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百人一首の恋の歌一覧!恋愛が題材の和歌まとめ

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51番歌

かくとだにえやは伊吹のさしも草
さしも知らじな燃ゆる思ひを

藤原実方朝臣

【読み】
かくとだにえやはいぶきのさしもぐさ
さしもしらじなもゆるおもひを
【意味】
こんなにも貴方を思っていることを、口に出して言うことができるでしょうか。ましてや伊吹山のさしも草のように燃える様な思いを、貴方はご存じないでしょう。
【解説】
”かくとだに”:こんなであるとだけでも。
”えやはいぶきの”:「えやはいふ」の「言うことができようか」というものと伊吹山の「いふ」を掛けている。
”いぶきの”:伊吹山の。
”さしも草”:艾(もぐさ)のこと。「さし」は接頭語。
”さしも”:そうとも。
”知らじな”:知るまいな。
”もゆる思ひを”:燃える程の思いを。「もゆる」はさしも草の縁語。「ひ」には火を掛けている。

後拾遺集には「女にて始て遣しける」という詞書があることから、初恋の歌であることがわかります。
作者は藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん)。平安中期の歌人・貴族で、中古三十六歌仙の一人です。藤原忠平(26番歌)のひ孫にあたります。清少納言の恋人だったともいわれています。

52番歌

明けぬれば暮るるものとは知りながら
なほ恨めしき朝ぼらけかな

藤原道信朝臣

【読み】
あけぬればくるるものとはしりながら
なほうらめしきあさぼらけかな
【意味】
夜が明けたらいずれ日は暮れる、そしてまた逢う事が出来るとはわかっていますが、貴方と別れなければならない夜明けは恨めしい。
【解説】
”朝ぼらけ”:夜がほんのり明けはじめた頃。

後拾遣集の詞書に「女のもとより雪ふり侍りける日かへりてつかはしける」とある歌。
雪の降る朝に女性と別れて帰った後に送った後朝(あとぎぬ)の歌です。
作者は藤原道信朝臣。平安中期の歌人、公家で中古三十六歌仙の一人です。23歳の若さで亡くなりました。

53番歌

嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は
いかに久しきものとかは知る

右大将道綱母

【読み】
なげきつつひとりぬるよのあくるまは
いかにひさしきものとかはしる
【意味】
貴方が居ないのを嘆きながら一人で寝る、夜が明けるまでの時間がどれほど長いものか、貴方はおわかりにならないでしょう。
【解説】
”嘆きつつ”:貴方がおいでにならないのを嘆きながら。
”ぬる”:寝る。
”明くるまは”:夜の明けるまでの間は。
”かは知る”:ご存じですか。

平安時代は男性が女性のもとを訪ねる通い婚が主流。
一夫多妻制でもあったので、結婚したとはいえ毎晩夫に逢えるというわけではなかったのです。

作者は右大将道綱母。藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)として知られる、平安中期の歌人です。蜻蛉日記の作者でもあります。摂政関白となる藤原兼家と結婚し、道綱をもうけています。

54番歌

忘れじのゆく末まではかたければ
今日を限りの命ともがな

儀同三司母

【読み】
わすれじのゆくすゑまではかたければ
けふをかぎりのいのちともがな
【意味】
貴方は「決して忘れまい」とおっしゃいますが、いつまでも心変わりしないなどありえないでしょうから、お逢いできた今日を最後とする私の命であって欲しいのです。
【解説】
”忘れじ”:忘れまい。
”ゆく末”:将来。
”かたければ”:困難であるから。
”けふを限りの”:今日限りで。今日を最後の。
”命ともがな”:命となればよい。

新古今集の詞書に「中関白かよひそめ侍りけるころ」とある歌です。
当時関白だった藤原道隆が作者のもとに通い始めた時に詠まれた歌です。
作者は儀同三司母。高階貴子(たかしなのきし/たかこ)として知られる平安時代の女流歌人で、女房三十六歌仙の一人です。

56番歌

あらざらむこの世のほかの思ひ出に
いまひとたびの逢ふこともがな

和泉式部

【読み】
あらざらむこのよのほかのおもひでに
いまひとたびのあふこともがな
【意味】
私はまもなく死んでしまうでしょうが、あの世への思い出として、せめてもう一度貴方にお逢いしとうございます。
【解説】
”あらざらむ”:死んでしまうであろう。
”この世のほか”:あの世。
”いまひとたびの”:もう一度。
”あふこともがな”:逢いたいものです。

後拾遣集の詞書に「ここち例ならず侍りけること、人のもとにつかはしける」とある歌。
病の床で、死ぬ前にもう一度愛する人に逢いたいという強い思いが込められた歌です。
作者は和泉式部(いずみしきぶ)。平安中期の女流歌人で、中古三十六歌仙・女房三十六歌仙の一人です。小式部内侍(60番歌)の母でもあります。

58番歌

有馬山猪名の篠原風吹けば
いでそよ人を忘れやはする

大弐三位

【読み】
ありまやまゐなのささはらかぜふけば
いでそよひとをわすれやはする
【意味】
有馬山に近い猪名の篠原に風が吹きおろすとそよそよと音を立ててゆらぎます。さあ、そのことですよ、私はあなたのことをどうして忘れましょうか。決して忘れません。
【解説】
”有馬山”:現在の神戸市兵庫区有馬町付近。
”猪名”:有馬山の近くの地名。
”いでそよ”:さあそれですよ。
”人を”:貴方を。
”忘れやはする”:忘れようか。忘れはしない。

作者は大弐三位(だいにのさんみ)。平安中期の女流歌人で、女房三十六歌仙の一人です。源氏物語の作者である紫式部(57番歌)の娘です。

59番歌

やすらはで寝なましものをさ夜更けて
かたぶくまでの月を見しかな

赤染衛門

【読み】
やすらはでねなましものをさよふけて
かたぶくまでのつきをみしかな
【意味】
ためらわずに寝てしまえばよかったのに貴方をお待ちして、夜明けが来て沈むまで月を見ておりました。
【解説】
”やすらはで”:躊躇せずに。ためらわずに。
”寝なましものを”:寝てしまえばよかったのに。
”さ夜”:夜に同じ。「さ」は接頭語。
”かたぶく”:かたむくの古形。

後に関白になる藤原道隆が作者の姉妹のもとに逢いに来ると約束していたのに来なかった為、作者が姉妹の気持ちになって詠んだ歌です。
作者は赤染衛門(あかぞめえもん)。平安中期の女流歌人で、中古三十六歌仙・女房三十六歌仙の一人です。

63番歌

今はただ思ひ絶えなむとばかりを
人づてならでいふよしもがな

左京大夫道雅

【読み】
いまはただおもひたえなむとばかりを
ひとづてならでいふよしもがな
【意味】
今となっては、ただもう諦めますという一言だけを、せめて人づてではなく、直接逢って言うすべがあって欲しいのです。
【解説】
”今は”:すべての望みが絶たれたいまとなっては。
”思ひ絶えなむ”:断念しよう。
”人づてならで”:人の伝言ではなく。直接。
”よし”:方法。
”もがな”:あってほしい。希望の助詞。

作者が三条院の皇女である当子内親王と恋に落ちて三条院の怒りに触れ、その後一切逢うことが出来なくなった悲痛な思いを詠んだ歌です。
作者は左京大夫道雅。藤原道雅(ふじわらのみちまさ)として知られる平安中期の歌人、公家です。

65番歌

恨みわび干さぬ袖だにあるものを
恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ

相模

【読み】
うらみわびほさぬそでだにあるものを
こひにくちなむなこそをしけれ
【意味】
つれない人を恨み嘆いて、涙にぬれて乾くひまもなく袖が朽ちてしまいそうなのに、この恋のために浮き名が立って私の名が朽ちてしまうのも残念でなりません。
【解説】
”恨みわび”:さんざん恨んで、もう気力もない程。
”ほさぬ袖だに”:涙を乾かしきれぬ袖さえあるのに。
”あるものを”:あるのに。
”名こそ惜しけれ”:名が惜しい。

作者は相模(さがみ)。平安後期の女流歌人で、中古三十六歌仙・房三十六歌仙の一人です。
恋多き女性で、藤原定頼(64番歌)の恋人でもありました。

72番歌

音に聞く高師の浜のあだ波は
かけじや袖のぬれもこそすれ

祐子内親王家紀伊

【読み】
おとにきくたかしのはまのあだなみは
かけじやそでのぬれもこそすれ
【意味】
噂に名高い高師の浜の、いたずらに立つ浪のように浮気者で有名なあなたのお言葉は心にかけますまい。うっかり心にかけては、涙で袖を濡らすことにもなりましょうか。
【解説】
”音にきく”:噂に高い。
”高師の浜”:現在の堺市浜寺の海浜。「音にたかし」と掛けている。
”あだ浪”:いたずらによせる波。
”かけじや”:かけまいよ。波と浮気な男性の心を共に受ける。
”ぬれもこそすれ”:ぬれもしよう。

堀河院主催の「艶書合(けそうぶみあわせ)」で詠まれた歌で、藤原俊忠の「人知れぬ思ひありその浦風に波のよるこそいはまほしけれ」という歌への返歌です。
言い寄られ、表向きは高師の浦の風景を詠みながら、裏に男の誘いを拒絶する意味を込めた歌です。
作者は祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけのきい)。平安時代の女流歌人で、女房三十六歌仙の一人です。

【艶書合】
男性が女性への恋歌を詠み、女性がそれに返すという形式の歌合のこと。

74番歌

憂かりける人を初瀬の山おろしよ
激しかれとは祈らぬものを

源俊頼朝臣

【読み】
うかりけるひとをはつせのやまおろしよ
はげしかれとはいのらぬものを
【意味】
つれなかった人を、私になびかせてくださいと初瀬の観音に祈ったけれど、初瀬の山おろしよ、あの人のつれなさがお前のように激しくなるようにとは祈らなかったのに。
【解説】
”憂かりける”:私につれなかった。
”人を”:恋人を。
”初瀬”:現在の奈良県磯城郡初瀬。ここには有名な長谷寺があり、恋のご利益がある。
”山おろし”:山から吹きおろす激しい風。
”激しかれ”:はげしくあれの意。山おろしと恋人の態度に掛けている。
”祈らぬものを”:祈らないのに。

千載集の詞書に「権中納言俊忠の家に、恋十首の歌よみ侍りける時、祈れども逢はざる恋といへる心を」とある歌。
藤原俊忠の邸で「祈れども逢はざる恋」という題で詠まれました。
作者は源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん)。平安後期の歌人・官人です。大納言経信(71番歌)の三男で、俊恵法師(85番歌)の父です。金葉集の撰者にもなっています。

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