ちはやふるに出てくる百人一首の和歌一覧と意味解説|映画上の句,下の句,結びのエピソードまとめ

ちはやふる(下の句)に出てくる百人一首の歌一覧

映画「ちはやふる -下の句-」に出てくる百人一首一首の短歌と、エピソードをご紹介します。
(ネタバレを含みます。)

35番歌

人はいさ心も知らずふるさとは
花ぞ昔の香に匂ひける

紀貫之

【読み】
ひとはいさこころもしらずふるさとは
はなぞむかしのかににほひける
【意味】
人の心はわかりませんが、昔なじみの里の梅の花の香りだけは変わっておりません。
【解説】
”人は”:宿の主人を指している。
”いさ”:さあどうであろうか。
古今集の詞書に「初瀬に詣づる毎に宿りける人の家に、久しく宿らで、ほどへて後に至れりければ、かの家のあるじそこにたてりける梅の花を折りてよめる」とある歌。
宿の主人に「ずいぶんお見えになりませんでしたね」と皮肉を言われた時に答えた歌で、宿の主人との親しい間柄が伺えます。
作者は紀貫之(きのつらゆき)。平安前期の歌人、貴族で、三十六歌仙の一人です。古今集の撰者の一人で、土佐日記の作者としても有名です。

映画の中のエピソード

[新とおじいちゃんの会話シーン]

「じいちゃんは、なんであんな強いんや?」

祖父「人はいさや。」

”人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける”

祖父「気持ちがどんなに移り変わっても、ふるさとの花はいつでも自分を待っていてくれるっていう歌や。
じいちゃんには、困ったときにいつでも帰れる心のふるさとがあるんや。
新、カルタに行き詰まった時は、イメージや。」

「イメージ?」

祖父「カルタが一番楽しかったのは、いつやった?」

ちはやふるの意味

[ちはやふるという言葉の意味について、千早たちに奏が語るシーン]

「ちゃんと時間決めたのにな―。
ちはやぶるっていうより、あらぶるっていう感じですよね…。
千早ちゃん、その少年の用に澄んだ瞳は、まさか!

千早「ちはやぶるって、どういう意味?」

太一「確か、勢いが激しいってことでしょ?あらぶるも同じような意味だったような…。」

「確かに、どちらも勢いの強さを表した言葉ですが、その性質は全く違うんです。
いいですか?
(回るコマを例に)
”あらぶる”は、乱暴で不安定な力であるのに対して、”ちはやぶる”は、その勢いがただ一点に集中した状態なんです。
軸を中心に、どの方向にもぶれることなく、まるでとまっているかのように。」

【”ちはやふる”と”ちはやぶる”の違い】
”ちはやふる”と”ちはやぶる”、どっちが正しい?という疑問を持つ方も多いと思いますが、どちらも正解です。
歌が詠まれた平安時代には濁点が使われなかった為、”ふる”と書いて”ぶる”と読んでいたのです。
その為現在では表記も”ぶる”としているものもありますが、どちらでも問題ありません。
作者の末次由紀さんは、「”ふる”の方が細胞の揺らめきみたいな繊細さが感じられて、見た目も響きも可愛い」「こどもが初めて札を見たら”ぶる”とは読まない」といった理由から、ちはやふるというタイトルにしたそうです。

ちはやふる(-結び-)に出てくる百人一首の歌一覧

映画「ちはやふる -結び-」に出てくる百人一首一首の短歌と、エピソードをご紹介します。
(ネタバレを含みます。)

81番歌

ほととぎす鳴きつる方をながむれば
ただ有明の月ぞ残れる

後徳大寺左大臣

【読み】
ほととぎすなきつるかたをながむれば
ただありあけのつきぞのこれる
【意味】
ほととぎすが鳴いた方を眺めると、その姿は見えずにただ有明の月が残っている。
【解説】
”鳴きつる方”:鳴いた方。
”有明の月”:夜明けに残る月。
作者は後徳大寺左大臣。徳大寺実定(とくだいじさねさだ)として知られる、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての歌人、公卿です。

映画の中のエピソード

[千早が部室で過去を回想するシーン]

太一がかるた部を辞めると聞いた後、千早が部室の畳の隙間から見つけた札が、この歌でした。
この札を見つけた後に千早は泣き出してしまいます。

98番歌

風そよぐ楢の小川の夕暮は
御禊ぞ夏のしるしなりける

従二位家隆

【読み】
かぜそよぐならのをがはのゆふぐれは
みそぎそなつのしるしなりける
【意味】
風が楢の葉をそよがせている、このならの小川の夕暮れはまるで秋のようで、ただ禊の行われていることだけが夏であることのしるしであるなあ。
【解説】
”風そよぐ”:風がそよそよと吹く。
”ならの小川”:京都市上賀茂神社の境内の御手洗川のこと。
”みそぎ”:川で身を清めること。ここでは夏越の祓(六月祓)の神事をさす。
作者は従二位家隆。藤原家隆(ふじわらのいえたか)として知られる鎌倉時代初期の歌人、公卿。「新古今和歌集」の撰者の一人です。

映画の中のエピソード

[千早と奏が屋上で話すシーン]

「覚えてますか?
ここは、私が千早ちゃんにカルタ部に誘ってもらった場所です。」

千早「もちろん。
あの時奏ちゃんに出会ってなかったら
私は今でも歌の事はなんも知らないままだったかも知れない。」

「私だって
こんなカルタ漬けの高校生活になるなんて
思っても見ませんでしたよ。」

千早「ねぇ、後悔してない?」

「後悔?」

千早「うん。」

「宝物です。
こんな日がずーっと続けば良いのにって思いますけど
でも、みんなとやるカルタもこの夏で最後ですもんね。
”風そよぐ楢の小川の夕暮は 御禊ぞ夏のしるしなりける”」

千早「写真みたいだね、百人一首は。
ほんの一瞬を三十一文字に閉じ込めて、千年後の私達がその時と同じ気持ちになれるなんて。」

「私達は、どんな歌を千年先に残せるんでしょうね。」

千早「千年先かぁー。」

9番歌

花の色は移りにけりないたづらに
わが身世にふるながめせしまに

小野小町

【読み】
はなのいろはうつりにけりないたづらに
わがみよにふるがかめせしまに
【意味】
花の色は、すっかりあせてしまいました。むなしく長雨が降り、物思いにふけっている間に。
【解説】
”花の色は”:桜の花の色のことを指している。
”うつりにけりな”:色があせること。
”よにふる”:世渡りすることの世に”経る”と”降る”をかけている。
”ながめ”:”長雨”と”眺め”をかけている。
自身の生活や容姿が時とともに変わっていくことを情緒的に詠んだ歌です。
作者は小野小町。平安時代の女流歌人で、世界三大美女の一人としても有名です。

映画の中のエピソード

[周防名人が講義を行うシーン]

(黒板に)”花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに”

周防「えー、私は
予備校に行かずとも東大に入れましたので
こんなところで若さを浪費している君たちを見ていると
正直「ふふっ、ざまぁ」って思いますよね。

だからといって、その頃の私に
青春っぽい日々は…何も…なくて(涙)。

でもある日、私は深い実感と共に気がついたのです。
二度と取り戻せない光が、この世界にはあることを。

時の流れには誰も逆らえないけれど
この歌が、千年先の未来にも届いたように
私達には一瞬を永遠に留める力が確かにあることを、どうか忘れないでください。

(太一に)君は…こんなところで何してるの?」

40番歌

忍ぶれど色に出でにけりわが恋は
ものや思ふと人の問ふまで

平兼盛

【読み】
しのぶれどいろにいでにけりわがこひは
ものやおもふとひとのとふまて
【意味】
忍びこらえていたけれど、とうとうその素振りに出てしまった。何か物思いをしているのですかと人が尋ねる程に。
【解説】
”色”:顔色。素振り。
”ものや思ふと”:「何か物思いをしているのですか」と。
包み隠している恋心が、ついつい表に出てしまった様子を詠んだ歌です。
作者は平兼盛(たいらのかねもり)。平安中期の歌人、貴族で、三十六歌仙の一人です。

41番歌

恋すてふわが名はまだき立ちにけり
人知れずこそ思ひそめしか

壬生忠見

【読み】
こひすてふわがなはまだきたちにけり
ひとしれずこそおもひそめしか
【意味】
私が恋をしているという評判は、早くも広まってしまった。誰にも知られないようにひそかに思いはじめたのだが。
【解説】
”恋すてふ”:恋をしているという。
”わが名”:わたしの評判。
”まだき”:早くも。
”立ちにけり”:広まってしまった。
”人知れずこそ”:他人に知られないように。
”思ひそめしか”:思い始めたのだけれど。
作者は壬生忠見(みぶのただみ)。平安中期の歌人で、三十六歌仙の一人です。

映画の中のエピソード

[奏と菫の会話シーン]

「綾瀬先輩と新さんって人が上手く行けば良いって。
真島先輩が失恋したら、こっちのもんだって。
でも、まさかこんなことになるなんて…。」

「恋をしているんですね。
部長を想う気持ちが、こんなにも顔に出てる。」

「忍ぶれど?」

「忍ぶれどには、番(つがい)の歌があるのをご存知ですか?
”隠していたはずなのに、片思いの噂が先に立ってしまったよ”
恋すてふわが名はまだき立ちにけり…はい。」

「人知れずこそ思ひそめしか。」

「恋心を隠した”しのぶれど”と
恋が噂になった”こいすちょう”
実はどちらも同じ時、同じ場所で読まれた歌なんです。
今から千年前に開かれた、歌合(うたあわせ)で。」

「うたあわせ?」

「今で言えば、紅白歌合戦といったところでしょうか。
一流の歌い手達が、お互いの意地とプライドを掛けて歌の技を競い合ったのです。

試合は一対一ずつ、ちょうど競技かるたの団体戦のような形でした。
特に「忍ぶれど」と「こいすちょう」は甲乙付けがたい名歌といわれ、どちらが優れた歌なのか最後の最後まで決まらなかったといわれています。

恋する気持ちが人を狂わせるのは、今に始まった事ではありませんよ。」

「大江先輩ってちょっと変です。
飴ちゃんを出すみたいに歌を引き合いにして。」

「よく言われます。
元気出しましょう。ねっ?」

まとめ|関連情報

いかがでしたでしょうか。
映画ちはやふるの完結編「-結び-」もDVDが発売となりました。
奥深い百人一首も楽しむ事が出来る、素晴らしい青春映画となっています。
是非一度観てみて下さいね。

ちはやふるを観るには

ちはやふるは現在、「上の句」「下の句」「繋ぐ」「結び」を動画サイトのU-NEXTで観る事が出来ます。
お試し期間は無料で観ることも出来るのでオススメです。

ちはやふるのテーマソング

映画ちはやふる「上の句」「下の句」の主題歌は、PerfumeのFLASHです!


映画ちはやふる「結び」の主題歌は、Perfumeの無限未来です!

ちはやふるの出演者

[東京都立瑞沢高校かるた部]
綾瀬千早/あやせちはや(広瀬すず)
真島太一/ましまたいち(野村周平)
大江奏/おおえかなで(上白石萌音)
西田優征/にしだゆうせい(矢本悠馬)
駒野勉/こまのつとむ(森永悠希)

[その他出演者]
綿谷新/わたやあらた(新田真剣佑)
須藤暁人/すどうあきひと(清水尋也)
木梨浩/きなしひろ(坂口涼太郎)
若宮詩暢/わかやみやしのぶ(松岡茉優)
花野菫/はなのすみれ(優希美青)
我妻伊織/わがつまいお(清原果耶)

監督・脚本:小泉徳宏/こいずみのりひろ

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