王昌齢の「芙蓉楼送辛漸」は近体詩の中でも有名な漢詩で、唐詩選に収録されています。
高校の漢文の授業でも習いますよね。
ちなみに近体詩とは、漢詩の詩体の一つで、今体詩ということもあります。
古体詩より後の唐代初期に完成し、一定の格律の制約を受けることが特徴となっています。
今回はそんな近体詩の中でも特に有名な王昌齢の「芙蓉楼送辛漸」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説と合わせてご紹介したいと思います。
王昌齢「芙蓉楼送辛漸」の原文
王昌齢「芙蓉楼送辛漸」の書き下し文
芙蓉楼にて辛漸を送る 王昌齢
寒雨江に連なりて夜呉に入る
平明客を送れば楚山孤なり
洛陽の親友如し相問はば
一片の氷心玉壺に在りと
王昌齢「芙蓉楼送辛漸」の現代語訳
【芙蓉楼にて辛漸を送る】 友人を見送る寂しさと、左遷のわが達観した心境
(冬の)冷たい雨は雨脚が川面に連なるように、夜には(寒雨が)ここ呉にも降りだした。
夜明けに旅立つ友を見送ると、(昨夜の雨はすっかり上がって、目の前には)楚の地のやまがぽつんと姿を見せている。
洛陽にいる(私の)親戚や友人が、もし(私はどうしているかと)訪ねたならば、清らかで透きとおった一片の氷が白玉の壺の中にあるような澄みきった心境だと伝えてほしい。
王昌齢「芙蓉楼送辛漸」の単語
[寒雨]
冷たい雨。
[連]
雨が激しく降りそそいで、川面と雨との境目がはっきりしないことをいう。
[入レ 呉]
呉にも降りだして。
[送レ 客]
友を見送ると。
[楚 山 孤]
辛漸を見送った後の、作者の孤独な心象風景を表している。
[洛 陽]
唐時代の副都。
[如 相 問]
もし尋ねたならば。
[玉 壺]
白玉で作った壺のこと。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は高校古典の教科書にも出てくる、近体詩の中でも特に有名な王昌齢の「芙蓉楼送辛漸」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説と合わせてご紹介しました。
ご参考になれば幸いです。