和装の際、巾着や煙草入れなどを帯から下げて携帯する時に留め具として用いる、根付。
帯の下から上に紐をくぐらせて、帯の上部に根付を出して使います。
実用性だけでなく装飾性も重視され、様々なデザインの根付が作られてきました。
その芸術性の高さから海外でも高く評価され、浮世絵・蒔絵・根付の三つが日本の特筆すべきオリジナルのアートだとも評されます。
今回はそんな根付の魅力をご紹介します。
1.根付の歴史
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根付の起源は定かになっていませんが、江戸時代には現在の形で根付が使われるようになっています。
最初に根付を使用し始めたのは、武士でした。
武士は印籠を携帯していた為、根付は必需品だったのです。
その後商人や庶民が煙草を吸うようになり、煙草入れを携帯する人が増えると、根付も広く普及していきました。
みんなが持つようになると、根付の装飾性も重要視されるようになります。
根付を専門で作る「根付師」という職業も生まれ、職人同士で技を競い合いました。
しかし、洋装が普及すると、根付の需要も減少していきます。
国内で需要が減少した根付は、美術工芸品として海外に流出し、外国からの評価が高まりました。
江戸時代から昭和初期にかけて作られたものを「古典根付」や「古根付(こねつけ)」と呼び、戦後以降のものを「現代根付」と呼びます。
2.根付の種類
根付には彫り方や形によって様々な種類のものがあります。
ここでは主な6種類をご紹介します。
- 型彫根付(かたぼりねつけ)
- 差根付(さしねつけ)
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縦長の形で、帯の上から下へ差し込んで使用する。 - 饅頭根付(まんじゅうねつけ)
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楕円で、饅頭の形に似ている根付。 - 柳左根付(りゅうさねつけ)
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饅頭根付の原型をくり貫いて内側を空洞にし、透かし彫りを施す。 - 鏡蓋根付(かがみぶたねつけ)
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饅頭根付を針状にくり貫き、金属などの蓋と組み合わせる。 - 面根付(めんねつけ)
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能や狂言で使われる面を主題にしたもの。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。
小さな工芸品ながらとても奥が深い、根付。
たとえ小さなものでも、普段身につけるものにはこだわりたいという日本人の気質が感じられます。