山椒魚のあらすじ・解説|井伏鱒二「山椒魚」のテスト問題と答え 

枯山水
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山椒魚は井伏鱒二の代表的な短編小説です。
ユーモアのある表現や優れた比喩表現で、山椒魚を取り巻く状況やその心情が巧みに描かれています。
また、山椒魚は寓意小説(物語の中に教訓や意見を仮託した小説)であり、現代にも通じる教訓が含まれているといわれています。

高校の現代文の教材としても扱われ、広く親しまれている作品です。
今回はそんな山椒魚について詳しく解説していきます。

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1.山椒魚のあらすじ

井伏鱒二「山椒魚」のあらすじをご紹介します。

[山椒魚の主な登場人物]
・山椒魚
二年の間に頭が発育しすぎて岩屋から出られなくなってしまい、悲しみ嘆いている。
  
・蛙
山椒魚によって岩屋に閉じ込められてしまう。

ある岩屋に山椒魚がいた。
彼は二年の間に頭が発育しすぎて、岩屋から出られなくなってしまっていた。
悲しみ嘆いていたが、空威張りして尊大に構えていた。
外の世界の小魚の様子を眺めて気を紛らわしていたが気持ちは晴れない。

ある夜、山椒魚は岩屋の外へ出ようと試みたが失敗し、岩屋の中に紛れ込んだ小えびにひどく失笑されてしまう。
何度も挑戦する山椒魚だったが、失敗を繰り返し気が狂いそうになる。

自分自身を愚かな言葉で例え始め、孤独と絶望に陥る。
鬱々と日々を過ごしているうちに山椒魚は悪い性質を帯びてくる。

ある時、蛙が岩屋に入ってくると自分の体で岩屋を塞いで閉じ込めてしまう。
相手を自分と同じ状況にすることが痛快だったのだ。
蛙とは口論し続けたが、しだいに口を聞かなくなり
睨み合いの生活が続いた。

二年の時が経ち蛙が先に死にそうになる。
蛙の嘆息を聞いたことにより、自責の念にかられた山椒魚は、蛙に今の心境を問う。

蛙は山椒魚の気持ちを理解した上に許す気持ちでいると伝えるのであった。

2.ここが山椒魚のポイント

○山椒魚の心情の変化に着目しよう

山椒魚の心情の変化を大まかにまとめます。

二年間住んでいた岩屋から、出られなくなったことに気づき、狼狽し悲しむ。

岩屋から群れとなって動く事しかできないめだかたちを見て嘲笑する。(だんだんと意地が悪くなっている。)

紛れ込んできた小えびを見て、脱出しようと試みるが、コロップの栓になってしまい、発狂しそうになる。孤独と絶望を感じる。

よくない性質を帯びてきたために、自分と同じ状況にしてやろうと思い蛙を閉じ込める。

蛙の嘆息をきっかけに、和解しようとするが、蛙の死が近い事を知り自責の念にかられる。

○最後の場面における山椒魚と蛙の相手に対する気持ちについて考えよう。

▷着目する文章

[山椒魚]
彼は上の方を見上げ、かつ友情を瞳にこめて尋ねた。

→自分と同じ絶望状態にある事を悟り、蛙を運命を共にする共同体としてみなしている。

[山椒魚]
「おまえは今、どういうことを考えているようなのだろうか。

→遠回しに聞いている。
蛙を岩屋の中に閉じ込めた事に対して自責の念にかられている。

[蛙]
今でも・・・・・・怒ってはいない。」

 →「今では」ではなく「今でも」というところがポイント!
ある時点で、山椒魚の境遇や悲しみを理解できるようになったため、山椒魚を許す気持ちになっている事がわかる。

○文章中で使われている言葉が何を象徴しているかを考えよう。

[岩屋]
身動きもままならない岩屋は、自由を失い未来の希望もなく、息苦しい生活を送るしかない現代の象徴。

[山椒魚]
頭が肥大化したため、 岩屋から出られない山椒魚は、自分の見識のみで世間をとらえる、頭でっかちの現代知識人の象徴。

[めだかたち]
自由に泳げる境遇にありながら他の仲間から自由に遁走できない、縛られたもの。
本来自由な身であるにもかかわらず、群れをなさなくてはやっていけないという社会性を持つために不自由なのだという風刺がこめられている。

3.山椒魚でテストによく出る問題

この章では井伏鱒二の「山椒魚」でテストによく出る問題をご紹介します。

問題① 次のかたかなを漢字に直しましょう。
1.動かぬショウコをつかむ。
2.気軽にジョウダンを言う。
3.努力はトロウに終わった。
4.読書にボットウする。
5.エンリョのない間柄。

答え:
1. 証拠
2. 冗談
3. 徒労
4. 没頭
5. 遠慮


問題②この作品の中から、次に該当する表現を抜き出してみましょう。
1.比喩表現
2.文語的な表現
3.翻訳調の表現

答え:
1.
・コロップの栓
・あたかもすずめのひえくさの種子に似た
・ブリキの切りくず
      
2.
・思いぞ屈せし場合
・あまつさえ
・ここを先途と

POINT
口語より固く意味が強められているものを探します。
<口語>望みが叶わないとわかった時→<文語>思いぞ屈せし場合
<口語>それだけでなく、おまけに→<文語>あまつさえ
<口語>ここが大事な場面だと(必死になる)→<文語>ここを先途と

3.
・コロップの栓となるにすぎなくて
・泳ぎ回るべくあまりに広くなかった
・小えびの狼狽といっては

POINT
整理が不十分でそのまま日本語に直訳されているような独特な表現を探します。

4.井伏鱒二「山椒魚」のまとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は高校現代文の教科書にも掲載されている井伏鱒二の短編小説「山椒魚」の内容解説とテスト問題と答えについてご紹介しました。

作者がこの作品を通して現代人に伝えたかった事が読み取れると良いと思います。
比喩表現や独特な表現が多く使われている作品ですので、しっかりおさえておきましょう。

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