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踊る町工場|能作の成功の秘密とは|売上10倍、工場見学12万人

能作の作業風景
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鋳物メーカー「能作(のうさく)」は1916年、富山県高岡市で誕生しました。
仏具や茶道具、花器など伝統的なものづくりをしていた能作でしたが、自社商品の風鈴や錫(すず)100%の曲がる器などが大ヒットとなり、今では日本の伝統工芸業界を代表する一大メーカーとなっています。

今回はそんな能作の秘密を、能作社長の著書「踊る町工場」から探っていきたいと思います。

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立川裕大さんとの出会い

1999年、高岡市内のデザイン勉強会で能作社長は伝統技術ディレクターの立川裕大さんと出会います。
その出会いがきっかけとなり、2001年に東京で能作初となる単独の作品展示会が開催されました。

ここに着色などを施さない真鍮(しんちゅう)素材の花器やハンドベルなどを出品し、好評を得ます。
この展示会がきっかけとなり、産地問屋以外との直接取引が始まっていったのです。

風鈴の大ヒット

展示会でも好評だったハンドベルでしたが、音色は綺麗だったものの日本ではハンドベルの使用機会がない為、売れ行きはよくありませんでした。
そこで、普段から顧客と接している販売店のスタッフに話を聞いてみると「デザインも音もきれいなので、風鈴にしたらどうですか?」と言われます。

このアイデアを取り入れてデザインはそのままに風鈴へリメイクしたところ、これが大ヒットに繋がったのです。

曲がる器

能作の代表作でもある曲がる器シリーズも、販売店のスタッフからのアイデアがきっかけでした。
食器を探している客が多くいた為、「金属の食器をつくれますか?」と聞かれた事から、食器の開発がスタートします。

しかし風鈴にも使用している真鍮では、銅が含まれている為に食品衛生法の問題で食器は作れない事がわかります。
そこで素材の候補にあがったのが、でした。

錫には抗菌作用があるなど食器には適していましたが、錫だけだととても柔らかく、簡単に曲がってしまうという欠点がありました。
その為食器として加工する為には他の金属を混ぜ、合金にして固くするのが一般的でした。

しかしその製法は既に大阪錫器や薩摩錫器などで行われていた為、「同じものを作れば他の産地の競合となり、迷惑になってしまう」と考えた能作社長は、社内の反対を押し切り錫100%での食器作りを決断します。

逆転の発送

錫100%での食器作りに挑戦したものの、どんな製法を試しても”柔らかい”という欠点は補えませんでした。
その事をデザイナーの小泉誠さんに相談すると「曲がるなら、曲げて使えばいいのでは?」とアドバイスを貰います。

この言葉がきっかけとなり、その後の「曲がるKAGO」シリーズなどに繋がっていったのです。

産業観光

能作の新社屋

能作の新社屋

2500種もの木型

2500種もの木型


能作は2017年4月、広大な新社屋をオープンしました。
このときの能作の売上は13億円程でしたが、なんと建設費用は16億円。

一見すると非常識な決断に見えますが、この決断によって今では工場見学に年間12万人もの人々が訪れる、富山でも有数の観光スポットになったのです。

能作社長は産業観光の目的として、「地域創生」「産地存続」「技術の伝承」も掲げながら、一番の目的として「地元・高岡の子どもたちに、地域の素晴らしさを知ってもらう」事を挙げています。

工場に併設するカフェにはキッズコーナーがあるなど、親子でも学習出来る環境が整っています。

職人の誇り

能作の作業風景
近年では外国人観光客が増えている事もあり、産業観光は伝統工芸にとっても大きなテーマの一つですが、能作では30年も前から工場見学の受け入れを続けてきました。

その当時のエピソードとして、ある小学生の男の子と母親が見学に来た時の話が紹介されています。

工場内部の見学や作業を見せていると、母親が「よく見なさい。ちゃんと勉強しないと、あのおじさんみたいになるわよ」と子どもに言っていたのです。

その言葉を聞いた能作社長は悔しさに震え、心に決めます。

「鋳物職人の地位を取り戻す」

「きつい、危険、汚い」の3K職場と見られていたイメージを払拭すべく、3つの取組みを始めます。

①技術を磨いて問屋の信頼を得る
②自社製品を開発・販売する
③工場見学を受け入れる(産業観光に力を入れる)

そして現在では「子どもの頃に見学に来た事がきっかけで職人になった」という方もいるくらい、子どもたちの憧れの職場になっています。

能作工場見学の写真

工場見学では作業を間近で見る事が出来る

鋳物作りの一工程を担っていた小さなメーカーが、今は工場見学者数年間12万人、従業員は150人超、売上も15億円を超えるなど、外から見ると奇跡とも思える成長を遂げてきたのは、能作の社長、職人、全社員の方々の努力によって成し遂げられたのです。

2019年10月に発売された能作社長の著書「踊る町工場」では、その成長の過程が詳細に記述されています。
是非読んでみて下さいね。

工芸
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