組紐(くみひも)と言ってまず思い浮かぶのは帯締めでしょうか。
組紐は日本の伝統工芸です。
その丈夫さやカラフルな色使いは、海外でも人気となっています。
組紐を使ったオシャレなブレスレットやストラップも雑貨屋さんなどで見かけるようになりました。
最近では大ヒット映画「君の名は。」で伊賀組紐が登場したこともあり、若い人の間でも注目が集まっています。
今回は、今あらためて見直したい伝統工芸、組紐をご紹介します。
1.組み紐の歴史
細い絹や綿の糸を編んで織り上げた紐を、組紐と言います。
日本には仏教の伝来とともに、仏具・経典・巻物の付属品の飾り紐として伝わってきました。
奈良時代には礼服に、鎌倉時代には武具に、安土桃山時代には茶道具の飾り紐として主に使われました。
江戸時代には組紐を作るための内規台が作られ、模様や色彩がより美しく進化していきました。
江戸時代末期には女性の帯締めとして使われ、現在でも帯締めとして広く採用されています。
伝統的工芸品としては、1976年に伊賀くみひもと京くみひもがそれぞれ指定されました。
2.伊賀くみひも
三重県の名張市や伊賀市で主に生産される、伊賀くみひも。
美しい色に染め上げられた糸を、組台という専用の台を使い交差させたり様々な組み方で組んでいくことで、より丈夫で、独特な形状のくみひもとなります。
伊賀くみひもの歴史は古く、奈良時代まで遡ります。
仏教伝来とともに大陸から伝わった仏教用具の袈裟などともにくみひもの技術も伝わりました。
その後、貴族の装束に必要な束帯に用いられたり、武士の時代には武具に用いられ、時代と共に活用範囲を広げていきました。
現在、手で組みあげる手組紐は、伊賀くみひもが全国シェア90%程となっています。
私たちが目にする帯締めや羽織紐の多くが、実は伊賀くみひもなのです。
伊賀くみひも作りを体験してみよう
- 伊賀くみひもセンター
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約百台もの丸台があり、一度に大勢が伊賀くみひも作りを体験できる施設です。
伊賀くみひもの販売も行っており、自分用や友人へのお土産として買うことも出来ます。名称 伊賀くみひもセンター 住所 三重県伊賀市四十九町1929-10 開館時間 9:00~17:00(くみひも体験は10:00~16:00、所要時間30分) 休業日 毎週月曜日(祝日の場合は営業) 体験内容 キーホルダー・ブレスレット 体験料 1,100円(事前予約が必要) - 組紐工房 廣澤徳三郎
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「組紐工房 廣澤徳三郎」の歴史は古く、初代の徳三郎さんが開業したのが明治35年です。
店内には伊賀くみひもの歴史を紹介するコーナーや文献などもあります。名称 組紐工房 廣澤徳三郎 住所 伊賀市上野西大手町3635-1 開館時間 10:00〜17:00(体験時間は約20分) 休業日 年始(1/1〜3) 体験内容 キーホルダー・ブレスレット他 体験料 1,000円(事前予約が必要) - 角打ち(角組)
- 平打紐(平組)
- 丸打紐(丸組)
- 組台
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初心者もはじめやすい組紐用具セット組紐を編む道具として使用されているのが組台です。
組台には丸台・角台・高台など種類がいろいろありますが、初心者には丸台がオススメです。
サイズにより値段は異なりますが、だいたい10,000円前後で購入できます。 - 組み紐ディスク
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ハマナカ 組ひもディスク
わざわざ組台を使わずに、もっと手軽に組紐を作ってみたい…そんなあなたは組紐ディスクがオススメです。
手芸用品店やネットで1,000円以下で販売されています。
また、簡単な組紐ディスクは自作することもできるので、まずは一度、気軽な気持ちで挑戦してみてはいかがでしょうか。
産地情報
名称 | 三重県組紐協同組合 |
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住所 | 〒518-0823 三重県伊賀市四十九町1929-10 伊賀くみひもセンター内 |
3.京くみひも
京都府の京都市や宇治市で主に生産される、京くみひも。
京都らしい優雅な色で染めた糸を組み上げて作るくみひもです。
くみひも自体は縄文時代より作られていましたが、京くみひもの起源としては平安時代、貴族や武士の装飾品として作られ始めたことにあります。
現在では和装小物で様々な製品展開をしており、伝統を現在に繋いでいます。
京くみひもの組み方は基本的な組み方だけでも40種類以上あり、非常に多くの製品があります。
京都の風土になじむような、気品のある色使いも特徴です。
人気上昇中!京くみひもの時計ベルト
吉祥寺にある人気時計ショップ「Knot」で販売中の、京くみひもの時計ベルト「京都昇苑シルク くみひもストラップ」が今話題となっています。
NHKのイッピンという番組で紹介された事をきっかけに更に人気が上昇しました。
産地情報
名称 | 京くみひも工業協同組合 |
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住所 | 〒602-8205 京都府京都市上京区新白水丸町462-4 |
4.組み紐の特徴
組紐は他の紐と違い、ななめに糸が織り上げてあるため伸縮性があるのが特徴です。
そのため帯締めに最適で、呼吸に合わせて伸縮することができます。
また、組紐はNASAの実験にも用いられ、強く引っ張っても切れない強度があります。
組紐の種類
組紐は形によって大きく三種類に分けられます。
断面が四角い形をしている組紐
平らできしめんのような形をしている組紐
断面が丸い組紐
5.組紐の作り方
伝統的な組紐の製作工程は20以上あり、こだわりの詰まった長い工程を経て完成します。
ここでは、自宅で気軽に自作できる組紐の製作道具をご紹介します。
6.組紐の現在
和装の際の帯締めはもちろんのこと、最近では海外でも人気の組紐。
組紐を取り入れたブレスレットなどのアクセサリー、ストラップもたくさん販売されています。
流行のコードブレスレットも組み紐の一種ですね。
外国人の間でも、組み紐の技を取り入れたブレスレットを購入したり自作したりするのが人気です。
伝統工芸の伊賀くみひもや京くみひもは、絹を使って織り上げているものも多く、その分お値段も低価格なものから高価なものまでさまざまです。
絹にこだわらず、まずはちょっと取り入れる感覚で、ブレスレットやストラップから手に入れてみてはいかがでしょうか。
組紐の体験スポット
日本の伝統文化に関する体験プランを掲載しているWABUNKAでは、組紐体験も提供しています。
ご興味のある方は下記のリンクより詳細をご覧頂けます。
7.まとめ
組紐というと帯締めのイメージでしたが、実はとても身近な伝統技術だということ、おわかりいただけましたでしょうか?
ぜひ、あなたに合った方法で、気軽に組紐を取り入れてみてくださいね。
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