新しい年が明けてから、神社や寺院に初めて参拝することを「初詣」といいます。
この一年が平穏無事に過ごせますようにと祈願し、お守りや破魔矢、熊手などを頂いて帰る人もいます。
必ず毎年お正月に初詣に行く人、行ったり行かなかったりという人、全く行かない人…考え方や習慣はそれぞれ。
またお正月の間に必ず行かなくてはならないという決まりはないので、ゆっくり参拝したい人は少し日程をずらして行くのもいいでしょう。
知っているようで、意外と知らない初詣&そして初夢についてのあれこれをまとめてみました。
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1.初詣の由来
初詣の歴史は古く、その由来は「年籠り」というものに始まります。
これは家長(家族の長)が大晦日の夜から元日の朝にかけて氏神様の社にこもり、新しい一年を平安に過ごせるようにと祈願すること。
この「年籠り」が大晦日の夜に詣でる「除夜詣」と、元日の朝に詣でる「元日詣」に分かれたそうです。
現在の初詣は後者の「元日詣」がその原型だと言われています。
江戸時代の末期頃までは氏神様や、住んでいる所から見て恵方にある社寺に参詣するのが一般的でした。
現在の初詣のかたちになったのは明治時代の中頃。
交通網も発達し出したことから、氏神様や恵方などに関係なく、自分が行きたい場所を選んで参詣するようになりました。
2.初詣のマナーって?
一般的には歳神様にお供えしていたおせち料理をお下がりとして頂き、その歳神様のいる方角の社寺に詣でるのが「初詣」とされてきました。
そんなこともあって初詣は松の内(地域によって異なるが関東では1/7までのこと)の間に行くように…といった声が良く聞かれますが、実際にはその期間に厳密なルールはありません。
初詣とは「年が明けてから初めて詣でること」。
松の内を過ぎたらダメなどということはなく、それがいつであっても初めて詣でた日が「初詣」となります。
参詣の仕方はまず手水舎で手と口を清め、それから本殿へと向かい鈴を鳴らして二礼二拍手一礼します。
古いお守りやお札もこの時に一緒に持参し奉納すると、神社がまとめて浄め焚き上げてくれるそうです。
3.福だけは、しっかり持って帰りましょう
参詣のついでに、新しい年の吉凶を占うと言われているおみくじを引く人も多いですよね。
そのおみくじ、見た後はどうしていますか?
「凶のおみくじは結び、吉のおみくじは持って帰る」という人もいれば、「実を結ぶ=願いが叶う」ということにかけて「吉凶に関わらず全て結んで帰る」という人もいます。
結んで帰る時は、決められた場所に結ぶことがマナー。
木に結ぶと、その木の成長を妨げる原因になるとも言われているので気を付けましょう。
「初詣に行ったら真っ直ぐ帰るように」という言葉を聞いたことはありませんか?
現代ではあまり聞かなくなりましたが、昔は良く耳にしたものです。
これは初詣で頂いた福をこぼさないように、全て持ち帰って来るようにという思いが込められています。
どこかに寄り道すると福を落としかねないという、新年を迎えたウキウキ気分をちょっと戒めるようなものでもあります。
年の最初から、福だけでなく貴重品等も落としたり盗られたりすることがないように気を付けましょう。
4.結局のところ初夢っていつの夢?
年が明けて最初に詣でるのは初詣ですが、その他にも「初」の付くものが多いこの時期。
初日の出、初売り、書初め、初湯、初笑い、そして一年の吉凶を占うと言われる初夢などいろいろあります。
その初夢といえば、1/1の夜から1/2にかけてみる夢という説と、1/2の夜から1/3にかけてみる夢という2つの説に分かれています。
現在有力なのは、後者の1/2の夜~の方。
元日はあらゆるものがお休みで、新年の多くの行事が2日から行なわれるので、初夢も2日の夜から3日にかけてみる夢というのがその理由。
そもそも夢をみるのかどうか、みても覚えているかどうか、それも問題ですよね。
5.初夢から幸せに…
一富士 二鷹 三茄子(いちふじ にたか さんなすび)
これは御存知の通り、昔から初夢に見ると縁起が良いとされているベスト3です。
実はこれには続きがあって、
四扇 五煙草 六座頭(しおうぎ ごたばこ ろくざとう)
となるのです。
どうして縁起が良いとされているかというと、
富士…日本一の山
鷹… 強くて賢い鳥
茄子…事を成す(茄子)
扇… 末広がりでめでたい
煙草…その煙が上にあがることから
座頭…座頭は昔の按摩さんのこと→按摩さんは頭が坊主で「毛がない=ケガない」
語呂合わせが上手でユニークですよね。
まじめな中にもクスッと笑える語呂合わせは、昔からある日本の文化です。
この他にも
蛇の夢…金銭面に恵まれる
死ぬ夢…再生、前向き、変化を暗示
地震や火事…古い物がなくなり、心身共に新しく変わろうとしている
などがあり、一見悪そうに思える夢でも実は良い暗示の夢であるケースも多いようです。
初詣や初夢、初売りに初笑いなど、受け継がれてきた日本の文化を味わいながら、「初」の言葉に新鮮さと希望を感じる新年。
みんなに平等に訪れるものだからこそ、気持ちを新たに、そしてそれぞれに希望を持って、素敵な一年になるようなスタートを切りたいものですよね。
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