工芸の総合芸術。仏壇、仏具の種類と産地一覧

仏壇
日本人にとって仏壇は、ご先祖様や亡くなった親族を祀る大切なものです。
その作りは豪華絢爛なものも多く、完成までには木地、彫刻、下塗り、上塗り、箔押し、蒔絵、表具など様々な職人の技術が要される事から”工芸の総合芸術”とも言われます。

そこで今回は、仏壇の歴史と種類、日本に残る仏壇産地を一覧でご紹介したいと思います。

【目次】
1.仏壇とは?
2.仏壇の歴史
3.仏壇の種類
 3-1.塗り仏壇(金仏壇)
 3-2.唐木仏壇
4.仏具
5.日本の仏壇、仏具産地一覧
 5-1.山形仏壇
 5-2.新潟/白根仏壇
 5-3.長岡仏壇
 5-4.三条仏壇
 5-5.飯山仏壇
 5-6.金沢仏壇
 5-7.七尾仏壇
 5-8.名古屋仏壇
 5-9.三河仏壇
 5-10.彦根仏壇
 5-11.京仏壇
 5-12.京仏具
 5-13.大阪仏壇
 5-14.広島仏壇
 5-15.八女福島仏壇
 5-16.川辺仏壇
 5-17.尾張仏具

1.仏壇とは?

仏壇は日本ではご先祖様や亡くなった親族を祀るものと考えている方が多いですが、本来は別の意味を持っています。
元々仏壇は文字通り仏様を祀るもので、寺院の内陣(仏壇)を模したものなのです。
それ故に”家の中のお寺”と言われることもあります。

2.仏壇の歴史

仏壇の起源には諸説ありますが、天武14年(685年)に天武天皇が勅令を出したことがはじまりだったとされています。
その勅令とは、「諸国の家ごとに仏舎をつくり、そこに仏像や経巻を置いて礼拝供養しなさい」というもの。

仏壇の歴史は686年に天武天皇が出した勅令にさかのぼります。
家ごとに仏舎を設け、仏像を置いて供養せよ、といった内容で、貴族が仏様の御堂である厨子(ずし)を屋敷内に設けました。

この厨子は寺院を小さくしたような作りで、最上段の須弥檀(しゅみだん)に仏様をお祀りし周囲には美しい装飾が施されています。
法隆寺に収蔵されている最古の厨子「玉虫厨子」は7世紀に作られたものですが、約2500ものタマムシの羽が使われたということです。

ちなみにこの勅令が出されたのが3月27日だったことから、この日は現在「仏壇の日」となっています。

その後室町時代に入ると浄土真宗の信者の間で仏壇が広まりました。
この頃の建築様式である書院造で、床の間に仏具を置いたり、仏画を掛けてお参りする習慣ができあがりました。
さらに江戸時代にはキリシタンを取り締まる政策の一環として庶民は寺院に所属し、半ば義務的に仏壇を飾らされるようになったのです。

3.仏壇の種類

仏壇には主に下記の3種類あります。

金仏壇

その名のとおり白木に金粉や金箔で装飾したもので「塗り仏壇」とも呼ばれます。
各宗派の寺院の本堂が内部に再現されていますが、特に浄土真宗に多く用いられました。
漆塗りや螺鈿細工、彫刻や金具など日本の伝統的な技が駆使された大変豪華な仏壇です。
唐木仏壇

元々は黒檀や紫檀など東南アジア産の銘木で作った仏壇のことですが、ケヤキや桑、屋久杉など国内の高級木材を使用する場合も含み、美しい木目を生かしたデザインになっています。
宗派による違いはなく、材料や加工法もさまざまですが重厚な色調に繊細な彫刻が施されているのが特徴です。

家具調仏壇

現代の生活様式に合わせ、洋室に置いても違和感のない一見家具のようなデザインをしています。
「モダン仏壇」と呼ばれることもあり、従来の仏壇に比べコンパクトで、欄干や障子などの伝統的な装飾がないものも多く、ウォールナットやメープルなど明るい色調の木材が使用されています。

4.仏具

仏壇は、様々な仏具をそろえて飾る必要があります。
宗派によってそろえる仏具や飾り方は少しずつ異なりますが、香炉、花立、火立(燭台)の三つは三具足といわれ、必ず必要なものです。
ここでは三具足のほか、主な仏具をご紹介します。

4-1.香炉(こうろ)

お香を焚く為の道具である、香炉。
香炉を用いてお線香や抹香をたきますが、宗派によって使用方法に若干の違いがあります。

4-2.花立(はなたて)

生花や常花を飾る為の仏具、花立。
変色しにくい金属製が多く用いられます。

4-3.火立(ひたて)

燭台(しょくだい)やろうそく立てとも呼ばれる火立ては、ロウソクを立てる為の道具です。
宗派や地域によってロウソクの種類も若干変わってきます。

4-4.仏飯器(ぶつばんき)

供え物のご飯を盛る為の器です。
毎朝炊いたばかりのご飯を家族より先に持ってお供えします。

4-5.高坏(たかつき)

高脚のついた器で、主にお菓子などをお供えします。
半紙や懐紙を下に敷いて使用します。

4-6.茶湯器(ちゃとうき)

お茶やお水をお供えする為の器です。
浄土真宗では用いません。

4-7.リン

読経の際に鳴らし、開始と終了を知らせる為の道具です。
句読点として途中に鳴らすこともあります。
たたく棒であるリン棒やリンを乗せるリン台と合わせて用いられます。

4-8.常花(じょうか)

金属製の蓮華の供花である常花。金蓮華とも呼ばれます。
ほとんどの場合左右一対で用いられます。

4-9.経机(きょうづくえ)

読経する際に経本を乗せる為の机です。

4-10.御霊供膳(おりょうぐぜん)

精進料理をお供えする際に使う膳の一式です。
浄土真宗では用いません。

4-11.過去帳(かこちょう)

仏壇に祀られているご先祖様の仏名などを記す為の帳面です。
浄土真宗では位牌を祀らずに過去帳を仏壇にお供えします。

4-12.木魚(もくぎょ)

読経の際にたたいて鳴らす為の道具です。
木をくりぬいて作られ、魚の模様が入っています。

5.日本の仏壇、仏具産地一覧

日本に数多くある伝統工芸品の中でも、仏壇・仏具の産地を一覧でご紹介します。

5-1.山形仏壇

山形仏壇とは山形県(山形市、天童市、尾花沢市、酒田市)で主に生産される仏壇で、伝統的工芸品にも指定されています。
山形仏壇は18世紀、江戸で仏壇製作を学んだ後藤茂右衛門が帰郷後に仏具を作り始めたのが起源とされています。
その後、漆や蒔絵を施す職人や飾りを施す職人を集めて本格的な仏壇となり、生産が拡大していきました。

仏壇の産地として最北端の山形仏壇は、豪華で堅牢な仏壇で、美しい木目を出す塗りも特徴的です。

産地情報

名称山形県仏壇商工業協同組合
住所〒990-2431
山形県山形市松見町8-11

5-2.新潟/白根仏壇

新潟・白根仏壇とは新潟県(新潟市)で主に生産される仏壇で、伝統的工芸品にも指定されています。
白根仏壇は18世紀頃、宮大工の長井林右エ門が京都で技術を学び、自ら作り始めたのが起源とされています。
その後は木地、彫刻、金具、蒔絵などの工程を分業して生産するようになり、規模が拡大していきました。

新潟・白根仏壇は檜や松、欅や桜などの良質な木材を用いて作られます。
全ての部分がほぞ組みによって組まれているために劣化しにくく、手入れをすれば百年単位で使用する事が出来ます。

産地情報

名称白根佛壇協同組合
住所〒950-1217
新潟県新潟市南区白根1240-3
白根商工会内
名称新潟仏壇組合
住所〒950-0324
新潟県新潟市江南区酒屋町547-3
友坂佛壇店内

5-3.長岡仏壇

長岡仏壇とは新潟県(長岡市、小千谷市、十日町市)で主に生産される仏壇で、伝統的工芸品にも指定されています。
長岡仏壇は17世紀、寺社建築の為に集まった職人(宮大工、塗師、彫刻師)が、冬の間に仏壇作りを始めたのが起源とされています。

空殿が三ツ屋根作りとなっているのが最大の特徴です。
工程はそれぞれ分業体制となっており、職人同士の切磋琢磨によって非常に質の高い仏壇が完成します。

産地情報

名称長岡地域仏壇協同組合
住所〒940-2035
新潟県長岡市関原町5-5
有限会社廣川仏壇店内

5-4.三条仏壇

三条仏壇とは新潟県(新潟市、三条市、燕市)で主に生産される仏壇で、伝統的工芸品にも指定されています。
三条仏壇は17世紀の終わり頃、本願寺別院(東別院)が建立された際に集まった職人が、仏壇製作を始めたのが起源とされています。
寺院の宮殿造りをモチーフとした造りとなっており、格式の高い仏壇として評価が高いです。

産地情報

名称三条・燕・西蒲仏壇組合
住所〒959-1262
新潟県燕市水道町1-2-40
高三仏具店内

5-5.飯山仏壇

飯山仏壇とは長野県(飯山市)で主に生産される仏壇で、伝統的工芸品にも指定されています。
飯山仏壇は17世紀頃から生産されていたとされ、仏教信仰の篤い土地柄も後押しして発展していきました。

良質な木材を用いてその上に蒔絵や金箔を施すため、豪華絢爛な美しい仏壇になります。
中の宮殿が見やすいように作られた弓長押も特徴とされます。

産地情報

名称飯山仏壇事業協同組合
住所〒389-2253
長野県飯山市大字飯山1436-1
飯山市伝統産業会館 内

5-6.金沢仏壇

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