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百人一首の恋の歌一覧!恋愛が題材の和歌まとめ

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百人一首(ひゃくにんいっしゅ)は、飛鳥時代から鎌倉時代初期までの代表的な歌人百人の和歌を一人一首ずつ集めて作られた秀歌撰(しゅうかせん)です。
最近では百人一首を用いて行う”競技かるた”で親しんでいる方も多いですよね。

そんな百人一首には、日本の四季を題材にした和歌など様々な歌が収められていますが、中でも一番多い題材が”恋愛”の和歌となっています。
そこで今回は、百人一首の和歌の中でも恋愛が題材の和歌を一覧でまとめてご紹介したいと思います。

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百人一首の恋の歌一覧

百人一首の歌の中でも、恋愛が題材の和歌を一覧でまとめてご紹介します。

3番歌

あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
ながながし夜をひとりかも寝む

柿本人麻呂

【読み】
あしびきのやまどりのをのしだりをの
ながながしよをひとりかもねむ
【意味】
山鳥のあのたれさがった尾のように長い夜を、私は一人で寂しく眠るのであろうか。
【解説】
”あしびきの”:山の枕詞。
”山どり”:キジ科に属す鳥。
”しだり尾”:垂れ下がっている尾のこと。

山鳥はひとり寝をする習性があるという言い伝えから、わびしい気持ちを重ねた歌です。
作者は柿本人麻呂。飛鳥時代の歌人です。三十六歌仙の一人で、歌聖とも評されています。

13番歌

筑波嶺の峰より落つるみなの川
恋ぞ積もりて淵となりぬる

陽成院

【読み】
つくばねのみねよりおつるみなのがは
こひぞつもりてふちとなりぬる
【意味】
筑波山の峰から流れ落ちるみなの川が積もり積もって深い淵となるように、私の恋心もどんどん深くなるばかりだ。
【解説】
”筑波峰”:現在の茨城県にある筑波山のこと。
”みなの川”:男女川や、水無川の字をあてる。やがて桜川となり霞ヶ浦に入る川。
”淵”:川の深くよどんだところ。

作者は陽成院(ようぜいいん)。9歳で即位したものの非常識な行動が多いとして17歳で退位させられ、その後は隠遁生活を送りました。陽成院は清和天皇の皇子で、元良親王(20番歌)の父です。
この歌は陽成院が光孝天皇の第三皇女である綏子内親王に贈ったものです。

14番歌

陸奥のしのぶもぢずりたれゆゑに
乱れそめにしわれならなくに

河原左大臣

【読み】
みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑに
みだれそめにしわれならなくに
【意味】
陸奥産のしのぶずりの乱れ模様のように私の心も乱れているのは、他ならぬ貴方の為なのです。
【解説】
”陸奥”:東北地方東半部。
”しのぶもぢすり”:福島県信夫地方の特産品で、捩れ模様の摺り衣のこと。
”乱れそめにし”:乱れ初めた。「染め」とかけている。
”我ならなくに”:私ではないのに。

恋心の乱れと信夫もじ摺に重ねて詠んだ歌です。
作者は河原左大臣。本名を源融(みなもとのとおる)といいます。
源氏物語の主人公である光源氏のモデルの一人といわれています。

18番歌

住の江の岸に寄る波よるさへや
夢の通ひ路人目よくらむ

藤原敏行朝臣

【読み】
すみのえのきしによるなみよるさへや
ゆめのかよひぢひとめよくらむ
【意味】
住の江の岸に波が寄るその夜でさえ、夢の通い路でも貴方は人目を避け逢ってくださらないのでしょうか。
【解説】
”住の江”:現在の大阪市、住吉の浦。
”よるさへや”:明るい昼だけでなく、人に見られる心配が無い夜でさえもという意味。
”夢の通い路”:夢の中で逢いにいく路のこと。
”人めよく”:人目をさける。

古今集の詞書に「寛平の御時きさいの宮の歌合の歌」とあり、宇多天皇の御代に皇后温子のもとで行われた歌合の際の歌です。
作者は藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)。平安前期の歌人、貴族で三十六歌仙の一人です。
弘法大師に並ぶ書家でもありました。

19番歌

難波潟短き蘆のふしの間も
逢はでこの世を過ぐしてよとや

伊勢

【読み】
なにはがたみじかきあしのふしのまも
あはでこのよをすぐしてよとや
【意味】
難波潟の蘆の短いふしの間のようなほんの少しの時間にも、遭わないでこの世を過ごせと、そうおっしゃるのですか。
【解説】
”難波潟”:大阪付近の海の古称。
”みじかき”:蘆ではなく、「ふしの間」にかかる。
”蘆の節の間”:蘆の節と節の間はつまっていて短いことから、時間の短さとかけている。
”あはで”:逢わないで。
”過してよとや”:「過してよ」で「過ごして欲しい」、「とや」は「とおっしゃるのですか。」との意味。

作者は伊勢。平安時代の女性歌人で、三十六歌仙の一人です。

20番歌

わびぬれば今はたおなじ難波なる
みをつくしても逢はむとぞ思ふ

元良親王

【読み】
わびぬればいまはたおなじなにはなる
みをつくしてもあはむとぞおもふ
【意味】
こうして思い悩んでいる今となっては同じこと、難波の澪標のように、この身をほろぼしても貴方に逢いたい。
【解説】
”わびぬれば”:「わび」は心に思い悩むこと。
”今はた同じ”:「はた」は「また」。
”難波なる”:難波にある。
”みをつくし”:船の道標として水中に立ててある澪標と、「身を尽くし」とかけてある。

後撰集の詞書に「事いできて後に京極の御息所につかはしける」とある歌です。
京極の御息所は藤原時平の娘褒子で、宇多天皇の妃です。
この歌は二人の関係が露顕してしまい、遭うことが出来なくなった今となっては身を滅ぼしてでも逢いたいという強い気持ちを詠んだ歌です。
作者は元良親王(もとよしてんのう)。平安時代の歌人・皇族で、陽成天皇(13番歌)の第一皇子です。
光源氏のモデルの一人とされています。

21番歌

今来むといひしばかりに長月の
有明の月を待ち出でつるかな

素性法師

【読み】
いまこむといひしばかりにながつきの
ありあけのつきをまちいでつるかな
【意味】
貴方が「すぐに行く」と言ったから、九月の有明の月が出るまで待ってしまいました。
【解説】
”今来む”:すぐに行こう。
”有明の月”:夜が明けたのに空に残る月のこと。
”待ち出で”:待っているところへ出ること。

恋人が来るのを待つ女性の気持ちになって詠んだ歌です。
作者は素性法師(そせいほうし)。三十六歌仙の一人です。
俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)で、僧正遍昭(12番歌)の子です。

25番歌

名にし負はば逢坂山のさねかづら
人に知られで来るよしもがな

三条右大臣

【読み】
なにしおはばあふさかやまのさねかづら
ひとにしられでくるよしもがな
【意味】
逢坂山のさねかずらが、逢って寝るという名を持っているならば、それは手繰れば来るように、人に知られないで貴方と遭う方法があれば良いのに。
【解説】
”名にし負はば”:名を持っているならば。
”逢坂山”:現在の京都と滋賀の境にある山。
”さねかづら”:モクレン科の常緑の蔓状をなす低木。
”しられで”:知られないで。
”来る”:かづらの縁語「繰る」と掛けている。

恋人にさねかずらを贈る際に添えた歌です。
作者は三条右大臣で、藤原定方(ふじわらのさだかた)として知られます。
平安時代の歌人・貴族で、藤原朝忠(44番歌)の父です。

27番歌

みかの原わきて流るるいづみ川
いつ見きとてか恋しかるらむ

中納言兼輔

【読み】
みかのはらわきてなかがるるいづみがは
いつみきとてかこひしかるらむ
【意味】
みかの原を分けて湧き出てくる泉川の「いつみ」ではないが、いったいいつ見たというので、このように貴方が恋しいのだろうか。
【解説】
”みかの原”:現在の京都府相楽郡にあり、かつて恭仁京(くにのみやこ)があった。
”わきて”:「分きて」と「湧きて」を掛けている。
”いづみ川”:今の木津川。

わずかに遭った事のある人、もしくは遭ったことのない人を想って詠んだ歌と2通りの解釈がある歌です。
作者は中納言兼輔。藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)として知られる平安中期の歌人、公家で三十六歌仙の一人です。藤原定方(25番歌)の従兄弟で、紫式部(57番歌)の曾祖父にあたります。

30番歌

有明のつれなく見えし別れより
暁ばかり憂きものはなし

壬生忠岑

【読み】
ありあけのつれなくみえしわかれより
あかつきばかりうきものはなし
【意味】
有明の月が無情に見えたあの別れの時から、暁ほどつらく切ないものはありません。
【解説】
”有明の”:有明の月のこと。夜明けの空に残る月。
”つれなく”:無情に。
”暁”:夜明けの時。
”ばかり”:程度を示す副助詞。〜ぐらい。〜ほど。
”憂き”:つらい。

一夜を共に過ごした後、男性は暗いうちに家を去ります。
暁の頃というのは、別れの時だったのです。
藤原定家はこの歌を「これほどの歌をよんだならば、この世の想い出にもなるであろう」と高く評価しました。
作者は壬生忠岑(みぶのただみね)。
平安前期の歌人で、三十六歌仙の一人です。壬生忠見(41番歌)の父でもあります。

38番歌

忘らるる身をば思はず誓ひてし
人の命の惜しくもあるかな

右近

【読み】
わすらるるみをばおもはずちかひてし
ひとのいのちのをしくもあるかな
【意味】
貴方に忘れられる私のつらさは何とも思いません。ただ、神に誓った貴方の命が神罰により失われてしまうのではないかと、惜しく思われてなりません。
【解説】
”忘らるる”:貴方に忘れられる。
”身をば思はず”:私の身のことは少しも考えません。
”ちかひてし”:誓った。
”人”:貴方。

不誠実な男への皮肉の歌か、捨てられてもなお相手を想う女性の歌か、二通りの解釈がある歌です。
作者は右近(うこん)。平安中期の女流歌人で、藤原敦忠、元良親王、藤原朝忠らとの恋愛遍歴が「大和物語」に描かれる程、恋多き女性でした。

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