常滑の町を歩くと、いたるところに朱色の土管が埋め込まれており歴史と文化を感じますよね。
本日はそんな常滑焼についてご紹介いたします。
関連記事:常滑焼まつりの開催情報&交通アクセス情報
1.常滑焼とは?
常滑焼はその名前からも想像できるように愛知県常滑市を中心に古くから作られている焼き物です。
その歴史は古く、平安時代の後期には3,000基もの穴窯がり、壺や山皿などが焼かれました。平安時代後期の物は”古常滑”と呼ばれており、瀬戸や信楽、越前と並ぶ“日本六古窯”の一つです。
江戸時代になると真焼けの陶芸品や、土管に朱泥(しゅでい)茶器などがつくられ、明治時代になると西欧技術によって機械化が進み、焼酎瓶や煉瓦タイル、衛生陶器などの製品がつくられました。
その後、飛躍的に技術の進化が見られ、種類や質が格段にアップ、大量生産により生産額も大きく伸びながら現在に至ります。
2.常滑焼の特徴
常滑焼と言えばあの朱色。
これは原料に含まれる鉄分、または陶土に混ぜこまれている酸化鉄(ベニガラ)が赤く発色するためです。
そして土の改良によって急須に適した朱泥土ができました。
この土は耐水性に長けており、水を吸わない為、急須に最適なのです。
また、基本的には釉(うわ)をかけずに作られるのですが、最近では釉をかけることにより、朱のみならず黄土、黒、茶、緑など様々な色の物が楽しめるようになりました。
他にも、急須や皿などだけではなく、土管や工業用タイルなどの建築土木関連の製品が多いことも特徴の一つです。
「ろくろ成形」…急須・湯のみ・皿・鉢・花瓶などを電動ロクロによって成形
「押型成形」…盆栽鉢・置物などを石膏型により成形
「手ひねり成形」…急須・湯のみ・花瓶・置物などの小物を手ロクロを用いて指の太さほどの紐状の粘土で成形
「ヨリコ作り」…特に大きなカメ・壺・陶器浴槽などの大物を、腕の太さほどの紐状の粘土で積み上げ、手やヘラを使い内外側を整えて成形
(参考:とこなめ焼協同組合)
現在これらの常滑焼の伝統技術を有する伝統工芸士は31名登録され、常滑焼の技術は引き継がれています。
3.常滑焼の急須
|
常滑焼と言えば急須!
滑らかな表面の赤色の急須を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
自宅にある方も沢山いらっしゃるかもしれません。
江戸時代末期、幕末ごろから作られているので約150年の歴史でしょうか。
常滑焼の急須は重要無形文化財に、またその技術を保持する人ということで、故山田常山氏は人間国宝に認定されています。
このことからも分かるように、常滑焼の急須は日本の文化にとって欠かせないものなのです。
急須というと、皆さん思い浮かべるスタンダードな形があると思いますが、その古典的な形のみだけではなくモダンな形もあり、その種類は100種を超えるといわれています。
常滑焼の急須で入れたお茶は、ともてまろやかでおいしいといわれています。
というのも、あの朱色のもとである酸化鉄とお茶のタンニンが反応を起こし、お茶の渋みや苦みがちょうどいい塩梅で取れ、まろやかな味わいになるといわれているからです。
また、古来より作られている釉をかけずに作られた急須のほうが、お茶に含まれる余分な成分を吸着するので、よりまろやかになるといわれています。
急須は手入れして使い込むことによりお茶の味もよりよくなるとのこと。
きちんと手入れして長く使いたいですね。
形状によっては茶こし網を使用しても、注ぎ口の付け根の部分に汚れや茶葉、粉が溜まりやすく、簡単な水洗いやサッとすすぐ程度では、汚れがドロドロに溜まってしまうことがあります。
一日の終わりには、ブラシなどを使ってしっかりと洗った後は、水を切る、軽く拭くなどして、その後一晩しっかり乾燥させましょう。
4.常滑急須を使ってみよう
お茶を飲むという行為は日常の何気ない行為ですが、こだわりの急須を使ってみるのはいかがでしょうか?
歴史ある伝統工芸である常滑焼の急須。
まろやかになるだけではなく、その文化を感じることでより素敵なお茶の時間になることでしょう。
関連記事:常滑焼まつりの開催情報&交通アクセス情報