日本の金工品産地一覧と種類。人々の生産性を向上させた金属の歴史。

鍛冶
Sponsored

鍛冶
日本では古くから金属を用いた工芸品、”金工品”が作られてきました。
日本刀や鐘、鍋やはさみなど、生活用品だけでなく美術工芸品として価値のあるものづくりも行われています。

そこで今回は、日本に今も残る伝統工芸品の中で、金工品をご紹介したいと思います。

Sponsored

1.金工品とは

金工品とは、金属を加工して作られる工芸品です。
金や銀、銅、錫、鉄などが主に用いられます。

1-1.金属の歴史

銅鐸
人類が最初に広く利用した金属は青銅でした。
青銅とは銅と錫の合金で、紀元前3500年頃にはエジプトで利用されていました。
銅の融点は1083℃ですが、錫を混ぜて青銅にすることで875℃で溶けるようになるため、加工しやすかったのです。
そもそも地中から掘り出した銅の鉱石には錫が含まれていることが多かった為、加熱するだけで青銅を得ることができました。

その後、青銅に比べて軽くて丈夫な鉄が利用されるようになり、世界で一番利用される金属となっていったのです。

そして日本に青銅器と鉄器が伝わったのは5世紀頃。
同時に入ってきたため、青銅器時代を経ずにそのまま鉄器時代に突入。日本でもたたら製鉄などの製鉄技術が発達し、人々の作業効率は飛躍的に上昇しました。

1-2.金工品の種類

◯鋳金(ちゅうきん)

溶かした金属を型に流し込んで形を作るのが鋳金です。
伝統工芸品では南部鉄器や山形鋳物が有名です。
型の作り方には下記の3つの技法があります。

【蝋型(ろうがた)】
まずは蝋で型をつくります。
その型に粘土と砂を混ぜた鋳型材を塗り、その型を蝋がなくなるまで焼きます。
そして残った型に溶かした金属を流し込み、冷めたら型を壊し、中の金属を取り出して完成です。
蝋によって複雑な形を作り出せるのが特徴です。

【惣型(そうがた)】
砂と粘土をまぜた土で型をつくり、その型に溶かした金属を流し込みます。
冷めたら型を壊して完成です。
湯釜や釣鐘などに用いられます。

【込型(こめがた)】
粘土で形を作ってから、その形から石膏で型をつくります。
次に少し小さい中型をつくり、型と中型の隙間に溶かした金属を流し込み、冷めたら型を壊して完成です。

◯鍛金(たんきん)

熱した金属を叩いて形を作るのが鍛金です。
何度も叩いて形を作っていきますが、熱して叩くと金属は強度を増すという性質もあるので、丈夫な金属となります。
伝統工芸品では越前打刃物や堺打刃物などの刃物が有名です。

◯彫金(ちょうきん)

形の出来た金属の表面に模様や線などを彫るのが彫金です。
ノミで彫って模様をつける技法のほか、別の金属を嵌め込む”象嵌(ぞうがん)”という技法や裏側から叩いて模様を出す”打ち出し”という技法があります。
伝統工芸品では肥後象嵌が有名です。

◯鎚金(ついきん)

1枚の平らな金属板を金づちで叩いて曲げ、立体的な形に作り上げるのが鎚金です。
伝統工芸品では燕鎚起銅器が有名です。

2.打刃物について

一覧でご紹介する産地の中には堺打刃物や越前打刃物など、”打刃物”とつく産地があります。
打刃物とは、精錬された鉄を更にハンマーなどで叩いて作る刃物のことをいいます。
安く売られているステンレス包丁などはその形に切り取ったものの刃を研磨して作るのに対し、叩いて鍛える打刃物は切れ味もよくプロに愛用されています。

分業制

堺打刃物などの刃物産地では、分業による製品作りも行われています。
主に下記の3種の職人が製作したものを問屋がまとめて販売店に納品する流れとなっています。

鍛冶屋
刃金と地金を熱してくっつけてから叩き、形を作りながら不純物も取り除きます。
熱した刃物を水に入れて急激に冷やす焼き入れや、弱火で熱し自然に冷ます焼き戻しを行うことで、強くて粘りのある刃物を作ります。
研屋、刃付け職人
鍛冶が作った刃物を磨いたり研いだりして、売り物としての完成度を高めます。
柄付け屋
完成した刃物に木で出来た柄を付けます。

3.日本の金工品一覧

日本に残る伝統的工芸品の中で、金工品を一覧でご紹介します。

3-1.南部鉄器

南部鉄器は岩手県の盛岡市、奥州市の伝統工芸品です。

奥州市で作られていた南部鉄器は11世紀、藤原清衝が近江の鋳物師を呼び寄せ、生産を始めたのが起源とされています。
また、盛岡市で作られていた南部鉄器は16世紀、盛岡藩の奨励によって生産が開始されました。
その後、昭和に入るとこの2つを総称し、南部鉄器と呼ぶようになりました。

関連記事:南部鉄器の取り扱い方や保管方法、洗い方について。鉄瓶と鉄鍋、急須。

3-2.山形鋳物

山形鋳物とは山形県(山形市)で主に生産される鋳物で、伝統的工芸品にも指定されています。
山形鋳物の歴史は古く、11世紀まで遡ります。
前九年の役の際に源頼義に連れられてきた鋳物職人がこの地で良質の土を発見し、生産を始めたのが起源とされています。
山形鋳物は鉄瓶や花器などの日用品から、美術品やアクセサリーの美術工芸品まで、様々な製品が作られています。

産地情報

名称 山形鋳物伝統工芸組合
住所 〒990-0051
山形県山形市銅町2-1-21
株式会社 雅山 内

3-3.東京銀器

東京銀器とは東京都で主に生産される銀器で、伝統的工芸品にも指定されています。
東京銀器は14世紀頃に生産が始まったとされています。
その後1867年のパリ万博に日本の銀製品が出店され、世界的な認知度も高まりました。

東京銀器は、その金属の加工技術を活かしてスプーンやフォーク、コップなどの日用雑器を初め、様々な製品が作られています。

産地情報

名称 東京金銀器工業協同組合
住所 〒110-0015
東京都台東区東上野2-24-4
東京銀器会館

3-4.燕鎚起銅器

燕鎚起銅器とは新潟県(燕市)で主に生産される金工品で、伝統的工芸品にも指定されています。
燕鎚起銅器は18世紀に生産が始まりました。
当時は近郊の間瀬の銅山から原料が採れ、精錬所が燕にあったことから、生産は拡大していきました。

燕鎚起銅器は一枚の金属を鎚(つい)で打ち延ばす事で形を作ります。
この為継ぎ目がないのが特徴です。
主に水差しやコップ、花器や鍋などの日用品が生産されています。

産地情報

名称 燕銅器工芸組合
住所 〒959-1288
新潟県燕市燕3064
株式会社 玉川堂内

3-5.越後与板打刃物

越後与板打刃物とは新潟県(長岡市)で主に生産される金工品で、伝統的工芸品にも指定されています。
越後与板打刃物は16世紀頃から生産されており、江戸時代に入ると大工道具として職人に利用されるようになり、広く知られるようになりました。
火造りの鍛造技法を用いて作られる為、非常に切れ味がよく、丈夫な刃物となっています。

産地情報

名称 越後与板打刃物組合
住所 〒940-2402
新潟県長岡市与板町与板甲134-2
与板町商工会内

3-6.越後三条打刃物

越後三条打刃物とは新潟県(三条市)で主に生産される打刃物で、伝統的工芸品にも指定されています。
越後三条打刃物は17世紀頃、鎌(かま)や鍬(くわ)の生産が始まった事が起源とされ、その後農家の副業として釘が作られるようになり、本格的な産地として形成されていきました。
何度も叩いて作り上げる為、非常に丈夫で切れ味の良い刃物となります。

産地情報

名称 越後三条鍛冶集団
住所 〒955-0072
新潟県三条市元町11-53
三条鍛冶道場内

日本の金工品一覧/次のページ

タイトルとURLをコピーしました