青空が広がる夏は、心が晴れやかになる季節でもあります。
昔の人の気持ちを詠んだ和歌にも、夏を題材にした和歌は多く詠まれてきました。
今回は四季の中でも”夏”をテーマにした和歌を一覧でまとめてご紹介します。
夏の和歌一覧
夏を題材にした和歌を一覧でまとめてご紹介します。
(和歌は古今和歌集より選出しています。)
五月待つ花橘の香をかげば
昔の人の袖の香ぞする
昔の人の袖の香ぞする
読人知らず
【意味】
時鳥のやって来る五月を待っている橘の花の香をかぐと、かつて親しくしていた人の懐かしい袖の香がするように思われ、その頃の事がしみじみと思い出される。
蓮葉の濁りに染まぬ心もて
何かは露を玉とあざむく
何かは露を玉とあざむく
僧正遍昭
【意味】
蓮の葉は、泥水に生えても濁りに染まらない心を持っているのに、どうして葉に置く露を宝玉とあざむくのか。
夏と秋と行きかふ空の通ひ路は
かたへ涼しき風や吹くらむ
かたへ涼しき風や吹くらむ
凡河内躬恒
【意味】
夏と秋とがすれ違う空の通い路は、片側は涼しい秋風が吹いているのだろうか。
天の川浅瀬しら波たどりつつ
渡りはてねば明けぞしにける
渡りはてねば明けぞしにける
紀友則
【意味】
天の川の浅瀬を知らないので、白波をたどりながら渡りきらないでいると、夜が明けてしまったなぁ。
時鳥汝が鳴く里のあまたあれば
なほ疎まれぬ思ふものから
なほ疎まれぬ思ふものから
読人知らず
【意味】
時鳥よ、お前が訪れて鳴く里は、ここだけではなくてあちこちにあるので、いとしく思うものの、やはり疎ましく思われることだ。
五月雨に物思ひをれば時鳥
夜深く鳴きていづち行くらむ
夜深く鳴きていづち行くらむ
紀友則
【意味】
うっとうしい五月雨の降り続く頃、物思いに耽っていると、時鳥がまだ夜深い空を鳴きながら飛んで行くが、いったいどこに行くのだろう。
夏の夜のふすかとすれば時鳥
鳴く一声に明くるしののめ
鳴く一声に明くるしののめ
紀貫之
【意味】
夏の夜の横たわったと思うのもつかの間、時鳥の鳴く一声にほのぼのと空が白んできたこの明け方よ。
塵をだに据ゑじとぞ思ふ咲きしより
妹と我が寝るとこなつの花
妹と我が寝るとこなつの花
凡河内躬恒
【意味】
咲き始めてから塵一つさえ付けて置くまいと思っている、とにかく妻と私とが共寝をする床という名の常夏の花なのだから。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は季節の中でも夏を題材にした日本の和歌を一覧でまとめてご紹介しました。
その他については下記の関連記事をご覧下さい。
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