古今著聞集(ここんちょもんじゅう)は1254年に成立した世俗説話集で、作者は橘成季です。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる古今著聞集の中から「小式部内侍が大江山の歌の事(こしきぶのないしがおおえやまのうたのこと)」について詳しく解説していきます。
古今著聞集「小式部内侍が大江山の歌の事」の解説
古今著聞集でも有名な、「小式部内侍が大江山の歌の事」について解説していきます。
古今著聞集「小式部内侍が大江山の歌の事」の原文
和泉式部、保昌が妻にて、丹後に下りけるほどに、京に歌合ありけるに、小式部内侍、歌よみにとられてよみけるを、定頼中納言、たはぶれに小式部内侍に、
「丹後へつかはしける人は参りにたりや。」
と言ひ入れて、局の前を過ぎられけるを、小式部内侍、御簾よりなかば出でて、直衣(のうし)の袖をひかへて、
とよみかけけり。
思はずにあさましくて、
「こはいかに。」
とばかり言ひて、返しにも及ばず、袖をひきはなちて、逃げられにけり。
小式部、これより歌よみの世おぼえ出で来にけり。
古今著聞集「小式部内侍が大江山の歌の事」の現代語訳
和泉式部が、(藤原)保昌の妻として丹後に下ったころに、京で歌合わせがあったときに、(娘の)小式部内侍が、歌合のよみ手として選ばれて、歌をよんだところ、定頼の中納言が、ふざけて小式部内侍に、
「丹後へ使いにやった人は、帰って参りましたか。」
と(局の中に)声をかけて局の前をお過ぎになったのを、小式部内侍は、御簾から半分身を乗り出して、(定頼の中納言の)直衣の袖を引き止めて、
とよみかけた。
(中納言は)思いがけずに驚いて、
「これはどうしたことか。」
とだけ言って、返歌をよむこともできず、袖を引き離してお逃げになった。
小式部は、このときから歌人としての世の評判が立つようになったのである。
古今著聞集「小式部内侍が大江山の歌の事」の単語・語句解説
歌の優劣を競う文学的な遊戯のこと。
[たはぶれ]
ふざけること。
[参りにたりや]
もどったのか。
[局(つぼね]
女官や女房にあてられた部屋。
[ひかへて]
引き止めて。
[あさましくて]
驚いて。
[逃げられにけり]
お逃げになった。
*古今著聞集「小式部内侍が大江山の歌の事」でテストによく出る問題
○問題:「大江山」の歌の掛詞を挙げよ。
答え:「いくの」→「行く」と「生野」
「ふみもみず」→「踏みもみず」と「文も見ず」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は古今著聞集でも有名な、「小式部内侍が大江山の歌の事」についてご紹介しました。
その他については下記の関連記事をご覧下さい。
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