都市部に住む人たちが一斉に地元へ向かう「帰省ラッシュ」が起こるのは正月、そしてお盆の時期です。
親戚の家に集まったり、お墓参りをしたり。
「お盆休み」という名の夏休みを設けている会社も多いのではないでしょうか。
今回はそんなお盆の意味や儀式、時期について紹介します。
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お盆の歴史
「お盆」という言葉は、インドのサンスクリット語「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が語源。
仏教には正月と夏に祖先を供養する習わしがあり、中国でもお盆のような儀式を行っています。
日本で最初にお盆の儀式を執り行なった人は推古天皇で、606年のことだったそうです。
8世紀ごろからは夏に先祖供養をする風習が貴族や僧侶、武家の間に広まっていったといわれます。
庶民の間でお盆が一般的になったのは江戸時代。
ロウソクの大量生産が可能になって値が下がり、お盆に提灯をともす家も増えました。
お盆は「先祖と過ごす期間」
お盆には「地獄の蓋が開き、祖先が家に帰ってくる」と考えられています。
帰ってきた祖先を家に迎え、一緒に過ごすのがお盆です。
先祖に感謝する「先祖報恩」がお盆の目的です。
お盆の時期はいつ?
主な「お盆期間」は主に3パターン。
- 7月13日から7月16日:東京や関東の一部
- 8月13日から8月16日:関西を中心に広い地域
- 旧暦のお盆:8月20日ごろ。一部地域
ほかにも東京の多摩地域では8月1日ごろなど、さまざまです。
全国でも地域によってお盆の時期は違うんですね。
お盆の習わしとお供え物
お盆期間中におこなうこと
全国的にもっとも多い、8月13日から4日間のお盆を例にして説明します。
- 8月13日(盆の入り)
- 8月16日(盆の明け)
12日夕方か13日午前中に精霊棚や仏壇にお供えをし、祖先を迎える準備を整えます。
家の玄関や門口で「オガラ」と呼ばれる麻の茎を折って積んだら火をつけて燃し、その場で合掌。
これが「迎え火」です。
祖先の霊はオガラを燃やした煙にのって帰ってくるといわれます。
夕方には軒先または精霊棚の盆提灯に明かりをともします。
祖先の霊が帰る日です。迎え火をたいた場所で「送り火」をたきます。
地域によっては「精霊流し」の場合も。また、寺社の境内で「盆踊り」がおこなわれます。
盆踊りは地獄の責め苦を免れた者たちの喜びの踊りだそうです。
古くから「農繁期の労をねぎらう」、「地域の親睦を深める」、「男女の出会いの場」として盆踊りが機能してきました。
お盆のお供え物
- 食べ物
- 供花
13日には餡子(あんこ)付きの「お迎え団子」、14日はおはぎ、15日は素麺、16日は餡子なしの「送り団子」を供えることが多いようです。
蓮の花を供えると、祖先が花びらを舟にして帰ってくるといわれます。
提灯替わりに帰り道を照らすとされるのが、ほおずきです。
最近では蓮やほおずきにこだわらず、故人が好きだった花を用意するようになりました。
- 精霊馬
キュウリとナスに割り箸を4本刺し、牛馬に見立てたお供え物です。
キュウリは足が速い馬で、祖先の霊が乗って早く帰れるようにという願いが込められています。
反対に帰るときはナスで作った馬に乗り、ゆったり帰ってもらいます。
「さまざまなお供え物を牛馬に背負わせて持ち帰ってください」という意味もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
お盆のお供え物1つひとつからも、故人を思う心が伝わってきますね。
帰省して家族や地元の友だちと会うのを楽しみにしている人も多いでしょう。
お盆は祖先、故人だけでなく、身近な人とのかかわりを深める機会になっているのですね。
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