古今和歌集「仮名序」原文と現代語訳・解説|古今集

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古今和歌集(こきんわかしゅう)は日本最古の勅撰和歌集で、通称は”古今集(こきんしゅう)”です。
1100首が収められており、913〜914年頃に成立したと考えられています。

その古今和歌集には漢文で書かれた真名序と、仮名文で書かれた仮名序が添えられています。
真名序は紀淑望が書き、仮名序は紀貫之が書いたとされています。

仮名序は、仮名文で書かれた日本初の文学論として、歴史的にも重要なものです。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる古今和歌集の「仮名序」について、詳しく解説していきます。

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古今和歌集「仮名序」の解説

古今和歌集の「仮名序」について解説していきます。

古今集「仮名序」の原文

やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。
世の中にある人、事業(ことわざ)、繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。

花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。
力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の仲をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。

この歌、天地の開け始まりける時より出で来にけり。
しかあれども 、世に伝はることは、ひさかたの天にしては下照姫に始まり、あらかねの地にしては素盞嗚尊よりぞ起こりける。

ちはやぶる神世には、歌の文字も定まらず、素直にして、事の心分きがたかりけらし。

人の世となりて、素盞嗚尊よりぞ、三十文字あまり一文字は詠みける。
かくてぞ花をめで、鳥をうらやみ、霞をあはれび、露を悲しぶ心・言葉多く、さまざまになりにける。

遠き所も、出で立つ足下より始まりて年月を渡り、高き山も、麓の塵泥よりなりて天雲棚引くまで生ひ上れるごとくに、この歌もかくのごとくなるべし。

古今集「仮名序」の現代語訳

和歌は、人の心をもとにして、いろいろな言葉になった(ものである)。
世の中に行きている人は、関わり合う色々な事がたくさんあるので、心に思うことを、見るもの聞くものに託して、言葉に表わしているのである。

(梅の)花で鳴く鶯、水にすむ河鹿の声を聞くと、この世に生を受けているもの全て、どれが歌を詠まないことがあろうか(、みな詠むのである)。
力を入れないで天地(の神々)を感動させ、目に見えない鬼神をもしみじみとした思いにさせ、男女の仲を親しくさせ、勇猛な武士の心を和らげるのは、歌なのである。

この歌は、天地の開け始まった時より生まれた。
しかしながら、世に伝わることは、天上においては下照姫(の歌)に始まり、地上にあっては素盞嗚尊より起こったのである。

神世には、歌の音の数も決まらず、飾り気がなくありのままに歌ったので、言っていることの内容が判断しにくかったらしい。

人の世になって、素盞嗚尊から、三十一文字(の歌)は詠むようになった。
このようにして花を賞美し、鳥をうらやましく思い、霞にしみじみと感動し、露を愛する心・言葉は多く、(歌も)さまざまになった。

遠い所(への旅)も、出発する足もとから始まって長い年月を過ごし、高い山も、麓の塵や泥から生じて雲のたなびく(高さ)まで成長しているように、この歌もこのようになる(=発達する)のだろう。

古今集「仮名序」の単語・語句解説

[世の中にある人]
世の中に行きている人。

[繁きものなれば]
たくさんあるので。

[言ひ出せるなり]
言い表したのである。

[蛙(かわず)]
河鹿(かじか)の事。(=鳴き声が鹿に似ている事からこの名が付いた蛙。)

[生きとし生けるもの]
この世に生を受けているもの全て。

[いづれか歌を詠まざりける]
どれが歌を詠まないことがあろうか、いや、みな詠むのである。

[天地を動かし]
天地の神々を感動させ。

[鬼神]
荒々しく恐ろしい神。

[和らげ]
親しくさせ。

[出で来にけり]
生まれた。ここでは”(歌が)詠みだされた”の意味。

[素直にして]
飾り気がなくありのままに。

[分きがたかりけらし]
判断しにくかったらしい。

[霞をあはれび]
霞にしみじみと感動し。

[露を悲しぶ]
露を愛する。

[年月を渡り]
長い年月を経て。

[かくのごとくなるべし]
このようになるだろう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は古今和歌集でも有名な、「仮名序」についてご紹介しました。

その他については下記の関連記事をご覧下さい。

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古今和歌集の内容と解説、四季の歌一覧
古典作品一覧|日本を代表する主な古典文学まとめ

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