十六夜日記(いざよいにっき)は弘安5(1282)年頃に書かれた紀行文日記で、作者は阿仏尼です。
中世三大紀行文の1つにもなっています。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる十六夜日記の中から「十六夜の月」について詳しく解説していきます。
十六夜日記「十六夜の月」の解説
十六夜日記でも有名な、「十六夜の月」について解説していきます。
十六夜日記「十六夜の月」の原文
東にて住む所は、月影の谷とぞいふなる。
浦近き山もとにて、風いと荒し。
山寺のかたはらなれば、のどかにすごくて、波の音、松の風絶えず、都のおとづれはいつしかおぼつかなきほどにしも、宇津の山にて行き合ひたりし山伏のたよりに、ことづて申したりし人の御もとより、確かなる便につけて、ありし御返り事とおぼしくて、
また、
都を出でしことは神無月の十六日なりしかば、いざよふ月をおぼし忘れざりけるにや、いとやさしくあはれにて、ただこの御返り事ばかりをぞ、また聞こゆる。
十六夜日記「十六夜の月」の現代語訳
東国で(私が)住むところは、月影の谷というそうだ。
海辺に近い山のふもとで、風がひどく荒い。
山寺のそばにあるので、閑静でもの寂しくて、波の音、松を吹く風の音が絶えず、都からの音信が早くも待ち遠しい折しも、宇津の山で行き合った山伏を頼みとして、ことづけを申し上げた方のところから、確実な便に託して、いつかの(歌への)お返事と思われ(るお手紙をいただい)て、
また、
都を出たのは十月の十六日であったので、あの十六夜の月をお忘れにならなかったのだろうか、本当にけなげでしみじみと心が動かされて、ただこの歌のお返事だけを、また申し上げる。
十六夜日記「十六夜の月」の単語・語句解説
閑静でもの寂しくて。
[おぼし忘れざりけるにや]
お忘れにならなかったのだろうか。
[いとやさしくあはれにて]
本当にけなげでしみじみと心が動かされて。
[ただこの御返り事ばかりをぞ、また聞こゆる]
ただこの歌のお返事だけを、また申し上げる。
*十六夜日記「十六夜の月」でテストによく出る問題
○問題:「ありし御返り事」は「駿河路」の記事のどの歌への「返り事」か。
答え:「蔦楓」の歌。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は十六夜日記でも有名な、「十六夜の月」についてご紹介しました。
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