切子の世界~江戸切子、薩摩切子が魅せる日本の伝統美


出展:青山スクエアTwitter
その細工の美しさが見る人の心を魅了する切子。

商人が作り始め、現在に至るまで伝統が受け継がれてきた江戸切子と、藩が推奨・庇護して発展した薩摩切子。

どちらも始まりは江戸時代に遡ります。
プレゼントや記念品としても人気のある切子の世界をちょっとのぞいてみましょう。

【目次】
1.江戸切子と薩摩切子の違い
2.江戸時代から続く伝統美~江戸切子とは
3.藩の事業として庇護され、大きく発展した薩摩切子
4.切子商品の代表格は、やっぱりグラス
5.切子グラスや食器のお手入れ
6.江戸切子が体験できる「すみだ江戸切子館」
7.伝えたい、遺したい日本の切子

1.江戸切子と薩摩切子の違い

日本の切子は江戸切子と薩摩切子が有名です。
その歴史や用途、特徴は次のようになっています。

江戸切子

[江戸切子の特徴]
・商人が作り出す
・庶民が日常的に使う物として作られる
・色被せガラスが薄く、透明感や華やかさが特徴
・幕末・維新を乗り越え、受け継がれる

薩摩切子

[薩摩切子の特徴]
・藩レベルでの産業として発展する
・主に海外との交易用、鑑賞用に作られていた
・色被せガラスに厚みがあり、重厚感が特徴
・幕末・維新に工場が焼失、藩もなくなり産業が途絶える→現在は復刻生産されている

江戸切子と薩摩切子の一番の違いは、カット後の色ガラスの残り方にあります。
江戸切子は色ガラスの部分が薄く、カットした後はカットした透明な部分と色つきの部分の境目がシャープになるのに対し、薩摩切子は色ガラスの部分が厚い為、カットすると境界の部分がグラデーションのようになるのです。

2.江戸時代から続く伝統美~江戸切子とは


天保5年に江戸でビードロ問屋を営んでいた加賀屋久兵衛が、西洋から持ち込まれたガラス製品に金剛砂を使って切子細工を施したのが江戸切子の始まりと言われています。

黒船が来航した時、献上品の中に加賀屋の切子瓶があり、その細工の美しさにペリーが驚いたという話も残っています。
明治時代に入るとガラス製作が政府の事業のひとつとなり、ヨーロッパの新しい技術なども導入され、江戸時代後期から続く江戸切子の伝統は絶えることなく現代に受け継がれてきているのです。

1985年に東京都の伝統工芸品に指定、2002年に経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されています。

3.藩の事業として庇護され、大きく発展した薩摩切子


薩摩藩28代目藩主島津斉彬は諸藩に先駆けて造船、製鉄、紡績、印刷など大規模な近代化事業を推進します。

この中にガラス工場も含まれており、薩摩切子を始めとする様々なガラス製品を製造していました。
「薩摩の紅ガラス」とその美しさを称賛されたガラスの着色方法も研究され、紅・藍・紫・緑などの発色に成功したと言われています。

しかし斉彬が急逝するとこの事業も縮小され、1863年の薩英戦争で工場が焼失し、明治に入ってからの西南戦争前後には薩摩切子の技術も完全に途絶えてしまいました。

それから100年経った1985年、鹿児島市に薩摩ガラス工芸が設立され薩摩切子を復元。
その伝統を大切にしながら、新しい商品への開発にも意欲的に取り組んでいるそうです。

2001年には新世紀の始まりを記念し「二色被せ」の薩摩切子が誕生。
単色での濃淡が基本だった切子の色彩に、新しい世界が広がりました。

現在はさつま町、霧島市、南さつま市、鹿児島市にある5つの工房で薩摩切子は生産されています。

また、最近話題なのは黒色の切子。
切子はカットする際に裏側から光を当て、下書きの線を確認しながらグラインダーでカットするのですが、黒色だと光が通らない為、下書きの線は見えません。
長年の修行を積んだ職人が、カットの音や振動を頼りに、五感を駆使してようやく完成する事が出来る逸品なのです。

4.切子商品の代表格は、やっぱりグラス

切子には食器、酒器、花器、ランプなどの商品があります。
中でもグラス類が最も多く、

  • ぐい呑み
  • 焼酎グラス
  • ロックグラス
  • ワイングラス
  • タンブラー
  • ビアグラス
  • 冷酒グラス
  • 升グラス
  • シャンパングラス

等の酒器が人気。
贈答用や各種お祝い事の記念品などとしても喜ばれています。
食器では小皿~大皿、小鉢、大鉢、サラダボウル、またペーパーウエイトやスマホケースといった小物や、置時計やフォトフレーム、風鈴、アクセサリーなどといった商品もあります。

5.切子グラスや食器のお手入れ

切子はとても繊細なので、その取扱い方にも注意が必要です。
特にグラスや食器など、頻繁に出番がある物のお手入れの方法は、

  • 柔らかいスポンジや布などを使って洗う
  • 食洗機は使用しない
  • 急な温度変化に弱いので熱いものはもちろん、冷蔵庫に入れるのもNG
  • ほかの食器との接触で割れやすいので気を付ける  重ねるのは厳禁
  • 油汚れのものと一緒に洗わない
  • 拭く時も柔らかい布で丁寧に優しく行なう

などのことに気を付けましょう。
それでもある程度使っていると「くすみ」が生じてきます。
その場合は家庭用の漂白剤を薄めて浸すこと数分で、くすみが取れて切子の輝きが復活します。

6.江戸切子が体験できる「すみだ江戸切子館」

江戸切子をたっぷり堪能したい人におススメなのが「すみだ江戸切子館」。
錦糸町駅から徒歩6分程の距離にあります。

江戸切子の歴史や制作工程、道具類などをパネリングや展示品を用いて詳しく紹介しているほか、限定商品を含めた職人による逸品およそ350点が展示販売されています。

また制作の様子を見学できるのに加え、江戸切子を実際に体験することも可能です。
色被せガラスを使って作るオリジナルのグラスは、その体験と共に世界にひとつの宝物になるでしょう。

江戸切子の制作体験は事前の予約が必要です。
詳細・申し込みについてはHPをご覧ください。

[すみだ江戸切子館]
http://www.edokiriko.net/com/index.html

7.伝えたい、遺したい日本の切子

繊細さと艶やかさを合わせ持つ日本の切子。
国内だけではなく、海外での人気も根強いものがあります。

江戸時代の商人が編み出して現代に至るまで受け継がれてきた江戸切子。
幕末の動乱で途絶えたものの、100年経って復活した薩摩切子。
「伝えたい」
「遺したい」
そんな強い思いがそれぞれの歴史に込められています。

これまでの伝統技術を大切に受け継ぎ、新しいものも取り入れながら進歩していく切子の文化。
今後の発展がとても楽しみな物のひとつと言えるでしょう。

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