王維の「鹿柴」は古典漢文の教科書にも出てくる漢詩の一つで、唐詩選に収録されています。
王維の「鹿柴」は近体詩で、漢詩の詩体の一つとなっており、今体詩ということもあります。
近体詩は古体詩より後の唐代初期に完成し、一定の格律の制約を受けることが特徴となっています。
今回はそんな近体詩の中でも特に有名な王維の「鹿柴」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説と合わせてご紹介したいと思います。
王維「鹿柴」の原文
王維「鹿柴」の書き下し文
空山人を見ず
但だ人語の響きを聞くのみ
返景深林に入り
復た照らす青苔の上
王維「鹿柴」の現代語訳
人気のないひっそりした山には、人の姿が見えない。
ただいずこからともなく人の話し声が響いてくるだけだ。
夕日の赤い光が、深い林の中に差し込んで、
そして濃い緑の苔の上を美しく照らしていることだ。
王維「鹿柴」の単語
[鹿柴]
鹿を飼うための囲いのある所。
[空山]
人気のないひっそりした山。
[不レ 見レ 人]
人の姿を見かけない。
[但 聞]
ただ聞こえるだけだ。
[人 語]
人の話し声。
[響]
静寂の中では、遠くの響きがすぐ間近に聞こえるのである。
[照 青 苔 上]
濃い緑の苔の上を照らしている。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は高校古典の教科書にも出てくる、近体詩の中でも特に有名な王維の「鹿柴」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説と合わせてご紹介しました。
ご参考になれば幸いです。