琉球の伝統文化が今も受け継がれている、沖縄県。
今回はそんな沖縄県にある伝統工芸品を一覧でまとめてご紹介します。
沖縄県の伝統工芸品
沖縄県の国指定伝統的工芸品を一覧でまとめてご紹介します。
久米島紬
沖縄本島から西に100km程に位置する、久米島。
その久米島で作られるのが、久米島紬(くめじまつむぎ)です。
久米島紬は、泥染めの工程を経る事によって光沢を増し、渋い色味の美しさをより際立たせます。
【歴史と成り立ち】
久米島紬は、14世紀頃に「堂之比屋」が明から養蚕の技術を導入して織り始めたことが起源とされています。
また、現在久米島紬は、重要無形文化財(2004年~)、経済産業省指定伝統的工芸品(1975年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 久米島紬事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒901-3104 沖縄県島尻郡久米島町字真謝1878-1 つむぎの里ユイマール館 |
宮古上布
|
沖縄県の宮古島で主に生産されている伝統工芸品、宮古上布(みやこじょうふ)。
細い糸で精緻なかすり模様を織り出す麻織物で、まるでロウを引いたかのようになめらかです。
一反が250グラム程の軽さで生地も薄い為に夏の高級着物として人気が高く、「東の越後、西の宮古」とも言われる程で、上布の中でも最高級品とされています。
また、その精緻なかすり模様と光沢感のある生地も特徴です。
【歴史と成り立ち】
宮古上布は、14世紀頃から宮古島に自生する苧麻を用いて織られ始め、16世紀頃に宮古上布として完成したと言われています。
現在、宮古上布は重要無形文化財(1978年~)、経済産業省指定伝統的工芸品(1975年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 宮古織物事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒906-0201 沖縄県宮古島市上野野原1190-188 |
読谷山花織
■誂え流れ 未使用品本場読谷山花織 紬比嘉ユキ 証紙有り
|
沖縄県の中頭郡読谷村で主に生産されている、読谷山花織(ゆんたんざはなおり)。
南国情緒あふれる、おおらかな沖縄の風土を反映したような美しい織物で、その明るい色味と南国風のおおらかな絵柄が人気となっています。
紋織物の花織で、花綜絖という装置を用いた「緯浮花織」「経浮花織」と、手で模様を構成する「手花織」があります。
「花織」とは、縞の中に小花模様を浮き織りにしたもので、基本となる”花”は三種類あり、「オージバナ(扇花)」、「カジマヤー(風車)」、「ジンバナ(銭花)」があります。
【歴史と成り立ち】
読谷山花織の歴史は古く、15世紀には既に織られていました。
琉球王朝の御用布とされ、地元住民以外の庶民は着用することが出来なかったと言われています。
現在、読谷山花織は経済産業省指定伝統的工芸品(1976年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 読谷山花織事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒904-0301 沖縄県中頭郡読谷村字座喜味2974-2 |
読谷山ミンサー
沖縄県の中頭郡読谷村で作られる、伝統工芸品、読谷山(ゆんたんざ)ミンサー。
綿の絣糸を用いた先染めで木綿の紋織物で、南国らしい色使いと絣模様が特徴です。
ちなみにミンサーとは、「綿(ミン)で織られた幅の狭(サー)い帯」が語源で、細帯という意味です。
読谷山ミンサーは、立体的な幾何学上の柄を表すところから「グーシー花織」とも言われます。
南国風の鮮やかな色使いが人気となっています。
【歴史と成り立ち】
読谷山ミンサーは、読谷山花織と同様に15世紀には既に織られていました。
ミンサー織のルーツは、アフガニスタンを起源として、チベット、中国を経由して伝わった織物技術が、沖縄に発展したものと言われています。
現在、読谷山ミンサーは経済産業省指定伝統的工芸品(1976年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 読谷山花織事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒904-0301 沖縄県中頭郡読谷村字座喜味2974-2 |
琉球絣
沖縄県の那覇市や島尻郡八重瀬町、島尻郡南風原町で主に生産されている伝統工芸品、琉球絣(りゅうきゅうがすり)。
沖縄で織られる絣や、その柄を総称して「琉球絣」という場合もありますが、経済産業省指定伝統的工芸品の「琉球絣」は、沖縄本島の南風原町周辺で織られる織物のことを指しています。
琉球絣は、日本の絣の発祥とも言われます。
沖縄伝統の絣柄として、周りの自然や動物、植物など生活に関係する模様が描かれ、その種類は600程あると言われています。
【歴史と成り立ち】
琉球絣は14世紀頃、東南アジアや中国との交易がきっかけで誕生したと言われています。
現在、琉球絣は経済産業省指定伝統的工芸品(1983年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 琉球絣事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒901-1112 沖縄県島尻郡南風原町字本部157 |
首里織
沖縄県の那覇市、中頭郡西原町、島尻郡南風原町で主に生産されている伝統工芸品、首里織(しゅりおり)。
王府の城下町として栄えた首里らしい、格調高く洗練された織物です。
首里織は、琉球王府が置かれていた首里で織られているということもあり、上流階級用の織物とされていました。
なかでも、「花倉織」といわれる花織と絽織を市松に配したものや、平織に経糸だけを浮かせた「道屯織(ろーとんおり)」は王家や貴族のみ着用を許されていました。
【歴史と成り立ち】
首里織は、15世紀頃の交易をルーツに誕生しました。
その後城下町である首里らしく格調高い織物として発展していきました。
現在、首里織は経済産業省指定伝統的工芸品(1983年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 那覇伝統織物事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒903-0822 沖縄県那覇市首里桃原町2-64 |
与那国織
超逸品!本場与那国伝統織物 純綿 手織り紬 花織/藍染
|
沖縄県の八重山郡与那国町で生産されている伝統工芸品、与那国織(よなぐにおり)。
日本最西端の島で織られる与那国織は、4枚の布を仕立てて作る平織の民族衣装「ドゥタティ」、それに合わせる細帯「ガガンヌブー」、紋織物の「花織」、同じく紋織物の「シダティ」の4種類の総称です。
それぞれに個性があり、沖縄の気候風土が反映された美しい織物です。
【歴史と成り立ち】
与那国織は、16世紀頃から織られ始めています。
戦争で糸が入手困難になると、古い漁網をほどいて糸にして、伝統を継承していきました。
現在、与那国織は経済産業省指定伝統的工芸品(1987年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 与那国町伝統織物協同組合 |
---|---|
住所 | 〒907-1801 沖縄県八重山郡与那国町与那国175-2 与那国町伝統工芸館内 |
喜如嘉の芭蕉布
沖縄県の国頭郡大宜味村で主に生産される伝統工芸品、喜如嘉の芭蕉布(きじょかのばしょうふ)。
バショウ科の糸芭蕉(いとばしょう)という多年草から繊維を取り出し、それを糸にして織られる織物です。
芭蕉布は、軽くてさらりとした肌触りの良さが人気となっています。
また、風通しが良いので夏の衣服として沖縄全域で着られてきました。
【歴史と成り立ち】
芭蕉布は、多くの織物がある沖縄でも最古の織物とされ、13世紀頃には織られ始めていました。
第二次世界大戦の際には壊滅的な被害を受け、存続の危機を迎えますが、現在人間国宝に指定されている平良敏子さんを筆頭とする職人たちの尽力により、現在まで伝統が繋げられています。
現在、喜如嘉の芭蕉布は重要無形文化財(1974年~)、経済産業省指定伝統的工芸品(1988年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 喜如嘉芭蕉布事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒905-1303 沖縄県国頭郡大宜味村字喜如嘉454 |
八重山ミンサー
沖縄県の石垣市、八重山郡竹富町で主に生産される八重山ミンサー。
主に帯として利用される織物で、5つの四角と4つの四角と配する絣模様は「いつ(5)の世(4)も仲睦ましく私のことを愛してください」という意味が込められています。
ちなみにミンサーとは、「綿(ミン)で織られた幅の狭(サー)い帯」が語源で、細帯という意味です。
八重山ミンサーは、その4つと5つの四角の絣模様が特徴で、手括りの木綿の絣糸を使い、緯糸の打ち込みに手投げ杼や刀杼を用いて織られます。
【歴史と成り立ち】
八重山ミンサーは、17世紀頃から織られ始めたと言われています。
昔は、男性が求婚すると、女性がその返事としてこの八重山ミンサーを男性へ贈っていました。
そのことから、5つの四角と4つの四角を交互に配する模様(いつの世までも変わらぬ愛をという意味)になっています。
現在、八重山ミンサーは経済産業省指定伝統的工芸品(1989年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 竹富町織物事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒907-1101 沖縄県八重山郡竹富町竹富381-4 |
八重山上布
沖縄県の石垣市、八重山郡竹富町で主に生産される八重山上布(やえやまじょうふ)。
白地に赤茶色の染料で絣模様を捺染したもので、色上布などでも知られる麻織物です。
南国らしい模様を、手括りによる絣糸で手織りしていきます。
その肌触りの良い着心地で、夏の織物としても人気となっています。
【歴史と成り立ち】
八重山上布の詳しい起源は不明とされていますが、17世紀には琉球王府に納められていたことが記録に残っています。
その後、明治時代に組合が結成されると産業が盛んになりました。
現在、八重山上布は経済産業省指定伝統的工芸品(1989年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 石垣市織物事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒907-0004 沖縄県石垣市字登野城783-2 |
琉球びんがた
沖縄を代表する染色技法で、南国らしい鮮やかな色使いが特徴の、琉球びんがた。
びんがたという名前の”びん”は色、”がた”は模様をあらわしています。
琉球びんがたは、染色に顔料を用います。
顔料のメリットとして、強い陽射しでも色が飛びにくいことが挙げられます。
染料だと飛んでしまいますが、顔料を使うからこそ、沖縄の強い陽射しにも耐える事が出来ます。
色を入れる際は、塗り筆とこすり筆の2本を使います。
まず塗り筆で色を入れ、それをこすり筆で塗り込むことで、顔料を浸透させていくのです。
【歴史と成り立ち】
琉球びんがたの歴史は古く、発祥は13世紀頃と言われています。
琉球王府の時代には王族や士族の衣装として用いられ、手厚く保護されて発展していきました。
現在、琉球びんがたは経済産業省指定伝統的工芸品(1984年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 琉球びんがた事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒900-0016 沖縄県那覇市前島1-11-12 テレホンビル1階 |
壺屋焼
沖縄県の伝統工芸品、壺屋焼(つぼややき)。
壷屋焼には荒焼(あらやち)と呼ばれる釉薬をかけない焼物と、 釉薬をかけ絵付けを行う上焼(じょうやち)と呼ばれる焼物があります。
やちむんと壺屋焼の違いとしては、沖縄の焼き物の総称が”やちむん”で、壺屋で作られる焼き物が”壺屋焼”ということになります。
◯壺屋焼の起源と特徴
現在の壺屋焼の形として作られ始めたのは、17世紀頃といわれています。
沖縄でも随一の焼物産地となりましたが、明治維新後に低迷。
しかし柳宗悦らの民藝運動によって再び注目が集まり、一躍人気となりました。
壷屋焼は主に2種類に分かれており、荒焼と上焼があります。
荒焼は釉薬をかけずに焼きしめ、その後マンガンをかけて焼き上げます。
主に水かめや酒がめ、シーサーの置物なども荒焼で作られます。
上焼は陶土に白土をかぶせた後に色鮮やかな絵付や紋様を施し、釉薬をかけて焼き上げるもので、主に茶碗などの日用品が作られます。
産地情報
名称 | 壺屋陶器事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒902-0065 沖縄県那覇市壷屋1-21-14 |
琉球漆器
沖縄県で主に生産される伝統的工芸品、琉球漆器(りゅうきゅうしっき)。
琉球漆器は14世紀頃、海外との交易用に生産されたのが起源とされています。
17世紀には琉球王府直営の製作所が設置され、様々な製品が作られるようになりました。
琉球漆器は「螺鈿」、「沈金」、「箔絵」といった装飾が施され、豪華絢爛で派手な漆器として人気が高いです。
産地情報
名称 | 琉球漆器事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒902-0078 沖縄県那覇市識名3-19-6 識名公民館ホール1階 |
知花花織
知花花織(ちばなはなおり)とは沖縄県(沖縄市)で主に生産される伝統的工芸品です。
模様が縦に連続して浮く経浮花織(たてうきはなおり)と、刺繍のように糸が浮く縫取花織(ぬいとりはなおり)の2つの技法が特徴的です。
【歴史と成り立ち】
知花花織は、18世紀頃には現在の形で織り始められたといわれています。
お祭りや行事など、晴れの舞台に着るものとして主に愛用されていました。
現在、知花花織は経済産業省指定伝統的工芸品(2012年~)に指定されています。
産地情報
名称 | 知花花織事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒904-2143 沖縄県沖縄市知花5-6-7 |
南風原花織
沖縄県鳥尻郡南風原町で主に生産される伝統的工芸品、南風原花織(はえばるはなおり)。
ヤシラミ花織、クワンクワン織り、タッチリー、チップガサーなど、南風原花織にしかない独特な模様や名称が存在する、立体的で華やかな織物です。
【歴史と成り立ち】
南風原花織は明治期には母娘間で伝承されていたという記録が残っています。
大正3年(1914年)には南風原村立女子補修学校が設立され、多くの技術習得者が誕生、独自の花織や浮織技術を発展させていきました。
産地情報
名称 | 琉球絣事業協同組合 |
---|---|
住所 | 〒901-1112 沖縄県島尻郡南風原町字本部157番地 |
三線
沖縄県の那覇市などで生産されている伝統工芸品、三線(さんしん)。
”しゃみせん”とも呼ばれます。
三線は弦楽器の一種で、2018年11月には国の伝統的工芸品にも指定されました。
【歴史と成り立ち】
三線の歴史は古く、元々は中国の弦楽器「三弦」をルーツとして、15世紀以降に琉球王国で独自に発展してきました。
今でも沖縄の人々に愛され続け、多くの家庭では三線を保有し、楽曲も古典音楽や民謡だけではなく、最近のポップスにも用いられています。
【三線の課題】
三線の大きな課題の一つに、原材料の不足が挙げられます。
棹部分の材料である黒木は、今では大部分を海外からの輸入でまかなっています。
また、多くの伝統工芸品産地がそうであるように、三線も後継者不足が深刻です。
作り手の減少もあり、市場に出回っている三線の70%以上が海外産となっています。
その他の伝統工芸品
経産大臣指定の伝統的工芸品以外も含めると、沖縄県には下記の伝統工芸品もあります。
沖縄県の伝統工芸品動画
Youtube上の「明日への扉 by アットホーム」チャンネルでは、琉球紅型など様々な伝統工芸品を紹介する動画を公開しています。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は沖縄県の伝統工芸品を一覧でまとめてご紹介しました。
その他については下記の関連記事をご覧下さい。
[関連記事]
日本の伝統工芸品まとめ