春の七草の種類|いつ食べる?|歴史や意味もご紹介

春の七草を伝った七草粥といえば、お正月が一段落した時に食べる「胃に優しいお粥」というイメージを持つ方が多いと思います。
豪華なおせち料理やお酒で疲れた胃を回復させ、体を冬眠モードから目覚めさせてくれる春の七草はとても有り難い存在です。

ではそんな春の七草を使った七草粥はいつから始まった風習なのか、歴史や由来を交えてご紹介します。

【目次】
春の七草の起源
春の七草の種類
七草粥の意味
まとめ

春の七草の起源

生鮮野菜の保存技術も確立していなかった時代、雪に覆われる冬は新鮮な野菜を食べる事が出来ませんでした。
食べていたのは乾燥保存しているものか、漬物程度。

そんな冬に芽を出す若菜(春先に芽を出す植物たち)はとても貴重なものでした。
この若菜を摘む”若菜摘み”の様子は万葉集の和歌などにも詠まれています。

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そんな若菜から7種類を選び、正月7日(人日・七草の節句)に宮中に奉るようになったのが醍醐天皇の時代(897〜930年)。
この頃は七草の種類も定まっておらず、平安時代には12種類備えられるなどもしていました。

なぜ七草なのかというと、昔から7という数字は縁起が良いとされていたからです。

現在の最も定番である春の七草の種類は「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」ですが、これが決められたのは鎌倉時代「蔵玉和歌集(ぞうぎょくわかしゅう)」に書かれた事がきっかけでした。
その後江戸時代に「年中故事要言」で和歌の体裁に整えられ、下記の有名な和歌が誕生しました。

せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ
すずな すずしろ これぞななくさ

春の七草の和歌

この和歌が広まったこともあり、この7種類が春の七草として定番となりましたが、現在でも各地方によってバラつきがあります。

和歌にも詠まれる若菜摘み

万葉集だけではなく、百人一首にも若菜摘みを題材にした和歌が選ばれています。

君がため春の野に出でて若菜摘む
わが衣手に雪は降りつつ

光孝天皇

この歌は「貴方に差し上げる為に春の野に出て若菜を摘んでいると、わたしの袖に雪が降りかかっておりました。」という意味。
古くから若菜は日本人の生活文化に深く関わっていたのです。

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春の七草の種類

前述の通り、春の七草の若菜の種類は時代や地方によってもバラバラです。
そこで様々な文献に登場する春の七草をご紹介します。

【河海抄(1362年)】
ナズナ、ハコベ、セリ、アオナ、オギョウ、スズシロ、ホトケノザ

【壒嚢鈔(1532年)】
セリ、ナズナ、オギョウ、タビラク、ホトケノザ、アシナ、ミミナシ
セリ、ゴギョウ、ナヅナ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、ミミナシ

【歌林四季物語(成立年不明)】
せり、なづな、おぎょう、すずしろ、仏のざ、川な、くくだち

【世諺問答(1544年)】
薺、はこべら、せり、あおな、御形、すずしろ、仏の座

【増補題林集(成立年不明)】
せり、なづな、御形、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ

【祇園執行日記(南北朝時代)】
なづな、くくだち、牛房、ひじき、芹、大根、あらめ

七草粥の意味

七草粥は無病息災を願った行事です。
古代の人は、冬の凍てついた大地から芽生える若菜には神聖な力が宿るという思いもありました。

実際の健康面でみても、若菜は冬に汗をかかずに体内濃度が高くなった塩分を中和したり体外に排出する作用があるなど、とても理にかなっていると言えます。
ビタミンや鉄分も多く、七草粥は健康にも良い風習なのです。

七草囃子

七草粥の用意をはじめるのは、前日6日の夜からでした。
年棚の前で七草を包丁でたたく、その時に歌う歌を七草囃子(ななくさばやし)といいます。
ここでは文献に出てくる様々な七草囃子をご紹介します。

【荊楚歳時記(6世紀ごろ)】
「唐土の鳥、日本の鳥、渡らぬさきに」

【桐火桶(藤原定家作)】
「正月七日七草たたくに、七づつ七度四十九たたく也。七草は七星なり。四十九たたくは七曜、九曜、廿八宿、五星あわせて四十九の星を祭る也。唐土の鳥と、日本の鳥と、わたらぬさきに七草、なづな、手につみ入れて亢觜斗帳(こうしとちょう)。」

【日本の食生活全集(農山漁村文化協会)】
◯京都府京北町
七日の朝にナズナを切るとき
「かんこの鳥は、日本の土地へ渡らぬさきは七草はじかみ、七草はじかみ」

◯奈良県御杖村
とどり(一斗枡)の上にまな板をのせ、右手に包丁、左手に火箸とれんぎ(すりこぎ)と鍋つかみをもって
「七草ナズナ、唐土の鳥と、とんとの鳥が、日本の土地へ渡らん先に、海より先に打ちよてばたばた、かけよてばたばた」

◯長野県飯田市松尾
前の晩に床の間で
「七草ナズナ、唐土のとりと日本のとりと、合わせてばったばった」

◯長野県佐久市大沢
「七種ナズナ、唐土の鳥が日本の鳥をわたらぬさきに、すっととん、すととん」

◯宮城県亘理町逢隈
「たたく、たたく、七草たたく、唐土の鳥と田舎の鳥が騒がぬ先に、七草たたく」

◯宮城県田尻町大沢
「七草たたけ、唐土の鳥の渡らぬ先に七草たたけ」

◯宮城県小野田町
七回唱える
「唐土の鳥と田舎の鳥が、渡らぬ先に七草たたく、七草たたく」

この他、南九州では7歳になる子どもが隣七軒の雑炊をもらい集めると病気をしないといわれている七所祝(ななとこいわい)といった風習があるなど、地域によって差があるのも面白いですよね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は春の七草を使った七草粥の歴史や文化についてご紹介しました。
伝統文化や歳時記は敷居が高く感じるかもしれませんが、実はとても理にかなっているもの。
是非暮らしに取り入れてみて下さいね。

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