご紹介します。
- 高崎だるま
-
張り子ダルマの産地として有名なのが、群馬県高崎市です。
高崎で張り子ダルマが作られるようになったのは18世紀頃からと伝えられています。
眉毛は鶴、髭は亀の形をしているのが特徴で、今でも造形や描彩は手作業で行われています。
ダルマ製造業者50社で群馬県達磨製造協同組合も組織されており、群馬県を代表する民芸品として知られています。 - 松川ダルマ
-
宮城県仙台市では、青を基調とした鮮やかなデザインを売りにする松川ダルマが作られています。
松川ダルマは、天保年間(1830~1844年)に伊達藩士の松川豊之進が考案したと伝えられています。
群青色で縁取られ、鼻筋もスッと通った顔立ちは歌舞伎役者のようでもあり、伊達の美意識を感じさせます。 - 阿賀野の三角だるま
-
郷土玩具 民藝 新潟 今井人形店 三角だるま 豆一対 赤青セット
新潟県阿賀野市では、円錐形という独特の形状の張り子ダルマを作っています。
俗に「三角ダルマ」と呼ばれるものであり、その形状と横目を流したようなユーモラスな表情が特徴的です。
この他にも、日本各地で様々な張り子ダルマが作られています。
例えば、漁師町である茨城県那珂湊では、手を目の上にかざしたかのような掘りの深い張り子ダルマが大漁祈願の縁起物として愛されています。
港を離れる漁船を陸から見送るという想いがこめられているのでしょうね。
このように、張り子ダルマは地域ごとに特徴があります。
旅行先のお土産物屋や民芸店で張り子ダルマを見かけた際は、その違いを意識してみると面白いですよ。
願いが込められた首振り張り子
張り子の中には、頭と胴体を分けて首振りができるようにされたものがあります。
有名なのが福島県の赤べこです。
日本三大虚空蔵堂がある円蔵寺を建立する際に材木運びを手伝ったという赤い牛の伝説がありますが、赤べこはそれをモチーフに作られた郷土玩具です。
頭と胴体に接続に独特の工夫がされており、頭に触れると上下左右に振り子運動を繰り返します。重い材木を首を振りながら運ぶ牛の姿が連想されます。
元気に動くさまから、子供の厄病避けとして愛されています。
西日本では、端午の節句の縁起物として張り子の虎が親しまれています。
龍虎という表現があるように、虎は龍と並んで神格視された動物です。勇猛な姿から、権力の象徴としても崇められています。
張り子の虎には、強い子供に育つように、立身出世するようにという想いが込められているのでしょう。
奈良県の信貴山・朝護孫寺には、世界最大級の張り子の虎が置かれていますので、旅行の際には虎のご利益にあずかってみてはいかがでしょうか。
3.張り子をインテリアに取り入れる
張り子はお値段もお手頃で軽く持ち運びやすいため、インテリアに取り入れやすいという特徴があります。
伝統的なデザインに加えて、最近では現代風のものも出ていますので、部屋の雰囲気に合わせて使い分けていくと良いでしょう。
玄関や窓辺に置くと目に付くたびにほっこりとした気分を味わえそうです。
マトリョーシカのように入れ子構造になったもの、キャラクターとタイアップしたものなど、新作張り子も続々と現れてきていますので、お気に入りの張り子作家を見つけて応援してみるのも良いですね。