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和紙の種類と魅力|日本の和紙産地別の特徴比較と洋紙との違い

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和紙
その質の高さが国際的にも高い評価を得ている、和紙。
世界中の文化財の修復にも活躍していて、和紙の強度と優れた保存性が注目されています。

今回はユネスコの無形文化遺産にも登録された日本の伝統工芸、和紙の魅力をご紹介します。

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1.日本の和紙のここがすごい!

和紙の原料には紙の質を弱くする成分が含まれていないので、その保存性が非常に優れています。

奈良の正倉院にはおよそ1300年前の物といわれる和紙が残っているほど。
耐久性、保存性、柔軟性、安定性が高い評価を得て、国内は勿論、世界中の文化財の修復にも活躍しています。

また和紙は強度や耐久性も高く、和傘にも使用される他、紙布(しふ)で作られる着物まであるのです。

和紙の原料は楮、雁皮、三椏が代表的。
手漉きの和紙は高度な技術が必要とされる日本の伝統工芸です。
明治時代以降は機械による和紙の生産が進み、現在では後継者の育成が大きな課題にもなっています。

1-1. 原料別の特徴

  • 楮(こうぞ)
  • 和紙の大半は楮を使用している。
    繊維が長く、絡みやすいのでもんでも破れない強靭さを持ち、幅広い製品に用いられる。

  • 雁皮(がんぴ)
  • 古代には斐紙(ひし)と呼ばれていた。
    繊維が短く、紙の表面はなめらかで美しい仕上がりになる。
    かな料紙や写経用紙など、細字に適している。

  • 三椏(みつまた)
  • 雁皮に似て繊維が短い。
    印刷に適し、大蔵省が栽培を奨励した。
    葉書や便箋などに用いられている。

  • 麻(あさ)
  • 古代を代表する和紙の原料。
    扱いが難しく、楮の台頭によって使用量が減少。
    重厚で風格のある仕上がりが特徴。

1-2. 水質が重要~和紙作りに欠かせない水

和紙を作る上で大切なのが水。

原料の楮を水にさらして洗う工程や流し漉きでは、良質な水が必要となります。
和紙作りにはカルシウムやマグネシウムの含有量が少ない軟水が適しています。

私達が普段使用している水道水で和紙を作ろうとすると、水道水には塩素が含まれている為、数年後には紙が赤く変色してしまうそうです。
たかが水、されど水。
その水に含まれている成分の僅かな違いで紙の質に影響が出るのです。

1-3. 日本のオリジナル「流れ漉き」という技術

紙を作る技術の基本は中国から伝わってきました。

しかしその後、日本は独自の製法を編み出し、中国の技法「溜め漉き」ではなく「流れ漉き」という漉き方を浸透させました。

流れ漉きは「ねり」と呼ばれる粘液を原料と混ぜ、その紙料液を揺り動かして繊維同士を絡みやすくする方法。
余分な水分は抜きながら、また紙料液を汲み入れるという作業を数回繰り返します。

流れ漉きは奈良時代の末期頃から一般化され、薄くても丈夫な紙に仕上がるということで各地に広がっていきました。

2.日本の和紙産地一覧と歴史・特徴

和紙の産地は北海道から沖縄まで全国各地に広がっていて、歴史の長い産地もあれば、近年始めたばかりという所もあります。

2014年にユネスコの無形文化遺産に登録されたのは島根県の石州半紙、岐阜県の本美濃紙、埼玉県の細川紙の3つ。
この3つの和紙に共通するのは

  • 原料が国産の楮のみを使用している
  • 良質な水を持つ川が近くにある
  • 伝統的な製紙技術が受け継がれてきていること

などが挙げられます。

また、日本三大和紙と言われる越前紙、美濃紙、土佐紙も有名です。
ここで、伝統的工芸品に指定されている全国の和紙の特徴をご紹介したいと思います。

内山紙

内山紙(うちやまがみ)とは長野県(飯山市、下高井郡野沢温泉村、下水内郡栄村)で主に生産される伝統的工芸品です。
戸籍台帳の用紙としても使われる程、丈夫な紙です。

内山紙は17世紀、萩原喜右ヱ門という人物が美濃で技術を習得し、帰郷後に生産を始めたのが起源とされます。

内山紙は原材料に楮を用いている為、強度も高く保温性や通気性、通光性にも優れています。
楮を雪の上に晒す”雪晒し”によって生まれる白さは日焼けにも強く、戸籍台帳の用紙としても使われているほか、障子紙に使われる内山障子紙も有名です。

産地情報

名称 内山紙協同組合
住所 〒389-2322
長野県飯山市大字瑞穂6385

越中和紙


富山県の富山市、南砺市、朝日町で主に生産されている伝統工芸品、越中和紙。
非常に丈夫な和紙で、型染めの技法を用いる型染紙としても有名です。

越中和紙の歴史は古く、少なくとも8世紀頃には生産が始まっていたとされています。
その後越中和紙の生産が拡大したきっかけは、”富山の薬売り”にあります。
江戸時代から薬の配置販売が盛んになったことで、その薬の包み紙の需要が高まり、和紙作りが発展していったのです。

薬の配置販売だけでなく、当時はおまけとして浮世絵などの版画や紙風船も配っていたので、ここでも和紙が使われ、需要は拡大していきました。
ちなみに、このおまけは現在にも残る”おまけ商法”の元祖といわれています。
明治時代の初期には1500人程の職人が居ましたが、昭和に入ると三分の一以下にまで減少してしまいました。

楮や三椏、雁皮を原料とする越中和紙は、その温かみのある白に特徴があり、丈夫な和紙としても有名です。
近年では、その丈夫さを活かした新たな商品作りも行われており、驚くことに和紙で出来たクッションまであるのです。

そして近年人気のポップな柄は、伝統的な着物の染色技法である”型染め”が用いられています。
これは染色工芸家の芹沢銈介によって伝えられたもの。
明るい色使いは、若い女性にも人気となっています。

また、越中和紙は障子紙にも使用されます。
これは、その”白”に特徴があります。
この”白”の色を出すには、原料の楮を冬の晴れた日に”雪晒し”を行うことから始まります。
紫外線の作用で白さが増した楮を使い紙すきを行うのですが、この紙すきの工程の前後に、繊維のゴミや黒い部分を取り除く作業を丁寧に行うことで、真っ白な紙が出来るのです。

そうして出来上がった越中和紙の障子紙。
実は越中和紙の障子紙は、時が経つ程に白さを増すという特徴を持っています。
これは、紫外線の作用によると言われています。

クッションにも出来るほど丈夫な越中和紙。
楮の繊維を原料として、そこにトロロアオイという植物から抽出した粘液を加え、”すげた”で紙すきを行います。
ここで一般的な和紙よりも多くすくことで厚みを出し、乾燥した後にこんにゃくのりを塗り込むと、クッションとしても使える程丈夫な和紙が出来上がります。
ちなみにこんにゃくのりを塗るのは、繊維と繊維の隙間を埋める為。
この工程によって強度は倍になります。

産地情報

名称 桂樹舎
住所 〒939-2341 富山県富山市八尾町鏡町668-4
HP https://keijusha.com/

美濃和紙

美濃和紙とは岐阜県(美濃市)で主に生産される伝統的工芸品です。
光を通すと美しい輝きを放つ和紙で、日本三大和紙の一つです。

美濃和紙の歴史は古く、少なくとも8世紀の初めには生産されていた記録が残っています。
正倉院に現存する日本最古の紙も美濃和紙が使用されています。
江戸時代には障子紙として利用されるようになり生産を拡大し、「美濃判」という規格になるほど代表的な和紙になりました。

美濃和紙は非常に薄いながらも丈夫ということで、障子紙としても利用されてきました。
漉きムラが少なく、日光に当たると白さが増すという特徴を持ちます。

産地情報

名称 美濃手すき和紙協同組合
住所 〒501-3788
岐阜県美濃市蕨生1851-3
美濃和紙の里会館内

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