日本を代表する伝統文化、浮世絵版画。
その始まりは江戸時代で、色鮮やかで大胆な構図の浮世絵は庶民が楽しめる娯楽として大流行しました。
その伝統を受け継ぐ工房が、東京の目白にあります。
名前は、アダチ版画研究所。
建物は地下1階がショールームで、2階が工房という作りになっています。
浮世絵は絵を描く絵師、それを元に彫りの作業を行う彫師、そしてそれを紙に刷る摺師の三者によって作られます。
その一連の流れをプロデュースするのが、版元です。
アダチ版画研究所はそれぞれの職人を工房に抱える版元として、日本で唯一となっています。
伝統技術を受け継ぎ、浮世絵の復刻を始め、近年では世界で活躍するアーティストである草間彌生さんや山口晃さんといった現代の木版画制作も行っています。
また、伝統木版技術の保存・継承を目的として平成6年に文化庁の認可のもと「公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団」を設立し、後継者の育成や啓蒙普及活動にも力を入れています。
今回、この公益財団法人による木版画技術研修生を募集します。
研修期間は半年間。
工房に併設した研修所で職人から直接技術を学ぶことが出来ます。
また、研修生への応募を検討している方を対象に、インターンシップ型ワークショップを開催しています。
4日間のワークショップを通じて、どのような仕事なのか感じてもらえる内容になっていますので、参加希望の方は別途こちらの参加応募ページよりお申込み下さい。
伝統を受け継ぎ、未来へ繋ぐ木版画職人。
自分の手仕事で、多くの人に感動を与えてみませんか。
写真:砺波周平
Q.この仕事を始めたきっかけを教えてください。
絵はもともと好きでした。
小学生くらいから図鑑や日本史の資料集などで浮世絵を見て、好きになりました。
そして趣味として美術館や展覧会に行ったりしていたのですが、やっぱり手仕事の方が面白いかもしれないと感じ、研修生に応募しました。
Q.研修生になって最初はどういう作業をしていたのでしょうか。
最初の半年は基礎から教えてもらうので、絵の具を作ったりとか、小さな版木から摺る練習をして、紙に色が付くようになる練習をします。
研修が終わり社員になることが出来た後は、商品になるものを少しずつ摺り始めます。
最初は難易度の低い、比較的簡単なものから始めていきました。
Q.浮世絵が好きだったのが、自分で摺れるようになったのは嬉しかったですか。
そうですね、嬉しいですね。
美術館に飾ってあったり、資料集にあるような絵を自分の手元で起こしていくという作業は、最初は変な感じがするんですけど、出来上がるとやっぱり絵として元々完成度が高い絵なので、嬉しさはありますね。
Q.浮世絵の見方は変わりましたか。
そうですね。
絵の具の濃さとか、同じものでも色合いが違ったりするので、ここはこれを置いているんだとか、ぼかしの幅とか、そういうところも見るようになりました。
Q.これまで4年続けて、大変だったところは?
一般的な仕事と違って手作業なので、覚えることが多いのと、あと人それぞれで加減が違うので、その感覚を自分の中で見つけていくのが難しいですね。
半年だけじゃその感覚は全然身につかないので。
Q.どれくらいで身につくものなのでしょうか。
こういう感じかなと思い始めたのは、ホント最近なので。
続けるのが大変かなと思います。
Q.この仕事をしていて良かったことは?
好きなことを仕事にしているので。
大変なこともあるんですけど、少しずつ摺れるようになっていくのは嬉しいですね。
Q.この仕事に興味がある、職人を目指している人へアドバイスはありますか。
やっぱり浮世絵に興味があったり、木版に興味があったり、あと手仕事が好きっていう気持ちは大切だと思います。
そういう、仕事でやっているからというよりも、好きっていう気持ちがある程度無いと続けるのが難しい仕事だと思うので、前向きに取り組んでもらいたいなぁというのはありますね。