日本には数多くの伝統工芸品が今でも作り続けられています。
今回は、そんな伝統工芸品の中でも関東地方の工芸品を一覧でまとめてご紹介したいと思います。
茨城県の伝統工芸品
茨城県の国指定伝統的工芸品を一覧でまとめてご紹介します。
結城紬
茨城県結城市や栃木県小山市の鬼怒川周辺にまたがる地域で生産される伝統織物、結城紬(ゆうきつむぎ)。
真綿の手紡ぎ糸を使い地機で織る手織り紬で、紬の織物の代表とも言われています。
[起源]
結城紬の歴史は古く、起源は2000年前にも遡ります。
美濃から茨城の久慈郡に移り住んだ多屋命(おおねのみこと)という人物が作り始めた「長幡部絁(ながはたべのあしぎぬ)」と呼ばれる織物。
これが結城紬の起源といわれています。
平安中期には「常陸絁(ひたちあじきぬ)」、鎌倉時代には「常陸紬(ひたちつむぎ)」と呼ばれるようになり、江戸時代から現在の名称である「結城紬」と呼ばれるようになりました。
1956年には重要無形文化財に指定、その後1977年に経済産業省指定伝統的工芸品、2010年にユネスコ無形文化遺産に指定されています。
[特徴]
結城紬は経糸、緯糸ともに真綿の手紡ぎ糸を使用しています。
また、糸に撚りをかけない為、絹の持つ良さをより実感できる着心地となっています。
[産地情報]
名称 | 茨城県本場結城紬織物協同組合 |
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住所 | 〒307-0001 茨城県結城市大字結城3018-1 |
笠間焼
茨城県笠間市で主に生産される伝統的工芸品、笠間焼(かさまやき)。
丈夫で使い勝手がよく、現代風の製品が多いのが特徴の陶器です。
笠間焼は18世紀頃、久野半右衛門道延という人物が近江の陶工を招いて陶器を作り始めたのがルーツとされています。
笠間は江戸に近いため、大量生産を行って規模を拡大していきました。
現在の笠間焼の特徴として、様々な職人が自由に革新的な商品を生産していることがあげられます。
また、焼き上がりは強度が高く、丈夫で使いやすいのも特徴です。
[産地情報]
名称 | 笠間焼協同組合 |
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住所 | 〒309-1611 茨城県笠間市笠間2481-5 |
真壁石灯篭
茨城県桜川市で主に生産される伝統的工芸品、真壁石灯篭(まかべいしどうろう)。
繊細に施される彫刻が特徴の石灯篭です。
1995年には経済産業省指定伝統的工芸品にも指定されています。
[起源]
真壁石灯篭の起源は16世紀頃、この地で仏石作りが始まったのが起源とされています。
江戸時代には石灯籠が常夜燈として地域の神社に奉納され、技術も向上していきます。
明治維新後は真壁石が建築材として用いられるようになり、生産規模は更に拡大していきました。
[特徴]
真壁石燈籠の原料である真壁石は、堅牢で良質な石として様々な用途に用いられ、特に迎賓館に使用された際に広く知られるようになりました。
現在でも、皇居の縁石や三越本店にも使用されています。
加工には高度な技術が必要で、多種多様な道具と技法を用います。
[産地情報]
名称 | 真壁石材協同組合 |
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住所 | 〒300-4408 茨城県桜川市真壁町真壁402 |
栃木県の伝統工芸品
栃木県の国指定伝統的工芸品を一覧でまとめてご紹介します。
益子焼
栃木県芳賀郡益子町、真岡市、市貝町、茂木町で主に生産される伝統的工芸品、益子焼(ましこやき)。
重厚感がありつつも、繊細な質感が特徴の陶器です。
益子焼は1853年、大塚啓三郎が現在の益子町に窯を開いたのがルーツとされています。
主に鉢や壷などを生産していましたが、昭和に入り濱田庄司が食器や花器を作り始めたことにより、広く普及していきました。
益子焼は釉薬を犬毛筆で塗りつける為、重厚感のある見た目になります。
[産地情報]
名称 | 益子焼協同組合 |
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住所 | 〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子4352-2 |
群馬県の伝統工芸品
群馬県の国指定伝統的工芸品を一覧でまとめてご紹介します。
伊勢崎絣
伊勢崎絣とは群馬県(伊勢崎市、太田市)、埼玉県(本庄市)で主に生産される伝統的工芸品です。
丈夫な織物で、またお洒落な縞模様も人気を博し、伊勢崎銘仙とも呼ばれます。
伊勢崎絣はかすり糸を作る際に、くくりや板染め、なせん等の技法を使うのが特徴です。
1975年には経済産業省指定伝統的工芸品に指定されています。
[起源]
伊勢崎絣は、古くから農家の自家用の織物として生産されていたものが、17世紀に産地として確立されました。
その後は明治から昭和にかけて、「伊勢崎銘仙」として全国的に人気を博しました。
[産地情報]
名称 | 伊勢崎織物工業組合 |
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住所 | 〒372-0055 群馬県伊勢崎市曲輪町31-1 |
桐生織
群馬県桐生市、太田市、みどり市と栃木県足利市で主に生産される伝統的工芸品、桐生織(きりゅうおり)。
「西の西陣、東の桐生」とも言われる高級織物で、先進地の西陣や西洋から技術を導入し発展してきました。
1977年には経済産業省指定伝統的工芸品に指定されています。
[起源]
桐生織は8世紀、現在の群馬県桐生市から京都へ一人の男が宮仕えに出されたことから始まります。
その男は宮中の白滝姫に恋をしてしまいます。
本来なら許されない恋ですが、男には和歌の腕前があり、天皇の前で和歌を詠んで白滝姫を桐生に連れて帰る事を許されます。
そして、桐生へやって来た白滝姫が織物の技術を人々に伝えたことが現在の桐生織の起源とされています。
[特徴]
桐生織はジャカード織機で織られる先染めの織物です。
主に7つの織り方の技法(お召織り(おめしおり)、緯錦織り(よこにしきおり)、経錦織り(たてにしきおり)、風通織り(ふうつうおり)、浮経織り(うきたており)、経絣紋織り(たてかすりもんおり)、綟り織り(もじりおり)があり、様々な種類の織物がつくられています。
[産地情報]
名称 | 桐生織物協同組合 |
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住所 | 〒376-0044 群馬県桐生市永楽町5-1 |
埼玉県の伝統工芸品
埼玉県の国指定伝統的工芸品を一覧でまとめてご紹介します。
春日部桐箪笥
埼玉県さいたま市、春日部市、越谷市、白岡市で主に生産される伝統的工芸品、春日部桐簞笥(かすかべきりたんす)。
春日部桐箪笥は江戸時代の初め、日光東照宮の建立の為に集まった職人が街道沿いにあった春日部に移住し、箪笥作りを始めたのが起源とされています。
原材料に桐を用いている為、湿気を適度に吸収してくれることから箪笥として最適な性能を備えています。
また、軽くて燃えにくいという特性もあり、古代から重宝されてきました。
[産地情報]
名称 | 春日部桐たんす組合 |
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住所 | 〒339-0054 埼玉県さいたま市岩槻区仲町1-7-14 |
岩槻人形
埼玉県さいたま市で主に生産される伝統的工芸品、岩槻人形(いわつきにんぎょう)。
埼玉県の岩槻地区は人形の生産高日本一となっていますが、その中で岩槻人形は目鼻立ちがはっきりとしており、現代でも人気の人形です。
岩槻人形の起源は江戸時代の後期まで遡ります。
その後も生産は拡大していき、現在では日本最大級の人形産地となっています。
輪郭が丸みをおびており、目鼻立ちもはっきりしていて、現代風の美しさを兼ね備えています。
[産地情報]
名称 | 岩槻人形協同組合 |
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住所 | 〒339-0057 埼玉県さいたま市岩槻区本町5-6-44 さいたま商工会議所岩槻支所3階 |
秩父銘仙
埼玉県秩父市で主に生産される伝統的工芸品、秩父銘仙(ちちぶめいせん)。
平織りで裏表が無く、鮮やかな色使いが特徴の織物です。
[起源]
秩父銘仙は、8世紀ごろ、知々夫彦命が養蚕と機織の技術を住民へと伝承した事が起源と言われています。
そして、そこから脈々と受け継がれてきたものが明治中期頃に女性のお洒落な着物として一斉を風靡しました。
[現在]
秩父銘仙の関連工場は、昭和10年代に320軒あったものが6軒程になっています。
2013年には経済産業省指定伝統的工芸品に指定されました。
[特徴]
秩父銘仙は丈夫で着やすく、柄としては植物柄が多く用いられます。
解し捺染技法を用いており、緯糸に補色を使用することで起きる玉虫光沢も特徴の一つです。
捺染とは、生地に染料を直接擦り付けて染色することで、解し捺染とは生地にする前の糸の状態で捺染を行うことを言います。
[産地情報]
名称 | 秩父銘仙協同組合 |
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住所 | 〒368-0032 埼玉県秩父市熊木町28-1 ちちぶ銘仙館内 |
行田足袋
埼玉県行田市の伝統工芸品、行田足袋(ぎょうだたび)。
2019年11月には、国の伝統的工芸品にも指定されました。
[起源]
埼玉県行田市で足袋が作られるようになったのは、行田市が木綿の産地であった事が関係しています。
更に近くには中山道も通っており、旅人たちが多く行き交っていました。
そこで、旅人達にも販売出来るように、旅行や作業に使用する足袋作りが行われるようになっていったのです。
明治に入るとミシンの導入によって生産量は飛躍的に増加します。
1938年には足袋の全国シェア8割を占めるほど、行田の足袋は定着していきました。