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送薛存義之任序(柳宗元)の原文・書き下し文・現代語訳|単語の意味・漢詩漢文解説とテスト問題・答え|薛存義の任に之くを送るの序

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柳宗元の「薛存義の任に之くを送るの序(送薛存義之任序)」は唐宋八大家文読本に収録されている有名な漢詩です。
高校の漢文の授業でも習いますよね。

今回は漢詩の中でも特に有名な柳宗元の「送薛存義之任序」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説と合わせてご紹介したいと思います。

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柳宗元「送薛存義之任序」の原文

【送薛存義之任序】柳宗元河東薛存義将行。柳子載肉於俎、崇酒於觴、追而送之江滸、飲食之。且告曰、「凡吏於土者、若知其職乎。蓋民之役、非以役民而已也。凡民之食於土者、出其什一傭乎吏、使司平


於我也。今、受其直、怠其事者、天下皆然。豈唯怠之、又従而盗之。向使傭一夫於家、受若直、怠若事、又盗若貨器、則必甚怒而黜罰之矣。以今天下多類此。而民莫敢肆其怒而黜罰、


何哉。勢不同也。勢不同而理同。如吾民何。有達於理者、得不恐而畏乎。存義仮令零陵二年矣。蚤作而夜思、勤力而労心、訟者平、賦者均。老弱無懐詐暴憎。其為不虚取直也、的矣。


其知恐而畏也、審矣。吾賤且辱、不得与考績幽明之説。於其往也、故賞以酒肉、而重之以辞。」

柳宗元「送薛存義之任序」の書き下し文

河東(かとう)の薛存義(そんせつぎ)将(まさ)に行かんとす。
柳子(りうし)肉を俎(そ)に載せ、酒を觴(さかづき)に崇(み)たし、追ひて之を江の滸(ほとり)に送り、之に飲食せしむ。
且つ告げて曰はく、
「凡(およ)そ土に吏(り)たる者、若(なんぢ)其の職を知るか。
蓋(けだ)し民の役にして、以て民を役するのみに非ざるなり。
凡そ民の土に食する者は、其の什(じふ)の一を出(い)だして乎吏を傭(やと)ひ、平を我に司(つかさど)らしむるなり。
今、其の直(あたひ)を受けて、其の事を怠る者、天下皆然(しか)り。
豈(あ)に唯(た)だに之を怠るのみならんや、又従ひて之を盗む。
向使(も)し一夫を家に傭(やと)ひ、若(なんぢ)の直を受けて、若の事を怠り、又若の貨器(かき)を盗まば、則(すなは)ち必ず甚だ怒りて之を黜罰(ちゆうばつ)せん。
以(おも)ふに今天下此(これ)に類するもの多し。
民敢(あ)へて其の怒りを肆(ほしいまま)にして黜罰(ちゅつばつ)すること莫(な)きは、何ぞや。
勢ひ同からざればなり。
勢ひ同からざるも理は同じ。
吾が民を如何(いかん)せん。
理に達する者有らば、恐れて畏れざるを得んや。
存義仮に零陵に令たること二年。
蚤(つと)に作(お)き夜に思ひ、力を勤めて心を労し、訟は平らかに、賦は均(ひと)し。
老弱にも詐(いつは)りを懐(いだ)き暴憎(ぼうぞう)すること無し。
其の虚(むな)しく直を取らずと為すや、的(あき)らかなり。
其の恐れて畏るることを知るや、審(つまび)らかなり。
吾(われ)賤(いや)しくして且つ辱められ、考績幽明(こうせきゆうめい)の説に与(あづ)かるを得ず。
其の往(ゆ)くに於(お)いて、故(ことさら)に賞するに酒肉を以てして、之に重ぬるに辞を以てす。」と。

柳宗元「送薛存義之任序」の現代語訳

河東の薛存義は今にも(任地に)赴こうとしている。
私こと柳は、肉をお膳に載せ、酒を杯に満たし、ついて行ってこれ(=薛存義)を川のほとりまで見送り、飲食を振る舞った。
そして告げ言うことには、
「一般的にその土地で役人となる者について、あなたはその職務を知っているか。
思うに(その職務は)民に使われることであって、民をこき使うのではないということだけだ。
総じて民であって土地を耕して生活している者(=農民)は、(収穫の)十分の一(の租税)を払って役人を雇い、我々(役人となる者)に公平な政治をさせるのである。
(ところが)今、その(民からの)報酬を受け取りながら、その仕事を怠けている者については、世の中どこでも同じである。
(しかも)どうしてただ怠けるだけであろうか、また(そんな世の中の風潮に)付き従って(報酬を)盗んでもいるのだ。
仮に家で下男を一人雇い、あなたの(払う)報酬を受け取りながら、あなたがさせる仕事を怠け、その上にあなたの家の金目の物を盗んだとしたら、きっとひどく怒ってその下男を退け罰するだろう。
今の世の中はこの類が多いと(私は)思うのだ。
けれども民が思いのままに怒り、(役人を)辞めさせようとしないのは、どういうわけであろうか。
(それは、民と役人とでは)力関係が同じではないからだ。
力関係は同じでなくとも、(報酬分は働かなければならないという)道理は同じである。
(搾取されても怒ることのできない)民をどうすればよいのだろう。
道理に通じている者であれば、危ぶみ恐れないことがあろうか(、危ぶみ恐れるに違いないのだ)。
存義よ、(あなたは)零陵県の仮の長官であることが二年であった。
(その間)朝早く起きて夜遅くまであれこれ考え、肉体を働かせ精神を使い、訴訟は公平に裁き、租税は均等にした。
老いも若きも不正を企んだり憎悪を露わにすることがなかった。
あなたが何もしないで報酬を得る事がなかったのは、明らかだった。
あなたが危ぶみ恐れる(優れた役人である)ことは、はっきりしていた。
(ところが)私は身分が低くその上罪人であるため、官吏の功績を議論する会議に関わることができない。
(そこで)あなたが(任地に)赴くにあたって、わざわざ酒と肉で称え、さらにこの文章を贈るのである。

柳宗元「送薛存義之任序」の単語

滸(ほとり)

川岸のこと。

上級官僚である「官」に対し、下級・地方の役人をいう。

其事

報酬の対象となる仕事。

勢力。力関係。

暴憎

憎悪を露わにする。

わざわざ。

柳宗元が柳宗元にあてたこの文章のこと。

柳宗元「送薛存義之任序」のテスト問題

○問題:「天下皆然」とは何を指すか。
答え:世の中の役人たちが、民から報酬を受け取りながら(報酬の対象となる)仕事を怠けている事。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は高校古典の教科書にも出てくる、漢詩の中でも特に有名な柳宗元の「薛存義の任に之くを送るの序(送薛存義之任序)」について、原文と書き下し文・現代語訳を単語の解説、テスト問題と答えと合わせてご紹介しました。
ご参考になれば幸いです。

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