房州うちわに京うちわ、丸亀うちわ…日本の夏にかかせない日本三大団扇

うちわ
夏になると自宅で、お祭りで、BBQなどでも活躍する「うちわ」。
今では「扇ぐ」ことに使っていますが、その昔うちわは翳したり祓ったりして、儀式や占い、祈願や行司、軍配、また貴人が顔を隠すためなどに用いられていました。

当初は鳥や獣の毛、芭蕉や蒲葵の葉で作られていましたが、その後少しずつ変化していきます。

現代に伝わる竹骨と和紙で作られるうちわは、室町時代にその構造が確立されたと伝えられており、徐々に庶民の生活にまで広まっていきました。
江戸時代には木版画技術が発展したこともあって、うちわ絵と呼ばれる文化も生まれ、うちわに描かれた絵を通じて、美術文化を身近に楽しめるようにもなったのです。

このころから、扇いで涼をとるのはもちろんのこと、帯に差して装いのワンポイントにしたり、踊りの小道具に用いたりと、日本の夏を彩るファッションアイテムとしての側面も持ち始めました。

今回は日本三大うちわと言われる、丸亀うちわ、京うちわ、房州うちわについてご紹介します。

【目次】
1.生産量NO,1の丸亀うちわ
2.洗練された美しさで人気の京うちわ
3.関東代表・千葉館山で作られる房州うちわ
4.まとめ

1.生産量NO,1の丸亀うちわ

丸亀うちわ画像
出展:丸亀市HP
全国のうちわの生産量の約9割を占めている丸亀うちわ。
平成9年には「国の伝統工芸品」に指定されました。朱赤に丸金印のうちわが有名ですよね。

丸亀うちわは寛永10年(1633年)金毘羅大権現の別当金光院住職・宥睨(ゆうげん)が考案し、その後丸亀藩の地場産業として発展していきます。
うちわ作りに必要な竹は伊予(愛媛県)から、紙は土佐(高知県)、糊は阿波(徳島県)というように、その材料の産地が近かったことも、長く続けられた理由のひとつでしょう。

丸亀うちわの特徴は柄と骨が1本の竹から作られているということ。
ちなみに京うちわの場合は柄と骨が別に作られる差し柄という手法が取られています。

そんな丸亀うちわ貼りの体験が出来る施設が丸亀市港町にあります。
その名も「うちわの港ミュージアム」。
様々な丸亀うちわの展示、歴史、関連する文献、実演コーナーなどがあり、入場料は無料。
但しうちわ貼りの体験料は500円となっています。
体験に要する時間は40~50分程度(10人以上になると90分程度)、事前に予約が必要です。

詳しくは丸亀市の公式サイトを御覧下さい。

2.洗練された美しさで人気の京うちわ

京うちわの画像
出展:青山スクエアHP
京うちわの歴史は南北朝時代に遡ります。当時の日本の海賊「倭寇」が朝鮮から持ち帰ったうちわが、紀州・大和を経て京の貴族の別荘地に伝わったと言われています。
宮廷で用いられた「御所うちわ」がルーツとなっている京うちわは、国産の4~5年ものの竹だけを使い、柄の部分にも漆に金彩を施すといった贅沢で優美な物も作られていました。

鑑賞用としても人気が高く、装飾性にもこだわっており、非常に繊細で高度な技術を必要としています。
京うちわは上部の骨(細い竹ひご)の数によって等級が分けられており、この本数が多ければ多いほど上級品とされています。

京うちわは洗練された美しい絵柄が魅力的ですが、その型も丸型・角型・長柄型・羽子板型・扇型・千鳥型・キャラクター型などバリエーションも豊富。
京うちわは京扇子と同様に、京都の伝統文化を代表する存在と言っていいでしょう。

3.関東代表・千葉館山で作られる房州うちわ

房州うちわ
写真提供:南房総市
房州うちわは、千葉県の館山市、南房総市で生産されており、地域に自生する篠竹(女竹)を原料に用いて、細く割いた骨と一体となって丸みを帯びた柄となっているのが特徴です。
木製の柄を別に取り付ける京うちわ、平たく削った真竹を用いる丸亀うちわと違って、手に馴染みやすく、しなやかな動きを見るだけで、どこか涼しい気分になることができます。

デザインも丸型、卵型、柄長といった基本型に加えて幅の広い楕円形といったものもあり、絵柄に合わせた形状を変えていくのも特徴的です。
これも機械生産ではなく手仕事だからこそ実現できるきめ細やかさでしょう。
最近では、和紙のほかに布地を使ったものも生産されており、デザインの幅も広がってきています。

房州うちわの歴史

館山市、南房総市近辺は、江戸時代から良質な竹の産地として知られており、関東でうちわ生産が始まってからは、那古港から江戸のうちわ職人へと篠竹を出荷していました。
明治時代には、篠竹からうちわの骨に加工する職人も増え、地場産業として発展を遂げていったのです。

日本物産奨励会が大正8年に出版した全国特産品製造家便覧にも、現在の館山市に団扇原料株式会社という会社があったことと那古港の近くに多くの職人がいたことが紹介されています。
明治維新以降も、関東有数のうちわ産地として名を残していたということがうかがえます。

加えて、大正12年の関東大震災によって被災した東京のうちわ問屋が那古港の近くに移住、関東の腕利きのうちわ職人が館山市、南房総市近辺に集まったこともあり、房州うちわの生産が本格化していきました。
大正末期には年間700万本も生産していたとのことです。

そして、平成15年には伝統的工芸品産業の振興に関する法律にもとづいて経済産業大臣から伝統的工芸品の指定を受け、現在も千葉県の特産品として広く親しまれています。

房州うちわを楽しむ

手紙社さん(@tegamisha)が投稿した写真


職人達によって房州うちわ振興協議会が運営されており、房州うちわの製造技術・工法の継承が図られています。

千葉県内各地の民芸店で職人の手によって作られた房州うちわを購入することができますが、このほかにも、職人が講師となった房州うちわ作り体験が定期的に開催されています。

内容は制作過程後半の「貼り」「断裁」「へり付」などで、所要時間は2時間程度、料金は1,500円~となっています。
体験予約は各業者で受け付けています。

房州うちわの製造工程は21にも上り大変な面もありますが、世界にひとつの自分だけのオリジナルうちわを職人と一緒に作っていくのも楽しいかもしれませんね。

【うちわ作り体験】
房州うちわ振興協議会 http://www.bosyu-uchiwa.com/
【ご不明な点・お問い合わせ】
館山市経済観光部商工観光課 http://www.city.tateyama.chiba.jp/

4.まとめ

夏は、お祭りやイベントの多い季節でもあります。
浴衣でお出かけの際には、帯に房州うちわを差していくと、見た目も涼し気で軽やかな印象を与えそうです。

伝統的工芸品というと高額なイメージがありますが、うちわは小型のものであれば2000円ほどで手に入りますので、夏のファッションアイテムとして手軽に取り入れることができるのも魅力のひとつです。



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